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まだ見ぬ感情に出会うために歩いて旅して書を積んで。 世界は広い。

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最近の記事

歩幅を見失わないように

pacific crest trailのスタートまで遂に1ヶ月を切った。 最初にこのトレイルを歩くと心に決めたのが2年前。 長かったような、短かったような。 色んなことが起こったし、かけがえのない出会いも数多く経験した。 自分で選んだ生き方なのに、目まぐるしく変わりゆく環境に心が置いてけぼりにされそうになったこともあったが、今の仕事も数日のうちに終わる今になって徐々に旅が始まる実感が湧いて来つつある。 自分の人生を日々送る中で、ようやく自分の歩幅が分かってきた。 pac

    • 旅の終わりに

      歩き終わったのは確か午前10時ごろだったと思う。 1200kmぐらい歩いて最終目的地の勿来(なこそ)海岸にたどり着いた。 この旅最後の宿として予約した民泊のチェックインまでにはまだまだ時間があったので、近くの文学資料館に行ったり無限に寄せては引いていく波を眺めて時間を潰していた。 こんな旅の方法をとっていると暇を潰すことを特別に苦を感じることもない。 時間が来るとチェックインと風呂を済ませて事前に紹介してもらっていた居酒屋に駆け込んだ。 とにかく最後の夜に特殊イベントが起

      • 塩1トンを味わうということについて

         僕の知っている限り、歩き旅という旅の仕方はあらゆる旅の中で一番ゆっくりと時間が進む。 車や電車に乗ってしまえば一瞬で過ぎ去っていく当たり障りのない景色たちや声を聞くこともない地元の人たちも、徒歩旅行者にしてみればじっくりと時間をかけて付き合っていく愛おしい景色で、いつまでも心に楔を打ち続ける時のかけらたちの一つだ。 そんな歩き旅の緩やかな時間のながれに魅了されて歩いているわけだが、歩き旅というものは不思議なもので、ただ歩いて旅して他の旅の仕方よりも少しゆっくりとその土地を味

        • 旅の中に入った日

          2023年5月9日、僕はみちのく潮風トレイルと言う青森県八戸市から福島県相馬市までのみちのく地方沿岸をつなぐ1000km超の道を歩くためにわざわざ仕事を辞めてまで青森県に降り立った。 なんでそんな事をしようとしたのかというと、それは僕にもわからないとしか言いようがない。 ただ仕事をしている時は、好むと好まざるに関わらず狭い柵の中に入れられて 「あなたはこの中で人生を終えてください。」 と言われているようで窮屈極まりなかったし、これは自分の人生ではないと言う確信があった。

        歩幅を見失わないように