MCU最新作にして「キャプテンマーベル」の続編。MCU世界では毎度お馴染みの宇宙の危機にヒーローが立ち向かうお話（雑）。
監督のニア・ダコスタの前作「キャンディマン」がめちゃくちゃ良かったのでかなり期待して観た。

良かった所

予告でも散々見せていた主人公3人の入れ替わりシーンは全部面白かった。
特に最初の3人がそれぞれ遠く離れすぎている中バトルになっていく流れとか楽しい。
抱いたグースも一緒にワープしてしまったりする割に、身につけている宇宙服は中の人間だけが入れ替えるとか、ルール設定はユルユルだけど、観てる間はそんなこと考える暇も無くドンドン入れ替わっていく感じ。カマラちゃん家ボロボロになってマジ可哀想。
当然そんな状況なので3人の関係性もデコボコなのだけど、だんだんと受け入れて入れ替わりすら武器にしてチームとして活躍していく後半の展開も熱い。
そこに至る中盤の宇宙船のトレーニングシーンもコミカルで良くて、縄跳びとかお手玉（？）とか何故か小学生女子の休み時間みたいな遊びで絆を深めていくのが独特で面白かった。

個人的にブリー・ラーソンは不機嫌な顔が映画映えする俳優さんという印象なので、最初の入れ替わりでずっとイライラしながら戦っているのが、とてもコミカルで笑えた。
あと吹き替えで観たのだけど中盤のミュージカルシーンで水樹奈々が担当しているという強みがこれでもかと出ていて良かった。

それとグース回りの話はかなり「可愛いでしょ！」というあざとさも感じたけど楽しいシーンが多かった。
終盤の無理矢理船員たちをグース達に喰わせるホラー風の描写とかはちゃんとしていて、それ故に笑える。
この辺は流石「キャンディマン」の監督だと思った。

気になった所

今作は最近MCUでは珍しく上映時間が2時間以内という短さでそこは好感を持てるのだけど、正直その割に詰め込み過ぎな印象がした。
主人公が3人なのだけど、それぞれの物語が全部ダイジェストみたいに急ぎ足で説明されるし、彼女達が絆を深めていく描写も余裕が無い感じがしてイマイチそれぞれのキャラクターに感情移入出来なかった。
個人的には上映時間が長くなっても良いからこの3人のドラマはゆったりした語り口で見せるべきだったと思う。

しかも上映時間が短いの割にMCUの他作品の情報もかなり多くて個人的にはMCU初心者だとなかなか飲み込み辛そう。
それでいて今作に繋がる前日譚になるドラマシリーズからの要素が微妙に噛み合ってない気がしたのもどうかと思う。

「シークレットインベージョン」であれだけ難民生活の苦しさを描いていたスクラル人達に今回も悲劇的な事件が起こるのだけど、ニック・フューリーもキャプテン・マーベルもまともに救おうとせずほったらかしなのはいかがなものか、と思う。
確かにアズガルドに受け入れて貰ったりして、ひとまず安全な場所へは送られたけどその後会いに行く場面とか無いし、「シークレットインベージョン」を観た後だとお前らがちゃんとフォローしないから地球侵略とか悪事に走る人達が出てきたのにこないだの事件から何も学んで無いの？って気がして本当ガッカリ。

他にも今回のカマラちゃんのヒーロー誕生譚を描いたドラマ「ミズ・マーベル」の家族関係のエピソードがめちゃくちゃ記号的になっている感じがしてドラマの時の深みを今回はあまり感じなかった。
お兄ちゃん結婚したのになんで奥さん無しで普通に家にいるのか微妙に気持ち悪い。
あとドラマの方はムスリムの女性達という要素が重要視されていたけど、今回はミズ・マーベルがただただキャプテンマーベルに憧れる女子ってだけになっているのが何か彼女らしいヒーローの要素として足りない感じもする。

あと今回のヴィランも割と可哀想な人なのにただ単に悪役みたいな最後もなんだか気の毒。
結局キャプテンマーベルが太陽にエネルギー送ったら全て解決出来ただけの話なのに、わざとめちゃくちゃ複雑にしているのがどうかと思った。
最近のMCU映画に感じるけど、観ながらみんなもっと話し合うべきだろという、ストレスが今作にもあった。
あと彼女が持っていたハンマー、ガーディアンズの一作目でロナンのと同じっぽいけど、インフィニティストーン無くてもほぼ同じ能力でどういう原理なのかモヤモヤした。

それといよいよ宇宙の危機的状況に見慣れてしまって最早MCUに対する新鮮感が無くなってきた感じ。
同時期にやってた「ロキ:シーズン2」とかはビジュアル面とかでこれまでの作品と差別化出来ていて面白かったのだけど、今作だけにある独自の魅力みたいなものが無かったのはかなり残念。
ただもう色々やり尽くして大変なのだろうなぁという感じがするし、色々詰めこないでもうちょっと作品の間隔を空けて一作一作大事に作って方が良いんじゃないかなぁと正直思った。