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おふろ日記/日曜日、久しぶりのジムへ。

日曜日。

朝。

2週間前に日本から戻ってきて、時差ボケを理由に朝寝坊を決め込んでいた日々に終止符を打って、ついに今朝、ジムに行った。

久しぶりだからカラダ慣らしのつもりで、まずは1時間のウオーキング。

目の前の大きな窓の外は小雨で、どんよりとした雲を背景に、たくさんの鳥たちが V字を描きながら飛んでいるのを幾つも見た。

お天気がよければ、近所の湖のほとりを歩きたいところだけど、このあと引き続きマシンをちょこっとでも使えるのがジムのお手軽さだなあ、と自分を納得させる。

マシンは、今日はほんとにちょこっと。無理はしないお年頃。ジムに行っただけでも褒めてあげたい、自分には甘い私。

ジムの帰りに、今回日本から戻ってきて、初めての買い物。


いつも利用している、自然食品センターは、ほとんど1か月ぶり。
30年前、この町に来たとき、ネコのひたいほどだった店舗は、これまでに何度も拡張を繰り返し、今はカフェも併設されて、ピーク時間には駐車場もままらない。

ほとんどの商品がオーガニックで、遺伝子組み換え食品を置かない、という確固としたスタンスのこの店が、こんなに住民に支持されていることが、この小さな町のことを現していると思う。

食材は夫が買ってきてくれるものの、じかにお店に行くと、色とりどりの季節の食材が並んでいて、気分が高揚してくる。

手に取ったのは、Japanese Sweet Poteto。
さつま芋。
さつま芋のお味噌汁、飲みたい!という衝動が湧き上がって、大きいのを手に取った。ごろごろお芋の入った具沢山にしよう。


お昼。

お昼からは、朗読のクラスを 地元のコミュニティ・カレッジで取っている友人の舞台を見に行った。
夫とふたり、えらく感動して戻って来た。

60年~70年代のヒッピー世代、14人が舞台に立ち、当時のことをそれぞれの体験を織り交ぜながらリレー形式で朗読していく。

個人の幾つもの、志向や、アイデアや、そして行動が、全体のヒッピームーブメントの波を創り出していく流れがうまく表現されていた。

都会を離れて、社会のしがらみから、システムから離れることを望んで、サンフランシスコから離れた、この田舎町へ自分たちの「土地」を求めて居を移して来た人たち。

電気や水道のない山中で、いちから暮らしを築き上げてきたパイオニアともいえる人々。
背後のスクリーンには、当時の写真が映し出される。そして彼らの生活に欠かせなかった音楽が。

山の中に家を建てている、子供たちと畑の野菜を収穫している、当時のlove & peace を象徴する、髪に花飾りをつけて、裸で踊っている、そんな数々の写真・・・

都会を離れても、すべての社会の支配からは逃れられず、多くを戦ってきた世代は、皆、70歳を超えている。マイクなしで伝えられる力強い声。朗読者たちの顔に次第に表れた、若い姿の面影を見たのは私だけでないはず。


そしてそれら、古き良き、過去のストーリーだけでは終わらない。

話題は、成長した自分たちの子供たち、孫へと移っていく。

「環境汚染を心配してる人、手を挙げてみて!」
舞台から観客に呼びかける。
「今からでも遅くない。出来ることがある、って思う人は?」
会場の全員が手を挙げた。(と思う!)

こんなにたくさんの人がいるのに、私たちにはひとつの、共通の願いがあった。

それは、豊かな地球を次世代に残したい、ということ。

そう、昔を懐かしむのは簡単。
歴史から学ぼうとするのも大切。
でも、今、私達、何をする?
そう強くメッセージを投げかけるパフォーマーたち、ひとりひとりが、未来の世代に残したい世界のビジョンをあらわにしていく。

彼らの体験から来る叡智、
大らかさ、優しさ、祈り、
そして、ユーモアのセンスが詰まった、途中休憩もないパワフルな1時間半の舞台が終わった。

幕が下りたと同時に、どっと涙が溢れた。



夜。

夕方には、日本人の友人が来て、日本酒のテイスティング。
4本のお酒を、ツマミを変えながら、酒の温度を変えながら飲み比べる。


「やっぱり日本酒が一番おいしいのぉ!」

上機嫌になった同郷の、広島出身の友人がしみじみと言う。
彼もアメリカが長い。

私たちの間で勝ち星をあげたのは、彼が持参した寺田本家の純米大吟醸。
春に彼が日本に戻ったとき、大事に持って帰って来た酒を今夜、皆で飲み干した。
5時から始まった酒の宴が終わったのは、夜11時。
〆は、もちろんごろごろのさつま芋のお味噌汁。
デザートに、日本からのお土産にと持たせてもらった皇居外苑最中。

五感のすべてが満たされて、心もあったかい日曜日でした。




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