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カッフェ・アメリカーノ ―やめておけ! それは福岡でヤワ麺を頼むの同じだ!

イタリアでは、カフェのことを bar バールという。

そして、下記の公式が成り立つ。
コーヒー = カッフェ ≒ エスプレッソ

イタリア語 caffè = 英語 coffee のことなのだが、
イタリアでカッフェくださいと言えば、
どのコーヒーですか? とは問われない。

自然な流れでエスプレッソが出てくる。
ほんの少しの量しか入らないデミタスカップに入って。

イタリアでコーヒーと言えばエスプレッソ
提供されてからまだ手を付けていない状態で、小さなカップにこの量だ。

イタリアの人々は、エスプレッソを本当にこよなく愛している。
そしてそのバール文化も。

コーヒーは好きだが、濃いのはちょっと苦手、
という方もいらっしゃるかもしれない。

では、そのような方は何をオーダーすれば良いのだろうか?


エスプレッソに対するよくある誤解

ドリップコーヒーが好きな方へのオススメをご紹介する前に、
エスプレッソに対してお持ちかもしれない、
よく誤解されていることについてお話したいです。

エスプレッソは濃いため、
ドリップコーヒーよりもカフェインいっぱいで苦手
と思われる方も多いかもしれません。

おっしゃるとおり、確かに味は濃いですね。

お店によって多少の幅はあるかと思いますが、
使用するコーヒー豆とお湯の量は、だいたい以下の感じです。

エスプレッソ 豆:約7~10g 抽出量:25~30cc
ドリップコーヒー 豆:約10g 抽出量:150~160cc

そう!
エスプレッソはドリップコーヒーよりも
使用する豆の量は大抵少ないのです。

しかも、ドリップコーヒーよりも短時間で抽出が完了するため
豆からカフェインが溶け出しにくく、その結果、
実際のカフェイン量はドリップコーヒーよりも少ないのです。

エスプレッソは、高温で圧力を掛けて淹れるため、
少ない抽出量であの濃厚な味の深みが楽しめるんですね。

でも、美味しいからって、量が少ないので2杯飲んでしまうと、
ドリップコーヒー1杯よりカフェインの量は増えてしまいますので、
夜のひとときはご注意を。


イタリアで、濃いのが苦手な方にオススメのコーヒーは?

イタリアでドリップコーヒーを飲みたくても、
通常、ドリップコーヒーはメニューにないのだ。

本場のイタリアに行かれた際、エスプレッソが飲める方は、
とにかく美味しいので、エスプレッソをぜひご堪能くださいませ。

では、濃いエスプレッソが苦手な方は、何をオーダーしたら良いだろうか?

日本人が通常飲むようなコーヒーに少し近いものは、
 ・カッフェ・アメリカーノ(caffè americano)か、
 ・カッフェ・ルンゴ(caffè lungo)
になるだろうか。

カッフェ・アメリカーノ
なーんだ、無いとか言っときながら、アメリカン・コーヒーあるじゃないか
と思ったあなたは、ア・マ・イ!

ほとんどのイタリア人は、
アメリカンのような薄いコーヒーを飲む習慣がないため、
ドリップで淹れてくれた美味しいコーヒー、とはいかない。


カッフェ・アメリカーノ

あなたがカッフェ・アメリカーノを注文したことに
バールにいる周りのイタリア人が気づいたら、

え?何かの冗談?
アメリカーノ頼むの???

と周りはザワツクかもしれない。

そして、バリスタから通常のエスプレッソが提供され、
それとは別に、お湯の入ったカップも一緒にドンッと渡されて、

お好きな濃さにお湯で薄めるなりなんなりと、
さぁ、もうあとは好きにやってくれ。

というバールも多いかもしれない。

もちろん大きな観光地などでは、お客さんに自分で割ってもらわずに、
裏でお湯で薄めてから出してくれるところもあるだろう。


こんなアメリカン・コーヒーはヒドイ!
と思われるだろうか?

ただの文化の違いである。


やめておけ!それは福岡でヤワ麺を頼むのと同じだ!

