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おふろ日記/満月、ハロウィンパーティの喧騒を聴く

今夜は満月。

やっほい、月夜のお風呂だ、と嬉しく家に帰って車から出ると、こうこうとお隣さんの庭の明かりと、ポップ音楽の大音響。

そうだ、今夜はいたるところでハロウィンパーティーが催されてるんだった。
今年はハロウィンが火曜日なので、その前の土曜日がどこもパーティで盛り上がる。
実際、今夜、パーティ前だか後だかの、コスチュームを来た人達が多く来店されてたもの。

この祭宴は少なくとも夜中を過ぎるまでは続くはず。

それでも時々、週末にどこからか聞こえてくるジャイアンの リサイタルみたいな、カラオケパーティよりマシだわ!と食事を済ませてとりあえず湯船に浸かる。

満月の光が、お風呂の底までゆらゆら映し出す。カラダの動きに沿って、水面がキラキラ光る。
見上げれば、きりりと晴れた夜空。
ビーナスが、白いほくろのように月のそばで輝いていた。

聞こえてくる酔っぱらいの楽しげな叫び声、音楽に思わず私も乗ってる。湯船の中で、ヨガをしながら(笑)

Going with the flow

自分がイメージしていた、静かな月夜の晩とは程遠くても、流れとともに、月に一度の満月をこんなふうに楽しんでもいっか、と
自分の望みはいったん手放す。

目を閉じて、月の明かりを受けていると、ふと、娘の友人のお父さんが数日前に亡くなったことを思い出した。

事故で突然に。

笑顔の屈託のない人だった。

人はこんなふうにあっけなく逝ってしまうものなんだ。

娘の友人は長い間、父親とは距離を取っていたと聞いた。

そういうこと、あるよね?

20代半ばなんて自分のことで精一杯で、親のことになんか寄り添えない。

でも、逝ってしまった。

もう、「次」はない。

幼稚園の時から知っている、娘の友人の、愛らしい横顔を思い出して切なくなる。

「次」はないかもしれない。
年を重ねるほどに、それはリアルになる。

一瞬の輝きを閉じ込めるように、
私は機会があれば、子供達や夫に言葉をかける。

あなたがいてくれて本当によかった、
大好きだよ、

事あるごとに伝えている。

でも、本当に伝わってるだろうか。
こんなにも大切で、愛おしいっていうことが…。

ある日突然、パートナーを亡くした、私の友人が言っていた。

「もっともっと、大好き、って伝えればよかった。」


さあ、夜中の12時を過ぎた。

静まったお隣さん。
それでも酔っ払いの、名残り惜しそうな会話が ちらほら聞こえていたけれど、 それもいつかすっと静まって、すべてを水に流したかのような、夜が広がった。

いつのまにか、私の月夜の時間が始まっていた。



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