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2019年を振り返る。 崩壊の先。

2019年が終わる。

25日に徹夜で渾身のブログ記事も書いたし、もう今年はブログを書くつもりはなかったんだけど、2019年という年はやはり自分的に思い入れの深い年だったので、この2019年という年に感じたことを記録として書いておきたいと思う。5000文字を超えるポエムなのであしからず。

起業して今年で丸8年が経ったが、こんなに心的なストレスが掛からない年末は実は初めてかもしれない。心的ストレスとは、そのほとんどは人と組織のことだ。この8年間で経営で言う「ヒト・モノ・カネ」の中で大きな苦労をしたのは、ヒトの部分だ。幸いカネに関しては、来月キャッシュアウトしてしまうかもと言うのは起業して3年目以降だとほぼなく、オンデーズの破天荒フェニックスのようなシチュエーションに陥らずに来れた。

この4、5年ほどは、いつも人の問題に頭を悩まされる期間を送っていた気がする。特に年末になるといつも人の問題が降ってきてマトモな精神状態で年末を休むことはできなかった。

3年ぶりの年末ブログ

年末にブログを書くのも実に3年ぶりだ。

それまでは割と毎年書いていたと思うのだが2016年のブログを書いて以降の約2年半は本当に大変だった。このブログからも100人の壁と言う表現で書いてるが、何かの言葉をオープンに投稿するのもこの時は見ている社員の事を思うとなかなかヒヤヒヤものだった。社内ブログですら受け取られ方を気にしながら、かなり言葉を選びながら書いてた。

2016年の中盤くらいからはずっと暗いトンネルの中を走っている感覚で、少しトンネルを抜けたと一瞬思っても、またすぐにトンネルに入って抜け出せないというのを繰り返す2年半だった。

多くの社員を会社から送り出した。毎月、毎月、会社から仲間が去っていった。自分の力不足を悔やんだ。それでも、毎月社員を送り出すときには必ず送り出しの会に顔を出し、社長の一言を添えて、写真を撮って笑顔で送り出した。他の役員が出てこなくとも自分だけはと必ず顔を出した。

会社が7周年を迎えたときに経営企画室の社員がこんな日報を書いていた。

繰り返しになりますが、とにかくいろんな人を送り出した1ヶ月でした(何度写真を撮ったであろうか、メモリカードを刺し忘れるぐらいには撮った)。多くの人が辞めていく中で、この流れを食い止めたいという気持ちが日に日に大きくなりました。
わたしたちがPRとしてできるのは、全社イベントの改善だったり、一つ一つのお願いや共有をよりみんなの目線に立ってすることだけど、きっともっとできることがあると感じています。来期はもっと包括的なカルチャーを作りたいし、こうしたいで終わらずに、形にしていきたい。誰だってこの会社をよくするために動いていいし、そのためなら誰とだって協力していい。上下も縦横も関係ない、みんな船に乗る人たちとして、協力しあえるカルチャーができればいいと思っています。みんなが船を沈めさせないために戦うチームであることを意識すれば、きっとGoodpatchは更によくなる。まだまだできることはある。と感じた1ヶ月でした

こういう気持ちを持った社員たちがまだ他にも沢山いて、それが苦しい時の踏ん張りになった。

手応えがなかったとしても自分たちの信じる本質的に正しい事をしようと諦めずに施策を続けた。社外ブログの更新は減ったが社内の社長ブログは今何を考えているのか、どういう会社にしたいのか発信し続けた。段々と協力してくれる人も増えていった。

すごく時間は掛かったけど、去年の秋くらいから徐々に空気は変わっていってたのは感じ始めていた。それでも、組織崩壊を体験している一部の社員達は、まだ何かあるかもしれないと構えている部分はあったと思う。でも、雪解けは近かった。

戦いの終わりを感じた3月の社員総会

2019年、一番印象に残っている出来事は何かと言われるとやはり3月の社員総会を上げるだろう。あの時の光景は今でも思い出す。

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その半年間、いや約3年間、会社と組織の事を一番考え、多くの社員に経営側に付いていると影で色んな事を言われながらも、頑張ってきたはこちゃん、自分は総会で目立ってはいけないと黒子を貫いてきたはこちゃんがサプライズでMVPを受賞した瞬間。多くの社員が涙する光景、普段は泣くような奴じゃない奴らの涙を見たときにそれまで苦しかった数年間の戦いがこれで終わったと明確に感じることができた瞬間だった。

