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シネマの記憶

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古い映画、新しい映画、取り混ぜて、勝手きままに記憶に残っている映画を取り上げていく「シネマの記憶」。いわゆるレビューとは違い、本筋から遠く離れたお話になったりもします。秀作ばかり… もっと読む
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記事一覧

シネマの記憶013 願いは荒野を駆け巡る

 9年ほど前になるだろうか。友人たちと昭和の風情が残る四ツ谷荒木町で落ち合い、互いにコト…

シネマの記憶012 老人に住む土地なし

 先日たまたま目にしたニュースに驚いた。業務用コンプレッサーを悪ふざけで同僚の尻に向けて…

シネマの記憶011 ありえたかも知れない人生

 井上陽水のファーストアルバム「断絶」に、「人生が二度あれば」という曲がある。そんなもの…

シネマの記憶010 母なる証明

 中年の女性がひとり、枯れ野を歩いてくる。笑っているようにも見えるし、深い悲しみを抱えて…

シネマの記憶009 発熱する魂

 昼はハリウッドのスタント・ドライバー。夜は強盗犯の逃走を請け負うドライバー。昼と夜が「…

シネマの記憶008 ムンバイの熱風

 主人公ジャマールがクイズ・ミリオネアに出場。ラスト1問まで到達したところから物語は始ま…

シネマの記憶007 奇妙な時間

 もう10年ほど前になる。どこの映画館で観たのか忘れてしまったのだが(渋谷Bunkamuraだったかな?)、ノルウェイ映画「ホルテンさんのはじめての冒険」を観ているあいだ、ずっと奇妙な感覚に包まれていた。だからといってイヤな感覚というわけではなかった。 ベテラン運転士ホルテンさん(ボード・オーベ)、アパートで一人暮らし。お弁当と飲み物を用意し、鳥カゴに覆いをかけて仕事場に向かうシーンから、この物語は始まる。電車に乗り込んで、やおらパイプに火を付けて出発。おそらく十年一日のごと

シネマの記憶006 嘘の破綻

 人間は嘘をつく生きものである。そう云い切ってみると、なにか溢れてしまうものがある。動物…

シネマの記憶005 小さな奇跡

 こんなにも起伏が少ないのに、これほどまでに愛おしい作品も珍しい。映画「千年の祈り」の舞…

シネマの記憶004 瞳の奥の秘密

 あらためて調べてみたら、このアルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」が日本で公開されたのは2010…

シネマの記憶003 神話的な世界

 「蜂蜜」は、トルコ系ドイツ人の映画ではなく、トルコ映画である。監督はセミフ・カプランオ…

シネマの記憶002 LESS IS MORE

 昨日「モリのいる場所」を渋谷ユーロスペースで観てきた。最初に云っておくと、スクリーンに…

シネマの記憶001 自由への欲求

 日本では、結婚式にのぞむ新婦を「花嫁さん」と呼び習わしている。結婚したての女性のことを…