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日本産アメリカ製。日本で銀行勤務、スタンフォード大学に留学して以来20+年サンフランシ…

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日本産アメリカ製。日本で銀行勤務、スタンフォード大学に留学して以来20+年サンフランシスコベイエリア在住。経営コンサルタント、スタートアップ経営者・取締役、大企業のイノベーション支援、起業家のメンター・アドバイザーとして活動。「日本とシリコンバレー」枠から逸脱。

マガジン

  • キャリア・仕事にまつわること

  • スタンフォード・ビジネススクールでの学び

    MBAプログラムの2年間で「学び」の大きかった人・授業・イベントなどにつき語ります。1990年代半ばの話ですので現在の同校については現役学生または最近の卒業生にお聞き下さい。

  • シリコンバレー・アルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記

    2012年にブログで公開したものの再掲です。「序」からお読みください。

  • 私的グスタフ・マーラーの交響曲論

    2020年の春に書いた、グスタフ・マーラーの交響曲に対する私見と各曲中の「好きな箇所」をYouTube動画付きで紹介したエッセイ集です。

最近の記事

「起業家教育」って一体何?

Facebook上で日本の起業家教育プログラムへのインプットを求められた友人(僕にそんなこと聞く人はいません)がアイディアと意見を求めていたので「意見」として書いたものを転載します。 起業はしたいかしたくないかだけで「起業の仕方」や「起業の仕組み」を教えてなれるものでも教わってなれるものでもありません。そして就職・就社と天秤にかけるキャリアの選択肢などでもなく「世に問いたいものがある」人が勝手にやるものです。 世に蔓延る「起業家教育」の多くは「起業しろと煽る・けしかける」

    • 起業エコシステムは確証バイアスの温床

      以下先日Facebookに投稿したものをそのまま転載したものの最後に1段落付け加えています。 起業家そしてアーリーステージにとって最大の危険は「確証バイアス(confirmation bias)」。狭い意味では自分の仮説(=事業成功可能性)について都合の良い情報だけを集めることだが、実態としては、 ①《同類承認の罠》ある程度先行し成果を上げた起業家仲間からの応援と自己投影を含むフィードバックを「成功への承認」だと勘違いする。 ②《おこぼれに預かりたい業者の罠罠》自社と自

      • 2024 HVC KYOTO スタートアップ募集案内のついでにライフサイエンス起業家が考えるべきことについて書いてみた

        とは長いタイトルですが内容もそのままです(笑)。 HVC KYOTOは京都で7月に開催される、国内外の医療系スタートアップ・起業家によるピッチと、提携先となりうる大企業そして投資家とのマッチングを目的としたイベントです。英語で全て行われること、デジタルヘルス分野も含まれること、などが特色です。 詳細については長年の友人でもあり、共に色々企む仲間でもある小柳智義さんの以下の投稿をご覧ください。 今回は特に「事業計画とかよくわからない」という大学などの研究者の方の参加も増や

        • 医療とビジネスと家族愛と〜二人のスタンフォードビジネススクール同窓生

          これは「ビジネススクールでの(自分の)学び」ではなく、MBAプログラムで学んだことを自らの子供の命を救うために最大限活用し、成果を上げている卒業生の話。一人は同級生、もう一人は「後輩」(この表現、卒業年次無関係な米国では全く相応しくないけど)。 先に「後輩」について。彼はお嬢さんが生まれ持った希少疾患・難病を治すために世界中の治療につながりそうな研究を探して資金提供するNPOを設立、いくつか期待できる治療法への道筋が見えた、と言う話です。これは1年以上前にLinkedInに

        「起業家教育」って一体何?

