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門馬直人
2020年7月7日 22:56
このひと月余りの間に、何度か同じ夢を見た。 すごくはっきりしたストーリーなのだが、なぜだか起きると思い出せない。どんなことが起こる話なのかは、何度も見たせいで概要はきっちりとわかるのだが、しかし、その詳細を思い出そうとすると何も思い浮かばないのだ。 そしてその夢を今日も見た。 起きてしまう前に、何度も夢の中で確認した。 だから今日は大丈夫。 起き上がってすぐ、もう一度反芻してみても、
2020年7月7日 00:32
若手のお笑い芸人と四ヶ月ぶりに居酒屋で会っていた。「やっぱりユーチューブやるしかないんですよ」 芸人の彼は言う。漫才もコントも、どちらもやれる場がほとんどなくなってしまった。各地への営業が飯の種だった彼は、今とても苦しい状況に追い込まれていると言った。そこで遅まきながらも動画配信をやろうとしているらしい。で、やったことがないので、手伝って欲しいと相談をしてきたのだった。「そうだね。やれるな
2020年7月5日 22:24
ドイルは新しい小説を書き始めていたが、まだ主人公の名前を決められずにいた。 そして主人公の最初のセリフを書いたところで手が止まった。“sure. it's locked. He was at home.”「確かに。鍵がかかっている。彼は家にいた」 シンプルながら、天才的な観察眼と推理力を持つ主人公をよく表していると思った。しかし、主人公の最初のセリフとしてはどうだろう? もっとインパクト
2020年7月4日 22:48
目が覚めたら、体がダルい。 熱があるようだ。まさか、とうとう俺もコロナにかかったか? と思ったが、すぐにそうではないと思い直す。たぶん二日酔いなのだ。 自粛が始まってから、あまり酒を飲まなくなった。それまで毎日のように飲んでいたのに、飲まなければ飲まないで入られることに気がついた。なにより具合もいい。 しかし昨晩は久々に飲み始めてしまった。一度飲み始めると、火がついたように止まらなくなった
2020年7月4日 00:37
ランドセルの色がたくさんあった。紺、水色、ターコイズ、緑、オレンジ、黄色、ピンク、赤、茶、黒。小さい頃に好きだった色も高学年になると嫌いになったりするから、結局は黒がいいよねと言われたけど、僕はどうしてもそういうのはヤダと強情をはり、ピンク色のランドセルを選んだ。 学校へ行くと同級生から「女バッグ、女バック」とからかわれた。 チェーン展開の寿司屋でマグロづくしの握りを頼んだら、本当にマグロ
2020年7月2日 23:33
夜、駅から家へと歩いていると、路駐している車があった。ミニバンだ。 そのミニバンはずんずんとデカイ音を鳴らしていた。今でもこういう車あるんだなぁと少し感慨深く思った。 昔は、大黒ふ頭とかで浜崎あゆみとか倖田來未とかのペイントをした車をたくさん見かけた。そして僕もそういう場所に赴いていた頃がある。最近は車にも乗ってないし、そっちにも出向かないのでわからないのだけど。 それにしても、窓を全開
2020年7月1日 23:27
「マジで最高らしいよ」 友人はその治験バイトをそう言った。1週間で80万円のバイトだ。そんな高額バイト、むしろやばいと思うのが普通だろうと言い返したら、友人は僕に近づいてこっそりと耳打ちをする。「これは秘密のバイトなんだって。アルバイト情報誌とかには載ってないから。なんでも政治家とか大企業重役の息子たちへのバイトとして用意されたものらしいよ。息子に湯水のように金を渡すのでは世間体が良くないから
2020年7月1日 12:12
殺人の容疑で逮捕された男は、無罪を主張し続けていた。しかし、指紋、凶器、目撃情報、聞き込みにより怨恨話なども知ることになり、動機も証拠も十分に揃っている。それでも、容疑者は取り調べに対して、一貫して知らないと主張している。むしろこちらがそれを捏造しているとまで言い出した。 アリバイを聞いても、「その日はオリンピック準備の仕事をしていた。安田に聞けばわかる」 そう言い張る。が、容疑者の言う安
2020年6月29日 20:31
オンラインミーティングをしている最中、突然それは起こった。 画像が乱れたのか、おかしくなったのか、映像に映っている人に縁取りができているのだ。 最初は、バーチャル背景のバグかと思った。しかし数秒後には、ちょっと違うなと思い始めていた。縁取りの感じが人によってバラバラなのだ。 なんというか漫画でいう線のタッチが違うとでもいうのだろうか、個性がそこに現れているような気がした。その時に映っている
2020年6月28日 21:12
渡り鳥の群れとともに、洞窟のような場所に到着した。 卵を他の種族から守るために、運び込んだのだ。渡り鳥は茶色い羽を持つ鴨のような種族だった。みな、せっせと運搬してきた卵を洞窟の奥へと運び込んでいる。俺はこの種族の中で戦士というか外敵から仲間を守る立場らしく、皆の作業を見守っている。 一瞬、違和感を感じた。戦士のカンだった。 卵を運んでいた一羽の茶鳥を呼び止める。そいつは、何事か?というよう
2020年6月27日 20:40
友人夫婦がキッチンで料理をしている。 旦那とも奥さんともどちらも個人的に仕事で付き合いがある関係だ。旦那の方は料理ができないらしく、材料を奥さんの元に持っていく以外は、テレビのニュースを眺めていた。奥さんの方はいくつかの料理に奮闘中だ。手が離せないらしく、僕に向かって頼みごとをしてくる。「ごめん、サンドイッチ作るの手伝って」 料理するのは結構好きだ。わかった、とサンドイッチを作ることにする
2020年6月26日 21:54
YouTube番組に参加することになった。 複数のディレクターのチームで運営するTVバラエティ番組形式のような大掛かりなものだった。僕もそのチームに呼ばれたのだ。 チーフディレクターが、企画を立ち上げていた。最終的な内容はよくわからなかったのだが、ディレクターたちには「幸せな顔」を集めてほしいという指令が出た。本当にTVバラエティ的なことを言い出したなと思う。僕たちディレクターは手分けして集
2020年6月25日 20:23
僕には剣術のライバルがいる。そいつを倒さなければならない。そのためには日々研鑽を積む必要がある。そう思い剣術の稽古のため道場へやってきた。そして僕は面食らう。俳優ワークショップが開催されていたからだ。 残念だけど今日のところは仕方ない。稽古を諦めて道場を後にしようとするとワークショップの主催者に引き止められた。「見てってくださいよ」 そんな時間はないと思うものの、稽古ができないのであれば
2020年6月24日 23:02
ようやく漫画原稿を書き終えて、疲れた肩を揉んでいると電話がかかってきた。 電話に出ると友人Aからだった。電話だと話しにくいと言うので会って話すことになった。 待ち合わせに選んだ公園で待っているとAがやってきた。来るなり平謝りをする。ぼそぼそと話し始めた内容を聞いて、怒りを覚えたが同時に体から力が抜けてしまった。 Aは漫画の新人賞で入選した。先ほど連絡を受けたらしい。で、その漫画が先ほど僕が