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株ってなに?おいしいの?(5)(終)

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さて、前回までで、スタートアップの企業価値評価にはDCF法が使われるケースが一定数あること、DCFは事業計画上の最終年度のキャッシュフロー、割引率、永久成長率を変数としていること、これらの変数は企業価値算定時に一義的、客観的に決まっていないことについて説明してきました。

今回は、まとめと、次の連載記事への伏線です。


DCF法は万能ではないが、参考になる

繰り返しになりますが、純資産法は会社の「過去」(積み上げた資産)を踏まえた企業評価なので、スタートアップの企業価値評価には向きません。

類似企業比準法は、対照すべき企業の選別やその企業の財務情報の取得が困難です。

そこで会社の将来の稼ぎに着目するDCF法は、事業計画上のキャッシュフロー、割引率、永久成長率という、客観的・一義的に決まらない「変数」に満ちています。

でも、やはりDCF法は参考になります。

スタートアップの評価は、やはり、会社の未来(のもうけ)を大いに斟酌すべきです。DCFは会社の未来を取り込むことができ、かつ世界中で使われている評価方法です。

そして、変数のうち、事業計画上のキャッシュフローについては、現在の利益や今後数年間の事業展開といった、具体的な事柄をもとに組み立てられているため、その妥当性について、起業家と投資家が対話することができる話題です。

割引率や永久成長率については、とくにVCなどの職業投資家であれば、統計的なデータや、類似企業、類似事例と比較した場合のデータを持っています。

ですので、DCFだけで企業価値が決まるというわけではもちろんないものの、スタートアップの企業価値評価にあたっては、なお有用な方式であると考えます。

ですので、はじめて資金調達をする、という場合は、一度、3〜5年程度の素朴な事業計画を立ててみても、決して無駄ではないと思います。(注1)


DCF法すら使えないときは、、、?

しかし、、、、

そもそも、DCF法による企業価値の計算すら、困難なスタートアップはたくさんあります。

それは、「シード」「アーリー」などと呼ばれる段階のスタートアップです。事業を立ち上げてまもなく、あるいは立ち上げる前ですらあり、売上も立っておらず、ユーザーもほとんどいない、という段階です。

この段階では、いくら将来の「計画」といってみたところで、それは「計画」でしかなく、その実現可能性や妥当性はきわめて検証が困難です。

そんな中でも、DCF法で何らかの企業価値を算出し、そこから導かれる株価で出資をする/発行済株式を売買するしかないのか、、、?

これについては、次の連載記事で。

今日も1万回の失敗と挑戦を繰り返す起業家・スタートアップを応援しています。


注1)事業計画の作り方、キャッシュフローの算出方法がわからない!という人は、「DCF テンプレート」などで検索すれば、たくさんの税理士、会計士、コンサルなどの無料提供テンプレートや、解説記事を見つけることができます。


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