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イタリアでも 「お猿のかごやだ ホイ・サッサ♪」

チャオ ア トゥッティ! (Caio a tutti! やあ みんな!)

私は、イタリアのトレヴィーゾ (Treviso) という街が本当に大好きだ。

ヴェネツィアから車で30分ほど北西に位置し、陸のベネツィアとも呼ばれる、運河に囲まれた大変美しい街だ。

イタリアでは、日本語どころか英語すら聞こえてくることは殆どありません。なのにトレヴィーゾで、意外にも日本語に出くわしたので、今日はそのお話を。

海外では、耳と脳が日本語に敏感に反応!

年末年始の時期、人々であふれかえるトレヴィーゾの旧市街を友人とあてもなくブラブラしていました。

イタリアでは街の中心に、ピアッツァと呼ばれる広場が大抵ありますが、トレヴィーゾでは、シニョーリ広場という市庁舎前の広場になります。

そこに差し掛かったあたりで、突然、日本語の音楽が耳に入ってきて、脳みそが反応しました!

【トレヴィーゾ シニョーリ広場 Piazza dei Signori】

前述の通り、イタリアでは、日本語どころか英語すら聞こえてくることがほとんどありません。それで、日本語が聞こえるととても新鮮で、耳と脳みそがとても敏感に反応したのです。

「えっ!?今一瞬、日本語聞こえたよね???」
と脳が反応したのですが、初めは遠くから、かすかに一瞬だけだったので、
「いや本当に日本語だったんだろうか? 自分の空耳では?」
と最初は自分の耳を疑いました。

ですが、また流れないだろうかと期待して立ち止まってしばらく待っていると、また確かに日本語が聞こえてきました。間違いありません!

一緒にブラブラしていたイタリア人たちの友人たちをよそに、一人でワーワー興奮してしまったのは言うまでもありません。

その日本語の曲は、ナターレ(イタリアのクリスマス)の時期に、シニョーリ広場に期間限定で置かれていた移動式メリーゴーラウンドから流れる音楽の一つでした。


流れていた曲はお猿のかごや!

流れていたその曲は、なんと「お猿のかごや」が原曲の歌でした。
しかもイタリアの音楽と融合しているではありませんか!
ちょっと音量が小さいですが、どうぞビデオをご覧ください。

最初の曲調は全く別の曲に聴こえるので、そこからは、
「エーッサ エーッサ エッサ ホイ サッサ お猿のかごやだ ホイ サッサ♪」と聞こえてくる気が全くしません!
それで、何だこの曲は!?と衝撃的でした!
(すみません、書いていてその時の興奮がよみがえってきました)

最初このメリーゴーラウンドから流れているのを見つけた時は、子どもたちが乗って回っていて楽しそうだったのですが、いざビデオを撮ろうとすると終了してしまいました。残念。。。原曲のYouTubeも後ろに載せているので、あとでご覧ください。


この曲は何なの?

イタリア語で、なんていう曲だろうと思って、イタリア人の友だちに聞いたりして探してみたところ、ボローニャで開催されるゼッキーノドーロという子どもを対象にした国際歌唱コンクールがあるのですが、そこで歌われた
「La scimmia, la volpe e le scarpe」という歌でした。(曲名の意味については後述)

YouTubeで原曲も見つけました!

ゼッキーノ・ドーロ 2010年で歌われた お猿のかごや
【Zecchino d'Oro 2010 -03 La scimmia, la volpe e le scarpe】

すっごい元気いっぱい歌っていますね♪
他のイタリア人の子どもたちも楽しそうです。

ところでこの子は誰なんだろう!? (調べましたので後述します)
まずは、

ゼッキーノ・ドーロ (Lo Zecchino d'Oro) とは?

ゼッキーノ・ドーロ(イタリア語:Lo Zecchino d'Oro、日本語では「ゼッキノ・ドロ」「ゼッキノ・ドーロ」などとも表記される)は、イタリアのボローニャ市で年1回開催される、子供の歌のための国際歌唱コンクールである。コンクールの模様は、コンクールそのものと同じ「Lo Zecchino d'Oro」のタイトルでRai Unoのテレビ番組およびラジオ番組で中継されるほか、ユーロビジョンを通じてヨーロッパ諸国でもテレビ放映される。

コンクールの出場者は3歳から10歳までの児童に限定されている。
(Wikipediaより引用)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ゼッキーノ・ドーロ

lo は英語で 定冠詞の the
zecchino は、gold coin
d'oro は、gold とか golden を意味します。

それで、ゼッキーノ・ドーロを直訳すると、「黄金の金貨」というような意味でしょうか。「金」の単語が2つ続くってすごいですね。

日本語的に言うと、子どもたちを「金のたまご」のように貴重な存在として微笑ましく見ている、もしくはスター誕生、という感じでしょうか。
(意味を間違えていたらご指摘ください)

金の卵
未成熟だが、高い潜在的能力をもつもののたとえとして用いられる比喩的表現。 (Wikipedia より) 
(子どもたちを、決して見下げるつもりで使っているわけではありません)


歌い手はゆかりのある方でした!