そして、それまでの苦しかった戦いの記録をブログに書き記した。

組織崩壊ブログを書いた理由

今年はこのブログのお陰で色んなイベントに呼ばれたが、そこでよく聞かれたのが「なぜ失敗をオープンにしようと思ったんですか?」という質問。

これは一つは、採用マーケットに出回っていた人が辞めまくっているとか、組織がやばいらしいというGoodpatchに対する噂を払拭するためと、もう一つはこういう情報はマーケットになかなか出てこないからだ。多くの組織は大なり小なりあれど、必ずこういった組織課題を抱えている。しかし、組織崩壊したなどという失敗は絶対にオープンにならない。組織崩壊の失敗を公開するメリットなど全くない。

しかし、Goodpatchの場合は100人の壁にぶつかり組織崩壊をした後に2年半掛けて、失敗を乗り越えた珍しい事例だ。

これはマーケットで組織に悩んでいる人々に勇気を与える内容になると感じたからだ。なので乗り越えてないと絶対に出せない情報で、生存者バイアスの塊のような情報なのだが、割と本質的な打ち手をやっているので、しっかりと向き合う経営者にとってはかなり良い内容になるはずだ。

この1年の変化

組織崩壊ブログ以降、社外からは想像以上の反響があった。そのほとんどが共感の内容だった。思った通り、多くの人々が組織の課題に悩んでいた。SNS上では「見たことある景色」「今のうちの状況だ」「うちはまだグッドパッチほどじゃない、頑張ろう」などの反応があり、僕にも直接「勇気が出ました。私もまだ諦めずに頑張ろうと思います!」と言った内容のDMが沢山届いた。

春に書いたブログはその後も多くの人に読まれ続けた。登壇や取材の依頼も多くなった。今回の崩壊から復活までのプロセスの本質を掴んで欲しく、少しでも多くの経営者の人に伝われば良いなと思ってなるべく登壇なども断らないように出続けた。

本質は経営トップが組織課題に向き合うことでしかなくて、社員任せの組織改善なんてあり得ないのだ。少しでも良い組織が増えた方が社会のためになる。そう思って、自社の事業に直結はしないが発信をし続けた。

モチベーションクラウドも僕のブログ経由で契約が取れたりとお世話になったリンクアンドモチベーションの皆さんにも多少なりとも恩返しができた。リンクさんからもクライアントさんが「HARD THINGSばかりだけどグッドパッチのブログ見て自分を励まして何とか生きてる」と言っているとメッセージをもらったりと僕のブログが誰かの役に立っていると嬉しくなった。

社内の変化

3月の総会以降のGoodpatchの組織はそれまでの数年が嘘だったかのような良い空気感に溢れる組織になった。社内のコミュニケーションは飛躍的に増え、キッチンで雑談をしながら仕事の相談をするような光景が明らかに増えた。毎月の締めにやるPizzapatchも組織崩壊時は参加率が低く、1時間すると誰もいなくなるという状況だったのが、夜遅くまで飲みながら雑談する社員が多くなった。

もちろん、良い事だけではない。当然、常に事業にも組織にもまだまだ課題は存在している。大きな変化はそれに対して、社員達が自らが主体性を持って課題に対してどのように改善していくかをオープンに議論するようになったことだ。経営のせいにしたり、マネージャーのせいにする、そういう他責な発言は明らかに減った。これがカルチャーとして根付く組織は強いし、そう簡単に崩れないなと感じた。

明らかに日に日にカルチャーは強くなっているし、自分の思い描いていた組織像にどんどん近付いていっている。そう感じる経営者としてはとても幸せな1年だった。

そうなった大きな要因は社員が自分の組織に対して自信と誇りを取り戻せた事が大きいと思っている。自分の会社のメンバー達を信頼している、自分たちの事業が社会にとって確実に良い影響を与えれる事業をしている、ここにいて人間的にも技術も成長できる。自分の会社が好きだと言える状況がカルチャーに明らかに良い影響を与えている。

そう自己肯定感だけでなく、自組織肯定感が必要な時代なのだ。

改めて組織はロジックではなく感情でできていると感じる。組織に流れている感情を理解して経営をしないと、共感度の高い会社は作れない。もう事業が利益を出してうまく行ってるからそれで良いの時代ではない。

不確実性が高い時代で人材を繋ぐのは目指すビジョンと価値観が近くて共感できる仲間がいる事、これが今後より重要になってくる。

組織崩壊を乗り越えた社員たちの成長

この1年も社員たちの成長を感じれる1年だった。特に組織崩壊の苦しい期間を乗り越えた社員たちの成長は著しく、ちょっとやそっとでは動じないし、簡単に折れそうにない強さや覚悟を感じる1年だった。

