naomikami

旅する料理人。採集民族。旅先にて生産者を訪問し、その場で集まった食材で料理をするのがラ…

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旅する料理人。採集民族。旅先にて生産者を訪問し、その場で集まった食材で料理をするのがライフワーク。 東京農大卒。栄養士として小学校勤務後、渡仏、渡米。カリフォルニアの地産地消レストラン「ChezPanisse」を経て、日本全国を料理と採集で行脚。焚き火と縄文が好き。

最近の記事

火を囲む

火を囲んで話をする。それはカリフォルニアにいた時に、まだ日本から到着して数日の私が、ぽつん、現地の仲間の輪に入れてもらった時だった。 庭でいちじくの葉に包んだ魚を焼きながら、みんなで火を囲む。久しぶりの英語に頭がついていくのがいっぱいだったけれど、火を囲んでいると、不思議と輪の中に入れてしまうのだ。 私はちゃんと喋れていたのか、どうだったかは忘れてしまったけれど、あのえも言われぬ一体感と楽しかったことははっきりと覚えている。   火を囲む。   そこには言語を越えた何かがある

    • 自然がアートかアートが自然か

      2022.3.21自然がアートかアートが自然か それは、生き物だった。 一つ目の妖怪のような。   竹藪の手前に、聳えるように立っていた。 すでに朽ちてはいるが、なお、生きているような存在感。 木の麓に、小さな祠。 その気持ちが、わかる気がした。 只者ではない雰囲気。   これは、神様なのではないか。 岡本太郎の絵画を思い出さずにはいられない。 アートは自然の模倣か。 木を見ると、特に思うのだ。 自然が生み出した、なんとも美しくも奇妙な造形美。 こないだも登山

      • 石神の松の花火を打ち上げる

        4/9に長野県は中川村に「石神の松の花火」を見に行きませんか? 中川村に通い続けるうちに、地域の活動にまで顔を突っ込むようになってしまいました。笑 なぜこんなに気になってしまったか、その理由を語りましょう!   中川村には、石神の松という樹齢推定300年の松がありました。 (ここで石神に反応された方は、相当なマニア!そのあたりはまた今度に。) この松には伝説があり、 ”元和の頃(西暦1615年から1623年)常泉寺に一人の山伏が寄ぐらしていたが、その法力は顕著であった。 当

        • 戦争よ

          2021.2.28 戦争よ 一人一人はきっといい人なのであろう。 その鎧を剥がし、一人一人として話したら。 しかしなぜ、起こってしまうのか。 私は友人のロシア人のことを思い出した。 とても優しいユーモアに溢れた人だった。 だからこういうことが起きたとき、ロシアは最悪だ、と人と国を全てまとめて否定するのはなんとなく忍びない気がしてしまうのだ。 ロシア国内の人は、誰がこれを望んでいるというのか。 反戦デモを見ても明らかだ。 ”ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアやベラルー

        火を囲む

          街路樹を見て

          2021.2.26 街路樹を見て 2ヶ月ぶりに東京へ戻ってきた。 やはりこの空気の味、水の味、目に入るほこり、人の多さは、気になるところだ。 久々に帰る自分の部屋は、なんだか小さく見えた。 思い返せば、確かに私は広い空間にばかり住んでいたのだった。 しかもそれは、どれも昔の家だ。スゥスゥと寒い、昔の家。しかしどこか心地の良い、息をしている家。 待ち合わせをしているカフェへと渋谷の方へ自転車を走らせる。 街路樹がぽつりぽつり。道に沿って生えている。 なんとまぁ規則正し

          街路樹を見て

          字も農

          2022.3.1 字も農 庭文庫にて、100円コーナーに目を奪われた。 100円でいいんですか?と思うほどに、私の好みのタイプの本ばかりが並んでいたのだから。 今朝はその中の1冊、字源物語を開いた。   普段使っている言葉の成り立ちは興味深い。象形文字というものは、元になった様子がわかるからなおさらだ。 人の営みの、元。 そしてそこには、やはり食べるということが出てくる。 それは、農。 まずは豆という字について。 味噌作りに勤しんでいたために、また、節分を過ぎて間も

          いもごねもち

          いもごねもち。またもや幸せな食卓にありついてしまった。 おかさげ農園の大江栄三さんの元を訪ねた時のことだ。 褐色の冬景色の中、もくもくと湯気が上がり、私の好きな田舎の光景が飛び込んできた。大江さんは、ちょうど味噌づくりのために、焚き火で豆を煮ているところだった。 2日前、私も中川村で味噌を作っていた。豆の色は緑色。鞍掛豆に少し似ている。これは飛騨高山の在来種。はところし という豆だ。由来はおいしすぎて鳩が食べすぎて死んでしまうという説など諸説あるらしい。つまみ食いをさせ

          いもごねもち

          ほうとう

          2022.2.6  たっぷりの、ほうとう。 冷めやらぬうどん熱。しかしなんと寒い今日の諏訪。 ということで、今晩のまなかいはほうとうを作ることにした。 今日は15人前。 土鍋で4人前ずつくらいに分けて作ろうかと思ったのだけれど、 大きな鍋を発見してしまい、これはもう、大鍋で作ることにした。 正確にいうと、大鍋で作りたくてしょうがなくなった。 ほうとうの麺はうどんと同じかと思いきや、塩は入れない。 ぬるま湯を入れて、まとめて寝かせる1.5kg。   その間に、汁の準備。

