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ナーヤルカーストの「家族」について考えてみたこと

ナーヤルカーストの「家族」をご存知だろうか?

「南インドのナヤール・カーストの妻訪形式をとる男・女の関係は,夜をともにする性的関係にとどまり,居住,生産,消費や子どもの養育,しつけなどは兄弟姉妹が一生を過ごす居住単位で行われていた。」

「つまり,子どもたちはその〈生みの父〉を識別し,正当なカーストの身分を得ても,その葬儀にも参加せず,それ以上の社会的経済的なつながりはもっていなかった。」

らしい、複雑な家庭環境だ。


日本に生きる私にとってあまり馴染みがないだけでなく、母系社会であるが父権社会という複雑さも相まって、なかなか理解が進まないものである。


というわけで、今回は、ナーヤルカーストの「家族」について、できる限り整理して理解した内容を含めて考察していきたい。


疑問に思ったところ

まず、疑問に思った点について挙げたい。

ナーヤルカーストの「家族」においては、姉妹の息子への財産相続や、姉妹とその子への経済的扶養を担っているのは母方オジであるが、姉妹のいない、もしくは姉妹の少ない男性は、「家族」に対してほとんど権限を有していないのだろうか?

ナーヤルカーストの子供の多さは分からないが、姉妹のいない、もしくは姉妹が少なく兄弟が多い「家族」も存在するはずだろう。

その場合、父方オジになるわけだが、父方オジは「家族」に対しての権限が少なく、性と生殖のみで暇になってしまうのだろうか?この点が疑問に思った。


家族にとって「同居」とは?

次に、家族にとって「同居」は条件になり得るかという点。

ナーヤルカーストの夫婦は、訪妻婚という形式をとっているため、日本でいうところの単身赴任、一人暮らし、家庭内別居といった言葉が当てはまるだろう。

ナーヤルカーストの「家族」を見ると、それを「同居」と捉えるか、「別居」と捉えるかはさておき、母系社会の父権社会という構造も相まって、あまり重要視されていないのではないか、と個人的には考えた。


マードックの核家族普遍説

最後に、マードックの核家族普遍説について、前回書いた「ただ、たった2名の男女(ここでは父母)が、性、経済、生殖、教育の4つの機能を担うというのは、少々荷が重いように思う。」という意見についてである。

ナーヤルカーストの「家族」は、母方オジが経済や教育の機能を支えているため、負担が分散し、子供を支えやすい構造になっていると考えた。私の懸念を払拭してくれたといえる。


結び

ナーヤルカーストの「家族」について、疑問と意見と考えを述べてきたが、完全な理解に至ったとは言い難いので、今後も日本の家族構造と比較しながら、理解を深めていきたいと思う。


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