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1989年、バブル最高値付近での日本個別株バリュエーション(PER、PBR、配当利回り)を調査!

 久々の投稿になってしまいました。さて、日経平均株価が1989年12月29日に付けた高値の3万8915円87銭を更新!ということで私個人としても、「自分が生きている間はこの高値を越える事はないだろう・・・」なんて思っていたのでちょっと感慨深くもあります。

で、気になったのが1989年のバブル相場時に株式市場が天井を付けた1989年末前後での株価バリュエーション。日経平均が史上最高値を付けた時点での指数バリュエーションはPER60倍程度、PBRは5.6倍程度であった・・・というの知っていました。ただし個別株がどうだったのかに関しては全く承知していませんでした。個別株のPERが当時どうだったかという資料も中々ないため、思い切って自分で調べてみることにしました。

そうは言っても、30年以上の各種の業績や株価データなんぞ手に入れられるものはごく限られてきます。一番現実的なのは会社四季報でしょうか。なので、当時の会社四季報をベースにその他公開情報なども参考にしながら当時の個別株のバリュエーションを調査してみました。調査した数値は直近決算期の予想PER、実績PBR、予想配当利回りの三点。

用いたデータのベースは会社四季報の1990年新春号(1989年12月12日発売)。予想PER算出の元となる予想EPSは四季報編集部予想の数値を。株価は1989年11月~12月あたりの株価を平均した数値を用いてみました。手に入れられるデータも限られており、とても完全とは言えない算出した数値ですが当時の市場の温度感ぐらいは感じられるかと思います。

重ね重ね言いますが以降の数値の精度、正確性の保証は出来ませんので(普通に計算間違いもあるかもしれない)あくまでも参考程度にとどめておいてください(汗

そういうわけで、独断と偏見で銘柄を選定して一覧にしたリストが下記です。当時の時価総額上位企業はなるべく入れつつ、個人的に気になる企業、個人的に保有している(いた)企業、経済事件で有名な企業などいろいろです。誰が見るんだこの記事?というような気もしますが日経平均史上最高値更新の記念企画のようなものですwそれではどうぞ。