福岡県民の僕が、地元のお気に入りのラーメン屋さんで
至福の時を満喫している時の出来事である。

隣の席は、どうやら県外からの観光客のようである。

大将:「お客さん、ご注文は何にします?」
お客:「あちらのお客さんが美味しそうに食べているのは?」
    そして、僕の器をチラミする。

自分:(地元民を参考にするとはいい度胸じゃないか。
    ・・・正解っだ!!!
    このお店のオススメは僕が食べているこのノリタマだ!
    あぁ、見てくれよぉ。
    スープに溶け出さんばかりに旨そうなこの煮玉子を!)
大将:「のりたまラーメンですね」
お客:「じゃあ、それを2つと…」
自分:(大正解っだ!
大将:「麺の硬さは何にしやすか?」
お客:「ヤワで!」

はーい! このお客さんは、今、人生を間違えました。
すべてが台無しである。

自分:(え?何かの冗談?聞き間違い???
    県外から来られた方ならカタ麺じゃないとしても、
    本気の本気で、ヤワ頼むの!!???)

今すぐファミコンのリセットボタンを押して、
福岡行きの飛行機のチケットを取るところから
もう一度やり直すことをオススメします。

それまで私は至福の時を過ごしていたというのに、
「ヤワ」という、たったヒトコトを耳にしてから
どこか無性に落ち着かなくなった。

差し出がましくも、そのお客さんの注文を
勝手に取り消したくなる、はやるこの気持ちを

なぜか自然に溢れ出て
どんぶりにこぼれ落ちるこの悔し涙を

自分のバリカタをすする音で、
外国人がとても嫌がるというこの音で誤魔化しながら、
俯いて必死に耐えている僕がラーメン屋にいた。


あぁ、今もあの情景を思い出すだけで、
今夜は眠れなくなりそうだ。

※これは、福岡のとある小市民が
 感じたことに過ぎませんので、お気になさらず


カッフェ・ルンゴ

ということで、イタリアで薄めなコーヒーが飲みたい場合、
個人的にはカッフェ・ルンゴの方がオススメだ。
ルンゴは、英語のロングである。

※エスプレッソがお好きな方は、カッフェがオススメ!
 エスプレッソが大好きでたくさん飲みたいという場合は、
 カッフェ・ドッピオがオススメです。
 (味が薄いルンゴをオーダーする必要はございません)


カッフェ・ルンゴは、
エスプレッソと使用する豆の量はだいたい同じだが、
エスプレッソにくらべて抽出に使用するお湯の量がだいたい倍に増え、
抽出時間を長めに取って淹れるコーヒーだ。

こちらはアメリカーノと違って、ちゃんとメニューに載っていることがほとんどで、カッフェ・アメリカーノよりも美味しいと思う。

しかし、抽出時間が長くなっている分、
ちょっと普通のエスプレッソよりも雑味が増しているように感じる。


エスプレッソをこよなく愛する僕は、
普段はドッピオ(ダブルショット)をオーダーしている。

エスプレッソマシンは、1つの注ぎ口から2杯分淹れることも可能なのだが、ドッピオは、その2杯分を淹れるの時の要領で、それを1つのカップに抽出する。それで通常のエスプレッソの味の濃さのまま、カフェイン2倍、量2倍なのだ。あぁ、幸せな時間だ。

そんな僕でも、たまにはカッフェ・ルンゴを頼むことがあるのだが、

・通常のエスプレッソでは30ccぐらい、と量がかなり少なく感じる
 (僕の場合、いつもドッピオを飲んでいるので特にそう感じる)

・それで、ある程度の量は飲みたいが
   ・今日は胃に優しい、ちょっと薄味が飲みたい
   ・OR 夜遅い時などで、カフェインを控えめにしたい

という時にうってつけだ。


イタリア ガルダ湖(Lago di Garda) のほとりのカフェでまったり


カッフェ・ルンゴ
苦くないコーヒーがお好みで
なおかつイタリアの本場エスプレッソの雰囲気も味わえる。
そして、バールを楽しんでいるイタリア人の心もザワツカせない。

オススメである。


それではまた! Ciao ciao, a dopo!
Naonardoでした。

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