歌っているこの子は誰なんだろう?

YouTubeより引用)

調べてみると、歌っているのは、海沼亮午さん当時8歳のようでした。

彼の現在は調べてみても良くわからなかったのですが、
なんと「お猿のかごや」の作曲家 海沼実さんの曾孫だそうです!
時空や距離を超えてこんなイタリアで!
あぁ、ロマンを感じます。

童謡歌手 川田美智子さんのお孫さんでもあるそうです。
音楽一家なんですね。

イタリア人の友人にこのYouTubeを改めて見てもらい、
「これ、原曲が日本のなんだけど、どう思う?」
と聞いてみました。

楽しそうな歌だね、イタリア語の発音も綺麗だよー!
とのこと。
素晴らしい!海沼さんブラボー!

もう一度いいます!
海沼さんブラーボー!
(ラは巻き舌でお願いします)

若いのにそうとう練習されたんでしょうね。
私もイタリア語の勉強、見習わないと。


曲名が原曲から変わっていた!

曲名は、「La scimmia, la volpe e le scarpe」となっていて、
la とか le は、イタリア語の定冠詞※で、英語では the になります。
e は 英語では and を意味します。

※イタリア語の定冠詞
定冠詞として、lo とか la、le など出てきましたが、イタリア語は続く名詞の男性女性に応じて定冠詞も変化します。英語ではすべて the になります。

ラ・フェラーリは女性
イタ車( 痛車ではありません(笑) )で有名なフェラーリのモデルに、「La Ferrari (ラ・フェラーリ)」というのがありました。
La は女性単数名詞につく定冠詞です。
そう! ラ・フェラーリちゃんは女性なんです!

それで、英語では、「The monkey, the fox and the shoes」になり、
日本語では「猿と狐と靴」という曲名に変わっています。
乗り物の籠(かご)という概念がないので、タイトルを変えてしまったのかもしれません。
実は、歌の内容もかなり変わっていました。


「お猿のかごや」イタリア版は、内容が教訓的に!!

イタリア語の「La scimmia, la volpe e le scarpe」の歌詞も見つかりました。

歌詞の概要

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
竹カゴを持ったお猿が息を切らしながら大阪に向かっている道中、
お猿は、青い新しい靴を履いた、会いたくなかった銀ギツネに会いました。

キツネは見栄を張って、「靴を汚したくないから、そのカゴで運んでくれ」と頼みました。
キツネが輝いているのは、持ち物によるのではありません。

めまいがしたあと、カゴは転がってしまいます。
キツネは見栄を張ったことを後悔しました。
キツネは傷を負ったお猿をカゴに乗せて町まで運びます。

子どもたち、キツネは、本当の幸せをもたらすものを理解しました。
友だちがあなたに与えてくれる友情は、ラインストーン付きの2つの靴以上の価値があります!
友だちは、あなたを離れることはありません!

エーッサ エーッサ エッサ ホイ サッサ

この歌を聴くと分かるでしょう。
あなたを輝かせるものは、どのように与えるかです。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

途中かなり省略していますし、イタリア語をほとんど理解できないので訳が拙くて申し訳ないですが、「お猿のかごや」イタリア版は、友情を絡めた教訓的なお話になっていました。
(著作権もあるので、すべて訳していないのですが、もっとこう訳した方がいいよとか、誤りがありましたらご指摘ください)


日本オリジナル

日本のオリジナルの曲と歌詞はこちらです。

日本オリジナルと比較しながら、
改めてイタリア版お猿のかごや「La scimmia, la volpe e le scarpe」をお楽しみください。

こうして異文化に日本の文化が溶け込んで行っているのを見ると、うれしくなります。

4月1日から改正出入国管理法が施行され、今後さらに外国人労働者が増えてくることと思います。私たち日本人も、外国の文化を寛容に受け入れていけるといいですね。

おまけ:夜のシニョーリ広場

トレヴィーゾの冬は、街全体がとても綺麗です。


あ!こんな綺麗なところも見つけた!
と冬の夜の街を散策するのが楽しいです。
それはまた別のお話。


それではまた! Ciao ciao, a dopo!
Naonardo でした。


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