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室田尚子のレビュー/Concert編

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コンサートやリサイタルのレビューをまとめています。
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記事一覧

その一歩は世界に通じる〜【Concert】中野りなヴァイオリンリサイタル

 2021年第90回日本音楽コンクール優勝、翌22年に第8回仙台国際音楽コンクールで史上最年少の1…

室田尚子
10か月前
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将来を嘱望される逸材の実力〜【Concert】清水勇磨バリトン・リサイタル

 これまで数々の優れた音楽家を送り出してきている五島記念文化賞。清水勇磨は第28回のオペラ…

室田尚子
1年前
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類い稀な歌手による類い稀なリートの世界〜【Concert】森谷真理ソプラノ・リサイタル

 ひとりの歌手を追いかけてくると、「今がまさしく絶頂期だな」と感じることがある。もちろん…

室田尚子
1年前
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「生活に帰ろう」と言って小沢健二は去っていった〜【Concert】小沢健二「So kakkoii …

 正直にいうと90年代、私は小沢健二の良い聴き手ではなかった。というか、東大出で小澤征爾の…

室田尚子
1年前
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言葉が紡ぎ出す音の意味〜【Concert】月に憑かれたピエロ—多彩なる幻想 音楽の宴—

 アーノルト・シェーンベルクの『月に憑かれたピエロ』は、世紀転換期の表現主義を代表する作…

室田尚子
2年前
3

音楽への信頼を感じる〜【Live】東京塩麹『ジャーニー 目黒→横浜→金沢』

 東京塩麹は2013年にスタートしたバンドで、トランペット、トロンボーン、キーボード、シンセ…

室田尚子
2年前
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”旬”の日本人演奏家の才能を味わう〜【Concert】作曲家キーシン〜その肖像

 10歳で「神童」として世に出てから40年、エフゲニー・キーシンは20世紀から現代における最高のピアニストしての名声をほしいままにする存在だ。そんなキーシンが、実はかなり幼い頃から作曲を続けてきたことはそれほど知られていない。いくつかの作品は披露されたりもしているが、今回、世界で初めてキーシンの作品だけを集めたコンサートが開かれた。  モスクワのグネーシン音楽学校時代に書かれた作品番号1番を持つ「4つの小品」はキーシンが初めて演奏会で弾いた自作。キーシンと同じグネーシン音楽

絶頂期にある嘉目真木子〜【Conceert】B→C嘉目真木子ソプラノリサイタル

 嘉目真木子が東京オペラシティの「B→C」シリーズに初登場。ドイツ音楽の中から「哲学者や思…

室田尚子
2年前
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【 Concert】ゲキジョウシマイ×メゾソプラノ地位向上委員会初コラボレーション企画「…

実はこのタイトル考えたの私なんだよ、すごい?(ドヤァ というのは置いといて。ゲキジョウ…

室田尚子
2年前
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音楽への真摯な奉仕者たち〜【Concert】Mozart Singers Japan「二人のモーツァルト …

 モーツァルトシンガーズジャパン(以下MSJ)は、2018年のモーツァルトの誕生日1月27日に発足…

室田尚子
2年前
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歌い手の底力を見せつけた中嶋彰子〜【Concert】AKIKO NAKAJIMA & FIRENDS "CABARET N…

今年デビュー30周年を迎えた国際的ソプラノ・中島彰子。アニヴァーサリーを記念し、東京・丸の…

室田尚子
2年前
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今、もっとも注目すべき若い才能〜【Concert】高野百合絵&黒田祐貴デュオ・リサイタ…

今年、兵庫県立芸術文化センター『メリー・ウィドウ』で主役を歌い大好評を博した高野百合絵と…

室田尚子
2年前
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「レクイエム」とは何か〜【Concert】二期会スペシャル・コンサート ヴェルディ『レ…

 昨年行われる予定だった東京二期会によるヴェルディ『レクイエム』のコンサートが、指揮者を…

室田尚子
2年前
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「歌曲」が生み出す3つの情態〜【Concert】日本リヒャルト・シュトラウス協会特別演奏会 森谷真理ソプラノ・リサイタル

 非会員も参加できる日本リヒャルト・シュトラウス協会の特別演奏会。今回はソプラノの森谷真理が、リヒャルト・シュトラウス「4つの歌曲」作品27、ドビュッシー「抒情的散文」、ラヴェル「シェエラザード」を演奏した。ピアノは河原忠之。  森谷が類まれな歌手であるということは、これまでに聴いたいくつものオペラやコンサートでわかっていたつもりだったが、今回、その恐るべき才能に新たに驚かされることになった。「歌曲」とは、それぞれの「言語」と「音」とが分かち難く結びついているだけでなく、そ