        • 起業エコシステムは確証バイアスの温床

        • 2024 HVC KYOTO スタートアップ募集案内のついでにライフサイエンス起業家が考えるべきことについて書いてみた

        • 医療とビジネスと家族愛と〜二人のスタンフォードビジネススクール同窓生

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        • キャリア・仕事にまつわること
          11本
        • スタンフォード・ビジネススクールでの学び
          5本
        • シリコンバレー・アルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記
          8本
        • 私的グスタフ・マーラーの交響曲論
          11本

        記事

          米国の大学エンダウメント運用は「長い目で(金持ち)勝つ」〜スタンフォード大学の財政収支と寄付金運用

          以下は先日Facebookに連続投稿したものに若干加筆・編集した上でこちらに掲載しています。 何回かに分けて投稿する中でいただいたコメントに触発されて話が膨らんだり深まっていったため、一つの文章としてではなく「まとめ」的に読んでいただく方が良いかな、と思い「小見出し」をつけてオリジナル掲載時の各回の区切りとしています。 【序:なぜこんな話を?】 この1年ほど、長年の友人である日本の某国立大学の教授とライフサイエンス(生命科学)分野を中心に、大学発ベンチャーや技術移転、大

          米国の大学エンダウメント運用は「長い目で(金持ち)勝つ」〜スタンフォード大学の財政収支と寄付金運用

          「美術館方式」プレゼンテーションの思い出

          紅茶に浸したプティット・マドレーヌを齧って幼少期の思い出から世界文学史上に輝く物語を紡ぎ出したのはプルースト。 以下はそんな優雅な思い出ではなく、送られてきたパワーポイントファイルを開いてふと蘇ったものすごく散文的な記憶です。 アメリカでの経営コンサルティング会社時代、クライアントの会議室を一つ割り当てられて顧客先出張時の拠点とすることが良くありました。 そこでプレゼンテーションの準備をする際、ページを印刷して壁に貼り、ストーリーの流れを見ながら順番を入れ替えたり、ポス

          「美術館方式」プレゼンテーションの思い出

          現役ベンチャーキャピタリストによる授業で学んだこと(補足)〜二つのフィット

          「VCが起業家招いてディスカッション」の授業について「需要ありますかね?」と投稿したところかなりな数のlikeとありがたいコメントをいただきましたのでその続きとして、この授業から、そしてその後の実務経験からの振り返りと合わせた「学び」について思い起こすままに書き連ねます。 スタートアップの製品・サービスが顧客が「お金払っても求めているもの」(YCombinator創立者Paul Grahamいうところの'something people want')で有ることが確認される「

          現役ベンチャーキャピタリストによる授業で学んだこと(補足)〜二つのフィット

          アンディ・グローヴから学んだこと

          Facebookでスタンフォードビジネススクールでの「VCが起業家呼んでディスカッションする授業」について書いたところ(その後こちらに加筆編集の上転載)思いがけず好評を頂いたので続けさせていただきます。 今回はMBA2年目の最初の学期に取った、当時インテルの現役CEOだった故アンディ・グローヴ氏(以下敬称略)が教える「ハイテク業界(死語!)における戦略論」について。 この授業、履修要綱には戦略論の教授とグローヴの共同指導、とあったので選択時には「教授が教えて、グローヴは時

          アンディ・グローヴから学んだこと

          現役ベンチャーキャピタリストの授業で学んだこと

          先日とあるディスカッション中、スタンフォード大学ビジネススクール(以下GSB)での「起業家教育」は実際どうなのか、という話になりました。 卒業してだいぶ経つ自分ですが、MBA取得後もサンフランシスコベイエリアにずっと住み、同大学からライセンスアウトした医療技術で起業した会社も経営するなどスタンフォードを取り巻く「起業エコシステム」の構成因子を務めてきた自覚はあるのでこの話になるとちょっと身が入ります。 「現場意識」強いのでどうしても夢壊し気味・辛口気味にはなるのですが、毎

          現役ベンチャーキャピタリストの授業で学んだこと

          【退屈な科目を刺激的に〜ライバル校のヘッドになったD教授】

          【退屈な科目を刺激的に〜ライバル校の学長になったD教授】 昨年末よりビジネススクール時代の教授や授業で「学んだこと」について取り上げていますが、「教わったこと」ではなく「学んだこと」と書いているのには理由があります。 ビジネスの世界では「教わったこと」すなわち方法論やベストプラクティス、分析手法などはは卒業と同時に時代遅れ、というか現実の方が先を行っている場合が殆どです。 だからと言って無価値なわけではなく、ビジネスに関わる幅広い分野の知識に卒業後短時間でキャッチアップ

