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はじめまして

はじめまして、小川奈緒です。

初回の記事なので、まずはこれまでの仕事のプロフィールから書きます。

大学を卒業後、わたしは2つの出版社で計6年間、社員編集者としてファッション誌の編集部で働きました。
2001年にフリーランスとなってからは、20代から50代まで各年代のファッション誌、ライフスタイル誌、カタログ、書籍などの編集ライターとして活動し、近年は著書の出版もしています。

著書は、2010年にイラストレーターの夫との共同作品集として自費出版した『Table Talk』以降、2013年に『家がおしえてくれること』(KADOKAWA)、2014年の自費出版作品『sketch 1』『sketch 2』、2015年『おしゃれと人生。』(筑摩書房)、2017年『心地よさのありか』(パイ インターナショナル)、同年『こころに残る家族の旅』(京阪神エルマガジン社)、2018年『メルボルン案内 たとえば、こんな歩きかた』(パイ インターナショナル)を発表してきました。
本のテーマは毎回違いますが、家づくり、暮らしのエッセイ、ファッション、旅、魅力ある人へのインタビューなど、どれも自分の好きなカテゴリーであり、ほとんどは一から企画を立てて台割を作成し、キャスティングをして、取材があればその手配もして、もちろん執筆までを手がけてきました。現在も、2020年出版予定の次回作を進行中です(※2020年4月追記:『直しながら住む家』として出版)。

2012年より続けている「Table Talk」というウェブサイトで日々更新するブログが、これまでのわたしのホームであり、『sketch』や『心地よさのありか』といった暮らしのエッセイは「Table Talk」から派生するように生まれた本でした。

それが3年くらい前からでしょうか。「こういうことを書きたい」というネタは日々どんどん浮かぶのに、それを書く場として自分のブログがなんとなくベストではないように感じてしまい、ネタを見送ることが多くなってきました。

わたしのブログは朝早くに公開し、読者の訪問数も午前8時から9時にピークを迎えます。つまり「忙しい平日の朝にさらっと読んで元気をもらう場所」として愛されていることが、数字のデータや、愛読者の方から届くメール、イベントなどでお会いしたときに直接伺うお話からもわかっていました。それを受けて、自分としても、ちょうどNHKの朝ドラみたいな意識で、どんな立場の人が読んでも共感できる(少なくともけっして不快にはならない)、暮らしの中の身近な幸せをそっとすくい上げるような記事を書くことを心がけてきました。

ところが、近年の自分自身の関心事として、「このテーマはちょっと掘り下げて書いてみたいな」と思うことが、そうした「暮らしの幸せ」以外にも増えてきました。
たとえば、小学校高学年になった娘の中学受験で直面する現実や、更年期に差し掛かった心と体の日々の揺らぎ、いつのまにかキャリアだけ長くなって実績がなかなか伴わない仕事への不安、高齢の親の介護の話、お金のことや人間関係のこと……もちろん書くとなれば出口のない愚痴ではなく、まじめに前向きに悩み、同じような悩みを抱いている方と共有することでお互いちょっと楽になれるものを書きたい、という気持ちは前提にあるのですが、そうはいってもそれらを題材に「朝さらっと読んで元気がもらえる話」に着地させられる自信もなく、書くのをつい後回しにしてしまうのです。

そうしてブログからもれた話は、以前ならばエッセイ集に書き下ろすことで消化してきたし、それは別にしても、本をつくることは、他では代えがたいやりがいと喜びと達成感を感じる大好きな仕事です。
でも、現在や今後の出版のありかたを考えるとき、やはり文章を発表する場を単行本の中だけに限定するのは、わたしを含めたみんなのライフスタイルとずれているのかもしれないと感じるのが、一つ。
また、次々と現れて、わたしの心を占める悩みたちが、忙しさの中でいつしか流れ去ってしまうことへの焦燥感もあります。物を書く人間として、その都度キャッチして文章に替えていきたい、そしてタイムラグなしに発表して、読者と共有したいという気持ちがあります。

「書店に行って本を買って読む」という行為が、誰にとっても以前より手間のかかるもの(だと感じるよう)になってしまった現実があり、それはどんなに作り手が時間とエネルギーを注いでよい本を出しても、なかなか売上という結果に結びつかないという話にもつながっていきます。
でも、それは必ずしも「人々が文章を読まない」とイコールではないんじゃないか。届け方を変えてみたら、わたしの文章を読んでくれる人ともっとつながりやすくなるのかもしれない。そんなことをもやもやと考えていたときに、「文章の新しい届け方」としてnoteというサービスに興味がわき、参加してみることにしました。

7年間こつこつと続ける中で読者を増やし、一つの安定した世界を作ったようにも感じているブログとはちょっとギアを変えて、このnoteという場所では、仕事歴だけは長いけれどまだまだ頼りないフリーランスの物書きとして、あるいは、幼かった子どもが少しずつ手を離れていきつつあるちょっとくたびれ気味の母親として、または、人生を折り返した40代後半の一人の女性として、今リアルに直面していることを書いていこうと思います。

イメージとしては、週末の時間を使ってゆっくり、じっくり読んでもらえるようなエッセイ。どんな言葉が今の自分の中から出てくるのか、わたし自身がいちばん楽しみです。

これからどうぞよろしくお願いします。

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