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都市を離れ見えるもの

東京の家から出て早くも一ヶ月以上が経過しております。
今までは仕事があると遠方に行き、しばらく滞在してから家に戻る、という行ったり来たりをしていたのですが、こんなに出っ放しは実は初めて!
 
本当は帰るつもりだったけれど、地方で仕事をすることを考えると、東京が緊急事態のうちは控えよう、と思ったのがきっかけだったのですが、それがまた楽しくなっちゃった。何か制限をかけると、新しい視点が出るので好きです。
  
1ヶ月も放浪していると、いろいろ気づきもあるものです。
洋服は、まぁ暖かくなるだろう!とTシャツ多めにしたのは少々間違えたけれど、いつものデニムシャツとTシャツと、デニムパンツと、作業着と、エプロンと、寒かった時の薄いマイクロパフダウンと、ぐらいの装備。あとは寝袋。登山用の暖かいスパッツは重宝しています。
 
食材も、お米とお味噌と基礎調味料と、調理道具と、あとは現地にて野菜を買ったり頂いたり。味噌とお米は持ち歩き食として最強だなぁと実感しています。
あとは何を車に積んでいるかというと、仕事に使う調理道具やパエリアパンやシャベルやらノコギリやら。
 
何か足りないものが出てくるだろうと思っていたけれど、あれ?意外に帰らなくてもいけるなぁと気づいたわけです。

今は長野にしばらくいます。
 
よく言えば旅人で、違う言い方をすると、居候。
  
特別なご飯を作る、が仕事だけれど、
普通のご飯も作るようになりました。
 
グッと肩に力を入れるんじゃなくて、
力を抜いたごはん。
 
食材も余すところなく使うようになりました。
正確にいうと、そういうことをする時間が生まれました。
  
カブの葉っぱがたくさん余ったので、野沢菜みたいにつけたり。
のびる醤油が美味しかったり。
野菜も常に友達農家さんから手に入るので、野菜カスでスープをとったり。
 

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丁寧な暮らしをしている人たちのところへ行くと、それらが当たり前のように行われていたけれど、私にはそれが特別に写っていました。
例えば、淡河のNIUFARMのゆきえさんが、ストーブの上に野菜カスの入れた鍋をコトコトしていたのが忘れられません。こないだも、ゆきえさんがROKKONOMADで作ってくれたまかないスープがしみました。野菜のだしと森野さんの玉ねぎと高木くんのセロリのスープが、本当に美味しかった。
え?動物性の何かは何も入っていないの?というくらいに、それだけでもすごい力があった。
 
野菜の力はすごいと思っているけれど、それでもやっぱり動物性の骨とかで出汁をとりたがりの私ですが、自分の周りから物がどんどん削ぎ落とされて行くと、あるものでこんなにも色々できるのか!という発見を、身にしみて感じています。
  
神戸て丸々1頭20kgの鹿を使った時も、解体後にその骨で、筋で、スープを炊いたら、みんなで分けても、スープやらほろほろになった肉やらで、5日間くらい鹿の何かを食べていた。
この1頭の命で、こんなにも食いつなぐことができて、こんなにもたくさんの人の胃袋を満たすことができるのかと。多分、イベントで60人、まかないやらで30人分くらい、だから90人くらいはこの鹿の恩恵に預かっていると思う。
そして、しばらくもう肉はいりません。
そんな気持ちにもなった。
たまに食べるので、十分だなぁと。
お恥ずかしい話、おならも臭くなるのよ。体の匂いも。

やっぱり食べているものが体を巡っているなぁって思う。

言うなれば、肉はハレの食事だ。
今は、ケの部分も見るようになった。
 
あれば欲しくなるけれど、なければないで、事足りる。

消費欲も煽られないので、そういう意味でも欲しいものだけがある。
 
足るを知る。
東京は物が多かったなぁ。
 
そして、飾ることが多かった。
まだ順応中ですが、より素のままで過ごせるように。
 
そんなことを感じている最近です。
 
パン買ってハムとチーズ買って、サンドイッチ作ってコーヒー入れて。湖の前でお昼(強風だったけどそれもまた良し笑)。アァ、それだけで十分幸せって、思い出させてもらった。フランスにいた時に感動した感覚と一緒だった。
 
大切にしたい軸の一つ。
 
自然があるところに居座ると、また違った方向の物欲が湧いてきます。あの竹欲しいとか、あの木欲しいとか、あの葉っぱ欲しいとか、あの鉄の釜ほしいとか。鹿の皮でラグ作りたいとか。
 
神戸でカーリマン新田さんからもらった鹿の皮を、冷凍のまま運び、長野の人ん家の厨房で肉を削いで洗い、漬け込み、人ん家の軒先で干した私。オイラとんでもないやつだ。笑
 

つくづく友に感謝である。ありがとうございます。

最近は、より楽しみな仕事も増えてきました。

そして、片足を地面につけるための拠点を探しています。

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