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道東から宇宙への挑戦(釧路市)

 北海道釧路総合振興局です。
 今回は、2023年8月に鈴木知事が訪問した株式会社釧路製作所(本社:釧路市)について紹介します。

 釧路製作所は1956年(昭和31年)創業の会社で、当時は釧路市(旧阿寒町)にあった雄別炭鉱に関連する業務を請け負っていたそうです。
 
 現在では橋梁の設計・施工などが事業のメインとなっていますが、最近では宇宙産業にも参入を始めています。

釧路製作所・本社前に保存されている雄別炭礦鉄道車両

社会状況の変化に対応した多角化

 釧路製作所では、これまで多くの橋梁の設計・施工を行っており、釧路市内の多くの橋梁のほか、札幌市にある菊水円形歩道橋も同社が手がけたものです。

 しかし、今後人口が減少していく中で、橋梁の需要も徐々に低下していくと見込まれることから、同社では橋梁事業への依存から脱却が必要という認識が生まれました。

 同社の代表取締役社長の羽刕洋(うしゅう ひろし)さんは「外部環境に左右されない、社会状況の変化に対応できる強靭な経営基盤が必要」と語っています。

 そうした中で、若手社員の意見なども聞きながら宇宙ビジネスへの参入を決めます。

代表取締役社長 羽刕洋さん

宇宙ビジネスへの参入

 釧路から車で2時間ほどの距離にある大樹町ではインターステラテクノロジズ株式会社(以下、IST社)がロケットの開発・打ち上げを行っていました。

 釧路製作所の社員が宇宙セミナーに参加したのをきっかけに、当時の大樹町長に「宇宙ビジネスのお手伝いがしたい」と申し出たところ、IST社を紹介され、工場を見学することとなりました。

 そこから、IST社への出資、ロケット発射設備の受託と話が進み、釧路製作所では機械への投資や国際認証の取得を行い、宇宙ビジネスへの本格参入が進んでいくことになります。

若手社員の熱意と「挑戦する企業」

 釧路製作所が宇宙ビジネスへの参入を決めた背景には、若手社員の熱意がありました。

 大樹町長やIST社への訪問を働きかけたのは、30代の社員で現在は航空宇宙モビリティ事業室に所属する中川翔太係長です。

 中川さんはそれまで個人的にクラウドファンディングでIST社を応援するなどしていましたが、実際にIST社を訪問してみると、北海道でロケットを本気で作っている姿に感銘を受けたそうです。
 
 そして中川さんは「会社としてIST社の挑戦を応援したい」という思いを釧路製作所の経営陣にぶつけたところ、IST社への出資が決定し、その後ロケット発射に使用する地上設備の受注をすることになったそうです。
 
 2019年(令和元年)5月にIST社のロケットが日本の民間企業で初めて宇宙に到達した際には、中川さんは感極まり号泣したといいます。
 
 釧路製作所の宇宙事業は、当初は地上設備のみの関与でしたが、今後はロケット本体や人工衛星、衛星データにも挑戦していくことを目指しています。

 このように釧路製作所では「道東から宇宙産業を確立させる」という目標に向かって若手社員が奮闘しながら、会社の技術を応用し、新たな分野を開拓しています。

宇宙ビジネスへの想いを語る航空宇宙モビリティ事業室の中川翔太さん

 北海道では、鈴木知事が地域の創意工夫ある取組を直接お聞きし、道の施策に反映するとともに、広く発信していく「なおみちカフェ」を実施しています。
 今回ご紹介した釧路市でのなおみちカフェの様子は、以下のリンクからご覧いただけます。

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