          ほうとう

          ぺちゃんこいも

          2022.1.ぺちゃんこいも それは朝の慌ただしい豆餅作りの準備の時。 餅米を蒸すために薪で火を起こし、羽釜に入れたたっぷりの湯を沸騰させる。 蒸し器をセットし、蒸し始める。 せっかく火を起こすならと、さつまいもを灰の中へ入れておいた。 焼けたものから、竈門の横に置いていく。 あ!踏んじゃった! 横に避けておいたお芋は、見事にぺっちゃんこ。 黄色い中身がチラリと見える。 それは見事に、干し芋のように平になった。 なんだろう。 美味しそうではないか。 永子ちゃんの反

          ぺちゃんこいも

          旅の味噌汁

          おにぎりの記事を書いていたら、海苔とご飯を食べたくなった そしていつも、一緒にお味噌汁 旅に何を持ち歩くって。 お米とお味噌だ。あとは日持ちのする野菜。 醤油にお塩。 あとはおいしいお水があればよし。 理にかなっているよなぁ。 結局ここに辿り着くんだもの。 今日はとても海苔が食べたくなった。 こう言う時は、海苔に含まれている何かを、体が欲している時だと思う。 ああおいしい。 お米は友達の無農薬のお米。 精米したものだから、もう洗わず炊いた。 だってパエリアとか

          旅の味噌汁

          写真に映えることと心に残ることと

          写真に映えることと心に残ることと 美しい景色を捉えるのはとても大切。 だけれども、それは後からついてくるもので、それを目指して作るのではないということ。 焚き火は映えるというけれど、映えるから焚き火をしているのではないということ。火を囲んで食を囲むことが楽しいから焚き火をしているのだということ。 それを作って絵にして写したとしても、その場が楽しくなければ、忘れてしまう。膨大な情報だけの世界の、ただの1枚にしかならない。 残像として心に残っているものは、心が動いた時だ。 文章

          写真に映えることと心に残ることと

          鹿の成仏

          鍛冶屋であり猟師でもあるomotoのヤストさんから、その話を聞いてから、諏訪大社に行こうと思っていた。まさに、それが今日叶った。 鹿食免を手に入れた。 鹿を丸焼きにすることが増え、鹿肉を使うことが増え、料理をする身として、これは手に入れておかなければと思っていたのだ。 鹿食免は何かというと、鹿肉を食べても良い、という諏訪大社のお墨付きである。 仏教伝来以降、全国的に殺生が忌み嫌われる中で、人々は諏訪大社の発行するこの免状を授かり、諏訪の勘文を唱えることで、鹿肉を食べる

          鹿の成仏

          2021.11.13喉が渇く

          資料館に入り浸っていたら、 すっかりご飯を食べるタイミングを逸してしまった。 帰りのバスの時間は間も無くだ。 空腹を埋めるべく、食べ物を探すも、ない。 仕方なく、あんぱんを手に取る。 これでしばしの空腹を紛らわす。 待てど暮らせどもこないバスは40分遅れでやってきた。 空腹は治らず。 サービスエリアでの時間は10分。この10分ではうどんも食べれない。 焼肉まんなるものを見つけ、それを食べることに。 しかし結局後悔。 同じ味のする肉に、ネチネチの小麦の生地。 少し予想はし

          2021.11.13喉が渇く

          2021.11.12 白いダイヤ

          大豆の収穫。6月の種まきから、ついに、収穫の時期となった。 「大安の日に収穫しようと思います!」 東京でもやもやしていた私の心にその言葉はタイミングよくヒットした。 天気が雨かもしれない、そしたら柿むきにしよう。 せっかくなら大豆を収穫したいなぁ。その気持ちの私は、自分が晴れ女という自負のもと、絶対晴れると確信していた。 諏訪から伊那谷を越え、いざ中川村へ。 相変わらず美しい光景を見せてくれる。ちょうど紅葉の終わり。 晴れていた天気は途中から曇りに変わったが、雨は降らなそう

          2021.11.12 白いダイヤ

          募集 8/19 Around the fire2 石川

          大切に育てていきたいプロジェクトの2回目です。 過去アーカイブはwebよりどうぞ。 「8/19 AROUND THE FIRE 2」 人類は火を使うことにより飛躍的に進歩した。古来から、火は生活になくてはならない存在。焚き火を囲み、自然の恵みを料理して、一つの食卓を作る喜びを。 原点回帰。遠い昔に想いを馳せて、昔、今、未来を考える。 <日時> 8/19木 小雨の場合決行、荒天の場合中止(前日の18時までに判断) <会場>黒崎海岸 浜茶屋「入りのや」前 今回訪

          募集 8/19 Around the fire2 石川

          釣り

          人生で初めて釣った。 釣った魚を料理して、食べる。 野菜は全て知っている人からの野菜。 これは非常に豊かであった。 でも、同時に時間がかかった。 田舎と都会では、時間の使い方が違う。 田舎は暇だと思うだろうか。 スローライフ しかし、そうではない。 暮らしが、忙しい。 魚を釣り、釣った魚を、痛まないように、 食べる分以外は干物にしたりする。 あーよく遊んだ、とサッ子ちゃんは言った。 でも、これは遊びだけれど、私はこれは暮らしだと思った。 草刈りをし