1989年11~12月頃の日本個別株バリュエーション

$$
\begin{array}{l:r:r:r:r:r}
銘柄コード & 企業名 & 直近決算期 & 予想PER(倍) & PBR(倍) & 配当利回り(%) \\ \hline
1801 & 大成建設 & 90年3月期 & 59.7 & 5.5 & 0.57 \\
1803 & 清水建設 & 90年3月期 & 67.6 & 7.4 & 0.49 \\
1808 & 長谷工コーポレーション & 90年3月期 & 51.9 & 2.9 & 0.68 \\
1812 & 鹿島建設 & 90年3月期 & 77.5 & 7.4 & 0.48 \\
1988 & ショーボンド建設 & 90年6月期 & 43.9 & 3.3 & 0.40 \\
2202 & 明治製菓 & 90年3月期 & 156.9 & 4.8 & 0.48 \\
2212 & 山崎製パン & 89年12月期 & 48.8 & 3.6 & 0.48 \\
2811 & カゴメ & 90年3月期 & 63.0 & 4.1 & 0.42 \\
3102 &  鐘紡 & 90年3月期 & 106.7 & 23.9 & 0.58 \\
3861 & 王子製紙 & 90年3月期 & 37.3 & 4.6 & 0.51 \\
4005 & 住友化学工業 & 89年12月期 & 42.4 & 8.0 & 0.67 \\
4062 & イビデン & 90年3月期 & 44.3 & 3.0 & 0.65 \\
4063 & 信越化学工業 & 90年3月期 & 23.6 & 3.4 & 0.40 \\
4452 & 花王 & 90年3月期 & 49.7 & 3.9 & 0.47 \\
5001 & 日本石油 & 90年3月期 & 93.7 & 4.1 & 0.37 \\
5108 & ブリヂストン & 89年12月期 & 43.3 & 3.8 & 0.65 \\
5208 & 有沢製作所 & 90年3月期 & 71.6 & 8.8 & 0.30 \\
5334 & 日本特殊陶業 & 90年3月期 & 48.3 & 3.9 & 0.62 \\
5401 & 新日本製鉄 & 90年3月期 & 48.8 & 6.7 & 0.81 \\
5701 & 日本軽金属 & 90年3月期 & 36.8 & 11.8 & 0.54 \\
5911 & 横河橋梁製作所 & 90年3月期 & 44.4 & 2.7 & 0.36 \\
6113 & アマダ & 90年3月期 & 34.0 & 3.1 & 0.81 \\
6273 & SMC & 90年3月期 & 40.9 & 3.3 & 0.19 \\
6301 & 小松製作所 & 90年3月期 & 48.5 & 2.8 & 0.59 \\
6351 & 鶴見製作所 & 90年9月期 & 42.8 & 2.2 & 1.13 \\
6501 & 日立製作所 & 90年3月期 & 21.4 &  1.9 & 0.68 \\
6502 & 東芝 & 90年3月期 & 27.5 & 4.2 & 0.74 \\
6701 & 日本電気 & 90年3月期 & 33.1 & 3.8 & 0.57 \\
6752 & 松下電器産業 & 90年3月期 & 20.7 & 1.6 & 0.43 \\
6758 & ソニー & 90年3月期 & 30.4 & 2.5 & 0.60 \\
7203 & トヨタ自動車 & 90年6月期 & 23.0 & 2.1 & 0.75 \\
7733 & オリンパス光学工業 & 90年3月期 & 36.7 & 2.7 & 0.77 \\
7995 & 日本バルカー工業 & 90年3月期 & 61.7 & 4.0 & 0.54 \\
8009 & 伊藤萬 & 90年3月期 & 38.5 & 3.3 & 0.45 \\
8035 & 東京エレクトロン & 90年9月期 & 44.3 &  4.4 & 0.38 \\
8058 & 三菱商事 & 90年3月期 & 41.0 &  4.4 & 0.56 \\
8302 & 日本興業銀行 & 90年3月期 & 140.1 & 10.7 & 0.16\\
8312 & 北海道拓殖銀行 & 90年3月期 & 60.2 & 4.6 & 0.52 \\
8315 & 三菱銀行 & 90年3月期 & 59.5 & 5.4 & 0.27 \\
8318 & 住友銀行 & 90年3月期 & 48.9 & 6.2 & 0.25 \\
8602 & 山一証券 & 90年3月期 & 19.8 & 3.6 & 0.68 \\
8604 & 野村證券 & 90年3月期 & 27.6 & 4.9 & 0.43 \\
8751 & 東京海上火災保険 & 90年3月期 & 70.6 & 6.9 & 0.36 \\
8802 & 三菱地所 & 90年3月期 & 72.6 & 8.6 & 0.29 \\
9201 & 日本航空 & 90年3月期 & 86.1 & 10.2 & 0.28 \\
9432 & 日本電信電話 & 90年3月期 &  88.7 & 5.8 & 0.43\\
9501 & 東京電力 & 90年3月期 &  84.8 & 5.5 & 0.85\\
\end{array}
$$

結構頑張っていろいろ調べてみました。個人的には(7974)任天堂を入れたかったのですが、ちょうど決算期を8月から3月に変更する変則決算の期にあたり数字が変則的になっているので入れるのを諦めました。がっくり。

いかがでしょう?全般的に仰天するような超割高感。前述した、「日経平均が史上最高値を付けた時点での指数バリュエーションはPER60倍程度、PBRは5.6倍程度であった」という話も納得のバリュエーションです。当時の不動産バブルの風潮を反映して?銀行、建設株あたりはピカピカのグロース株みたいな評価ですね・・・

PER、PBRのとんでもない割高さはもちろん配当利回りの低さも注目すべきところです。配当利回りが1%を上回る企業がほとんどないのが驚きです(各企業の配当性向は10~30%前後が多い印象)。こうなると配当はもはや期待できず、値上がりに期待するしかない事になります。こうなると私のようにそれなりに配当を重視している専業投資家は商売あがったりになるのは間違いありません(汗。

株価の値上がりは専業投資家として歓迎はしたいですが、こんな買うものが無くなってしまうようなカンカン照りのバブル相場は勘弁願いたいですね・・・まあそんなところです。

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