劇場版SHIROBAKOは「稚魚の放流」だ

6年待った、待ちわびた続編。劇場版SHIROBAKO。

TVアニメSHIROBAKOは、アニメを作る人たちの輝かしい「働く」の世界を描いてくれた作品。

ぼくが社会人になる直前、社会人になることを怖れていたぼくを勇気づけた作品。


放送終了後も仕事に悩んだとき、疲れたとき、いつも勇気づけてくれた昨品。

地元の映画館での公開一発目から身を清めてから観てきた。


☆TV版SHIROBAKOって「完全養殖」だと思った。

劇場版の話は勿体ぶって後にとっておくとして、劇場版を観て改めて相対化してみることができたTV版SHIROBAKOのことを書いておきたい。いままではもう「盲目」になっちゃってましたから。


TV版SHIROBAKOは、各キャラクターが、それぞれの設定や背景から導き出される最適な行動を選択して、それが重なり合ってできる世界だったと思う。ノイズが少なく、なるべくしてなる世界。例えるなら「詰め将棋」が一番しっくりくるけど、後の例えと合わせると「完全養殖」って感じ。

どんなアニメやフィクション作品もそれを目標に作られるわけだけど、その精度の高さと、それだけ理路整然と作られながら視聴者に快感を与えるカタルシスの両立が際立って素晴らしかったのがTV版SHIROBAKOだったと思う。

特に「感情」による芝居をぐっと抑え、作品内作品や抽象的な会話をスパイスにすることで作品にメリハリをつけたのが素晴らしかったと思う。対極にあるのは、同じPA WORKSなら「凪のあすから」ですかね。感情の爆発でシナリオを展開させる手法。それはそれで面白いんですけど。


☆劇場版SHIROBAKOは「稚魚の放流」。

その点、劇場版SHIROBAKOは感情芝居を我慢していない、と思った。

「あきらめない人たちの物語」。そりゃあ、感情爆発で感情に訴えるよね。

各キャラクターのあるべき姿から逸脱しないギリギリのラインで、各人の感情を全面に出す。悩めば落ち込み、気に食わなければ怒り、悲しみ、悔しさは涙で表現していい。

好きなキャラクターが「我慢しない」芝居で描かれている感じがした。スタッフも作っていて楽しかったんじゃないかな。

大切に育て上げた稚魚を大自然に解き放つような、解き放たれた稚魚のようなキャラクターたちの群像劇。って感じがする。



☆SHIROBAKO好きだから楽しめる。みんなSHIROBAKO好きになれ。

アニメをほとんどやらない地元の映画館でメインスクリーンを占拠しての一日5本上映。物販コーナーではアナ雪マーベルを遥かに凌駕。営業攻めすぎだろ。水島監督つながりでガルパンと勘違いしてないか?コロナウィルスの影響も大いにあるだろうが、案の定客入りは微妙だった。頑張れ。いや頑張ろう。

映画としては、正直予習なしでバカウケするような作りではないと思う。予習を前提とした、というかSHIROBAKOを愛していることが前提の映画だと思う。愛が深いほど作品を楽しめる。これを機に多くの人にSHIROBAKOを好きになってほしいと思う。



☆好きなシーン

木下監督が本田さんが作ったモンブランセットを腕でグイって手元に寄せるとこ。いや、取らないって笑

あと、序盤の大ちゃんがかっこよすぎて憎たらしい。みゃーもり惚れてまうやろ。

他にもあるけど、まだネタバレになるから言わんとこう。

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