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巡査どの!その節は。。1. 聴取 (-。-;

こんな私にも、
世間に独り暮らしを心配されるべき
年頃がありました。

これはその頃、お世話になった方々や、
おまわりさんへの
感謝と懺悔の話でございます。

私には、
人とスイッチの違うところが
若干あります。

なぜ、ズレているのか
わかりませんが、例えば、
生い立ちの住環境が違う。

昭和の北海道、ど田舎でも都市でもない
中途半端な町。
庶民の家は、むき出しコンクリ、窓は二重。
屋根は雪が滑り落ちやすいトタン、鉄板。

家は日当たりが最重要項目で
窓は基本南向き、トイレは北側。
機能性重視の四角い家に屋根がのってる。
凝ったデザインの間取や情緒など
持たない家がほとんど。

そんなところで育つと、

テレビのホームドラマや
日本昔ばなしで見るところの、

木の塀をまわし、庭に梅や松の木、
縁側、雨戸雨どい、障子に廊下、
どれも憧れでした。

だから、
大阪で初めて選んだアパートは、
私なりにドラマチックでした。

共同玄関のすぐ横の1号室。
4畳半に台所の板間が3畳。
玄関と壁一枚に小さな窓つき。
おまけに他の部屋より広い。

あ、かわいい!
こんなところに窓があるんですね、
と喜んでましたら、

ここは元管理人室でしてん、
でも窓、開かへんから安心して、と

大家さんは心配いらんを、
何度も言いました。

木の廊下突き当たりの共同トイレは、
上から鎖を引っ張ると
水が出るパターン。
お〜!テレビで見ました〜♫ と。

大家のおじいさんが、
本当にええのか?
みたいな顔していました。

入って一週間ほどしたある日、
部屋に、和タンス、テーブル、
扇風機、テレビが入っていまして。

へ!買ってませんけど、って
大家さんに言ったら、

倉庫にあるから使ってええよ、と。
私の荷物が、みかん箱2個。あとは
冷蔵庫、布団しかないと知ったから。

私はそういうところがありました。
いつか出ていく、が根っこにあるようで。
物はいつも最小限。
別にポリシーではなく、
引っ越しが大変だからです。

でもタンスがあると、やはり便利でした。
6段の引き出しに、洋服、
勉強道具や雑貨、食器など、
靴以外は、そこにすべて入りました。
今思えば、とんでもない娘でした。

洗濯は共同洗濯機、
物干しだけは部屋に用意しました。

お風呂は当然、銭湯通いでしたが、
事件は、そこで起きたのです。

日曜夕方、明るい時間、Tシャツ、Gパンで
通い慣れた、銭湯から私のアパートへの道。

途中の公園が目に入った瞬間、後ろから、
勇気のない痴漢が、勇気をふり絞って、
私の背後から抱きつきました。

すると、
あれはなんだったんでしょうか。

自分でも、どこから出たんだろう?
というような、
この世のものとは思えぬ音を出しました。

たぶん、
ギェヨアアャ〜〜〜みたいな
感じでした。
そして思いっきし、
両腕で手桶と石鹸、洗面道具を必死に守った!

それでもヤツは手を放さないので、
ヒジでもって、さらに洗面道具を死守し
ギョエア〜〜クッ〜〜〜!!
を連発しました。

すれば、速攻でご近所が総出です!
怪獣でも出さないような
ダミ声の大絶叫ですから。
かわいくもなんともありません。 

が、それによって
ランニング姿、ステテコのおじさんが
オラ〜〜〜っっ!と
痴漢をドヤしにかかったように思います。

スッと洗面道具が解放されて
私も楽になりました。

見ると、
小っちゃいつっかけをひっかけた
ステテコのおじさんが
逃げた痴漢を
見えなくなるまで追っかけてくれる
遠ざかる足音がしました。

が、まもなく、
あかん、逃げられてもうた、と
悔しそうに、つっかけを鳴らして
戻ってきました。

ご近所の方々に優しく囲まれ、
面倒みのいいおばさんが、
道端にも関わらずスイカをです、
食べなさい、と持ってこられ、

おじさんが送ろうか、と言ってくれ、
そらぁ危ないな、
と誰かがツッこんでました。

警察届けときや、と言われ、
私は数日後、
友人の男女カップルと共に
夜、曽根崎警察へ行きました。

この名前、どっかで聞いたことある
と、つぶやいたら、

曽根崎心中や、と友人に言われました。
歌舞伎の心中モノです。
夜11時半、警察の廊下は薄暗い。
目に見えない何かがいそうでした。

阿倍野で起きたのに、
地下鉄で30分かかる所の心中モノの地
なぜそこに行ったのか
記憶にございません。

友人の男女は廊下で待ち、
私は刑事さんに取調べ室で状況を説明。
刑事さんは、見つかったら連絡しますわな、と。
聴取は30分かからなかったと思います。

取調べ室から出ると友人の彼が、

無事出てきてよかったわあ、
オレ、あの刑事の方が怖い思うた
と冗談言っていました。

心配してくださったみなさん、
ありがとうございました。

刑事さんは優しくしてくれました。ご心配なく。
痴漢がつかまった話しは聞いておりません。

女の独り暮らし、これで学びました。
にもかかわらず、私はまた
巡査にお世話になるのです。続きはまた…。
お読みいただきありがとうございます。

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