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赤線アンソロジー、感想会したいな。。

赤線アンソロジーを読み終わりました。

赤線とは戦後、売春防止法が施行されるまで存在した、売春のできた街のことを示しますが、その厳密な意味や背景について知る機会はいま殆どありません。

当時を知る人も、建物もない今、テキストで残された当時の感覚を含む記憶が発見され読み直されることだけが辛うじて歴史を知るということかもしれません。

それだけでなく、本書では赤線とは何か、売春防止法とは、赤線は合法だったのかといった敷居の低い疑問についても答える形で解説が加わります。とは言っても抜け目ない解説のため、相当詳しい方でも納得されるものがあるのではないでしょうか。

このテーマで名が出てきそうな、永井荷風や田村泰次郎、野坂昭如、小沢昭一、、だけではなく、意外な面々(え、と思うのはやはり健さん...。個人的には小林亜星にはっとする)も登場しますし、先に挙げた作家の作品も、いわゆるよく知られた代表作ではないものです。

永井荷風の娼婦への眼差しについて、その観察的な態度は度々げんなりされていたと思いますが、それをここまで総括したものはあまり無いなぁ意外と、、と思いました。永井荷風が好きな人もきらいな人も、安心して読んでほしいです。

いろいろと細かい感想はあるのですが長くなるのでここでは一旦このあたりで。。

読み終えると、当時を知る人がもう居ない、戦前、戦中、戦後の弱い者たちの記憶を一本の映画で観たような感覚になります。(厳密な意味で赤線ではない時代、地域の作品も収録されています。)それは真っ直ぐ現代へ、一番弱いところへ繋がっていることに気づかされます。

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追記1/28
“赤線”のどこに惹かれますかと質問をいただきました。人によって答えの違う質問ですね。なかなか一言では難しいですが、このように答えたのでメモです。皆さんにとってはどうでしょうか。

もともと戦争には関心があって、戦争に至るまでの歴史と戦後史に興味があり...。男性の歴史、いわゆる軍人とか政治家、それを支えた良妻賢母の話はよく聞くけど、弱い立場の人の歴史って本人の立場に近い記憶ほど残っていないので、残っていないものには惹かれますね、、

赤線自体に関心があるというより、赤線と聞いたときに連想される戦前〜戦後の社会とその影響が今も残る部分に関心があるのかもしれません!

私は周りに詳しい人が沢山いる割に全然勉強不足ですが、、
そんな感じです、、、!

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