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室田尚子のレビュー/Cinema-opera編vol.1

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ライブビューイングなど映画で観たオペラのレビューをまとめています。
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記事一覧

「有害な男らしさ」が生んだ悲劇〜英国ロイヤル・オペラ・ハウス『リゴレット』

 英国ロイヤル・オペラ・ハウス(以下ROF)のシネマシーズン2021/22、4作目はヴェルディ中…

室田尚子
2年前
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ヴィオレッタの悲劇とは何か?〜【Opera】ウィーン国立歌劇場『ラ・トラヴィアータ』…

 ウィーン国立歌劇場のサイモン・ストーン演出の『ラ・トラヴィアータ』を配信で観た。舞台は…

室田尚子
3年前
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【Opera/Cinema】グラインドボーン音楽祭『ビリー・バッド』

 20世紀イギリスを代表する作曲家ブリテンが、『白鯨』で知られるアメリカの作家ハーマン・メ…

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室田尚子
3年前
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【Opera/Cinema】METライブビューイング『さまよえるオランダ人』

 とにかくゼンタのアニヤ・カンペがすごい。METデビューだそうだが、日本では新国立劇場でゼ…

室田尚子
3年前
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【Opera/Movie】ウィーン国立歌劇場『椿姫』(OTTAVA.TV)

インターネットラジオのOTTAVAが動画配信サービス「OTTAVA.TV」を開局。9月7日に開幕したウィ…

室田尚子
4年前
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【Opera/Cinema】METライブビューイング『椿姫』

 新音楽監督のヤニック・ネゼ=セガンの指揮、マイケル・メイヤーの新演出、ディアナ・ダムラ…

室田尚子
5年前
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【Opera/Cinema】METライブビューイング『マーニー』

 ウィンストン・グラハムの原作をヒッチコックが映画化したことで知られる『マーニー』を、若きアメリカの作曲家ニコ・ミューリーがオペラ化。これがMET初演ということで、公開前から1950年代風のカラフルな衣裳(アリアンヌ・フィリップス)や舞台の写真が公開されるなど、観客へのアピール度の点では、今年度のライブビューイングの目玉公演のひとつだったことは間違いない。期待通り、非常にスタイリッシュなヴィジュアルが楽しめたが、本作の何より大きな特徴は「わかりやすさ」にあったと思う。  そ

【Opera/Cinema】METライブビューイング『西部の娘』

 『ラ・ボエーム』『トスカ』『蝶々夫人』ときら星のごとく名作が並ぶプッチーニのオペラの中…

室田尚子
5年前
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【Opera/Cinema】METライブビューイング『サムソンとデリラ』(新演出)

 とにかく「大げさ」なオペラである。旧約聖書に題材をとったストーリー、長いバレエシーン、…

室田尚子
5年前
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【Opera/Cinema】METライブビューイング『サンドリヨン』

 今シーズンのMETライブビューイングの最後を飾るのは、シャルル・ペローの童話「シンデレラ…

室田尚子
6年前
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【Opera/Cinema】METライブビューイング『コジ・ファン・トゥッテ』

 MET新演出の『コジ』。演出のフェリム・マクダーモットは舞台を1950年代のコニーアイランド…

室田尚子
6年前
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【Opera/Cinema】METライブビューイング『魔笛』

 1週間に2回も『魔笛』の映画版を観るなんて(実は私、『魔笛』はそれほど好きなオペラでは…

室田尚子
6年前
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【Opera/Cinema】英国ロイヤル・オペラ・ハウス『魔笛』

 英国ロイヤル・オペラハウスの人気公演(オペラ、バレエ)を映画館で観られる「シネマシーズ…

室田尚子
6年前
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【Opera】METライブビューイング『ばらの騎士』

『ばらの騎士』は私にとって「特別なオペラ」だ。何がどう「特別」なのか、言葉でうまくいえないのだけれど、なんというか、この作品を観るといつも、心の奥にある「やわらかい場所がしめつけられる」気がする。それは、初めて実演で観た1994年のカルロス・クライバー指揮ウィーン国立歌劇場の来日公演のときからずっと変わらない。 特に「自分はもう若くない」と感じている人にとって、このオペラはとても「刺さる」作品だ。「もう若くない」ことを感じ始めている30代の元帥夫人。彼女は地位も財産もある貴