古株のジュンとケイタが始めたReDesignerAnywhereはこの1年で大きく事業が伸びたし、はこちゃん率いる広報PR/PX(People Experience)チームの社内外への発信力はGoodpatchの大きな強みになってるし、既存事業でも4年目以上のメンバー達の仕事のクオリティの高さと知見はGoodpatchの本質的な価値をより強くする事に繋がっている。

先日受けたインタビューでもそういった社員たちのことを話した。

とても良い記事なのでぜひ読んで欲しいが、この中の見出しで「長くいた人にではなく、つらい時に逃げなかった人にチャンスを」というキャッチがあるのだが、少し引っかかる部分はあった。

たしかに僕は辛いときに逃げない人材にチャンスを上げたいと話したのだが、この表現だと逃げない人がいた一方で、その時に辞めた社員たちが組織崩壊で逃げ出した側に取られてしまう。決して、この時期に辞めたメンバーが全員逃げ出した人間という訳ではないと言うのは、ここで言っておきたい。多くの社員にとって、その時の人生の選択として最良の選択をしたに過ぎない。自分の本当に挑戦したい事が見つかったり、より自分の能力を活かせる職場が見つかり、それを選択しただけなのだ。

僕としては人生の有限な時間を、Goodpatchで少しでも働いてくれたメンバー達には感謝の念しかない。

なんやかんや人と組織の話になってしまったが、やっぱり自分は人が好きで、組織に向き合い続けたい経営者なのだ。

マザー・テレサも感銘を受けたと言われるケント・M・キースの「逆説の10カ条」はこの3年もちょくちょく見返して励まされた。

1、人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。それでもなお、人を愛しなさい。
2、何か良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。 それでもなお、良いことをしなさい。
3、成功すれば、うその友だちと本物の敵を得ることになる。 それでもなお、成功しなさい。
4、今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。それでもなお、良いことをしなさい。
5、正直で率直なあり方はあなたを無防備にするだろう。 それでもなお、正直で率直なあなたでいなさい。
6、最大の考えをもった最も大きな男女は、 最小の心をもった最も小さな男女によって撃ち落されるかもしれない。それでもなお、大きな考えをもちなさい。
7、人は弱者をひいきにはするが、勝者の後にしかついていない。それでもなお、弱者のために戦いなさい。
8、何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。それでもなお、築きあげなさい。
9、人が本当に助けを必要としていても、実際に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。それでもなお、人を助けなさい。
10、世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。

2019年は他にも

- Goodpatch8周年のイベントがあったり
- BX(Brand Experience)のチームができて沢山の実績を積めたり
- Goodpatchが左ききのエレンに出たり
ち色々あった。詳しくは以下のブログにまとめてあるのでぜひ。

2020に向けて

さて、2020年がついに来てしまう。日本全体に大きな変化が訪れるかもしれない大きな節目の年。

Goodpatchも2020年はさらに大きな事に挑戦する年にしたいと思っている。

ただ、変わらない事もある。

8年という期間、デザインに向き合い続けてわかったのは、デザインは人の感情に向き合い続けることなんだと言うこと。それは不変であり本質。

ユーザー、顧客、経営者、パートナー、仲間、それぞれの思いに向き合いながら大きなインパクトを残すような仕事をしたいなと思っている。

デザインの価値への期待やデザイナーに求められる範囲が広がって来ている中で、求められる事は範囲を限定せずに全力でやっていきたい。これからのデザイナーに求められているのは事業成功のために範囲を規定せずに領域を超えていくという勇気と突破力なのでないだろうか。

Goodpatchはデザインへの期待を背負う覚悟ができている。

多くの人に支えられた2019年、本当に関わっていただいた皆さんありがとうございました。2020年も忘れられない年にしたい。

良いお年を!


最後に

2020年にキャリアチェンジを考えている方へ

こちらの採用スライドを見て少しでも興味を持ってくれる方がいたらぜひ気軽にコンタクトしてください!デザインの力を信じる仲間が、同じ価値観を持つ仲間が待ってます。

Join the mission.
さぁ、一緒にデザインの力を証明しよう。

Goodpatchはビジョン・ミッションに共感する仲間を探しています。最高のチームで、ビジネスに成果をもたらすデザインを生み出したい方をお待ちしています。募集内容の詳細はこちらをご覧ください。


記事を読んでいただきありがとうございます!これからも頑張ります!