コモンズの定義、コモンズと贈与の関係性、働き方に関する現代のコモンズについて。
1.コモンズの定義について
コモンズ(Commons)とは、共有地という意味であり、ヨーロッパの「所有権」の概念から、自然を説明したものである。日本語訳では、入会地の訳語が馴染み深い。
コモンズは、大きく分けて2種類ある。ローカル・コモンズとパブリック・コモンズである。
ローカル・コモンズとは、地域の共有地を指し、パブリック・コモンズは、例えば社会や国家などの公的な共有地を指す。
コモンズの概念は拡大しており、さまざまなコモンズが存在していることがわかる。
例えば、自然、動物、植物、水、大気などもコモンズと認識されることもあるが、これらは果たして「共有物」なのかという否定的な意見もあり、「人間中心主義」との対立も存在している。
2.コモンズと贈与の関係性について
そこで、コモンズを贈与されたものと考えるべきではないだろうか。
アルフレッド・アドラーの心理学を解説した書籍『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見一郎と古賀史健の共著)では、「共同体感覚」について言及している。
「共同体感覚」とは、誰もが共同体に属しているという感覚を持つことで、自己の利益のみではなく他者への貢献を追求していく姿勢である。
私は、この「共同体感覚」に根ざしてコモンズを捉えることで、コモンズが贈与されたものであると解釈できると考えている。
つまり、私たちは、コモンズを所有し共有するだけではなく、神、自然、人々などによって与えられたコモンズに属している感覚を持ち、コモンズに貢献していくべきだろう。
3.現代のコモンズについて
ここまでコモンズの定義、コモンズと贈与の関係について述べてきたが、最後に、私の考える現代のコモンズについて言及したい。
テーマは、働き方である。
純粋なコモンズではなく、資本主義下でのコモンズの在り方として、ここではクラウドソーシングを例に挙げたい。
クラウドソーシングとは、インターネット上で不特定多数の人々に業務委託する雇用形態である。
このクラウドソーシングでは、労働者が集うプラットフォームの存在が不可欠である。
私は、このプラットフォームがコモンズに近いのではないかと考えている。
端的に言えば、労働と仕事と人材の共有である。そして、仕事を受ける労働者と仕事を頼む依頼者、双方の受発注を創出するプラットフォームは、贈与された関係性にある。
それぞれが、労働、仕事、人材を贈与され、参加者全員がプラットフォームを贈与され、「共同体感覚」を抱く。
私は、現代のコモンズの在り方として、理想的だと考えている。
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