          【退屈な科目を刺激的に〜ライバル校のヘッドになったD教授】

          シリコンバレーのアルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記(序)

          創業者の解雇、ピボット、CEO3人交代、レイオフ、ダウンラウンド、幾度ものブリッジ(つなぎ)資金調達、資本再構成、裁判、などと一社でここまで経験するか、のような体験をしたスタートアップを退職した直後に書いたものを他の経営周りの話と一緒にまとめよう、と思いnoteに転載しました。 本文中では無いと書いた「オチ」ですが、ここでこの会社の結末を書いてしまえば退職したほぼ1年後にこの会社はアメリカ医療界の冠状動脈由来心疾患の診断・治療のガイドラインが変更されたことにより製品の「臨床

          シリコンバレーのアルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記(序)

          シリコンバレーのアルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記(7)

          この連続記事をブログとして書いた経緯、この会社の後日譚、noteへの再掲に至った経緯などについては「序」をお読みください。 ◆◆◆◆◆◆◆◆以下オリジナル投稿◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 3月10日の第1回目から5月10日の6回目まで、ちょうど2ヶ月かけて(延々と?)書き綴った先のシリーズですが、読まれた方々からぼつぼつと対面で、またはメールなどでフィードバックなどを頂いております。 やはり「初めて君が(この期間)どんな会社でどんな仕事していたかを知ることができた」がその多くを

          シリコンバレーのアルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記(7)

          シリコンバレーのアルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記(6)

          この連続記事をブログとして書いた経緯、この会社の後日譚、noteへの再掲に至った経緯などについては「序」をお読みください。 ◆◆◆◆◆◆◆◆以下オリジナル投稿◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 過去5年半の体験を書いて来たこのシリーズ、とりあえず今回で一旦終りにしたく思います。おそらく書き洩らしたこともたくさんあるのですが、それらはまた折に振れ、思い出した時に書き足していこうと思います。また読まれた皆様からもしご質問等があればそれにもお答え(できる範囲で)したく思います。 ということ

          シリコンバレーのアルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記(6)

          シリコンバレーのアルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記(5)

          この連続記事をブログとして書いた経緯、この会社の後日譚、noteへの再掲に至った経緯などについては「序」をお読みください。 ◆◆◆◆◆◆◆◆以下オリジナル投稿◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 前回は入社した経緯について書かせていただきましたが、今回は入社後自分の仕事がどう変化していったかについて書こうと思います。 今回はiPad+Bluetoothキーボードという組み合わせで某コーヒー屋で下書きをし、Dropboxを経由してラップトップからブログに上げる、という作業フローでお送りし

          シリコンバレーのアルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記(5)

          シリコンバレーのアルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記(4)

          この連続記事をブログとして書いた経緯、この会社の後日譚、noteへの再掲に至った経緯などについては「序」をお読みください。 ◆◆◆◆◆◆◆◆以下オリジナル投稿◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 前回、前々回の2回では自分のいた会社について科学面・医療面の話を中心に書きましたが、今回から自分がそこでどんな仕事をしてきたか、について書いてみたいと思います。 どんな会社であったかについて過去2回長々と書いたことを読み返して頂くのも何ですので、ここからは「米国だけで数千万人規模の患者からなる

          シリコンバレーのアルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記(4)

          シリコンバレーのアルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記(3)

          この連続記事をブログとして書いた経緯、この会社の後日譚、noteへの再掲に至った経緯などについては「序」をお読みください。 ◆◆◆◆◆◆◆◆以下オリジナル投稿◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 少々間が空いてしまいました。過去5年半のスタートアップ体験、前回は「どんな会社で働いていたか」を専ら医科学的背景を中心に書きましたが、今回もその続きです。 ここで少し立ち戻った話から始めさせて頂きますが、この「どんな会社」というのは親族、友人、知人にもこれまで当然訊かれてきたことですが(この4

          シリコンバレーのアルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記(3)