映画 PERFECT DAYS で、        いろいろいろいろ思い起こしたことなど。

ヴィム・ヴェンダース作品 役所広司演じる平山、これから平山さんって呼んでしまいそうやわ。一人芝居にいろんな脇役が突っつきに寄ってくる感じ。平山の年齢設定は60歳代を超えているかな。東京物語縁側の笠智衆さん、生きるブランコの志村喬さんを思い浮かべてしまった。きっとこの役をやりたかった役者さんようけおられるやろね。せめてラストの2分間のシーン、他の役者でも想像してみる。。。
ヴェンダースのインタビューがyoutubeにあがっていた、あれは撮り終わったあとだよな。ちょっと不思議なのは平山の過去について ”平山はビジネスマンだった、それも相当に優秀な。でもその生活に満たされなかった。。。”と語っている。でも、実際のシーンでは運転手付きのレクサスに乗ってきた妹”お父さん変わったから会いに行って。。。” から想像するに同族経営創業者の息子で、父の期待に添えなかった、または反目した、そんな平山の過去が思われるのだけれど。いずれにせよ、気づくというか、目覚めてしまって手に入れた幸福、代え難いわな。ようわかる。かな。
トイレがあんなかっこいいデザインのトイレじゃなかったらどうだったかね、とか、余計なことも考えてしまう自分、卑しいかな。
それよりなにより音楽が!
自分の若かりし時代の思い出を蘇らせる。

・アニマルズ “House of the Rising Sun”1964
アニマルズの日本公演を観たのは高校卒業間近、神戸国際会館、なぜか一番前の下手席。坊主頭から中途半端に伸びかけの髪、アイビーかぶれでWhite Leeにローファーもどきのシューズ、張り切ったもののどこまでもぎこちない感じだったに違いない。同級生と二人だったのだけれど、誰だったか思い出せない。
前座がクレイジービートルズという白のレーヨンスーツ姿のリーゼント崩れであまりお品のよろしくない感じのバンドだったな。ま、エリック・バートンも不良っぽかったし、同じような感じだったのかも。
・ヴェルヴェットアンダーグラウンド “Pale Blue Eyes”1965
2016年にパリのシアター・ド・ヴィル建て替え前の山海塾公演に行った時、ちょうど毎年恒例のパリ市内全域で行われているミュージックフェスの時期と重なっていたからなのか、フィルハーモニーシアターで、ヴェルベットアンダーグラウンドの展覧会が開かれていた。ニューヨークでの彼らの姿を中心にしたさまざまな姿がポスターやウォホールとのスタジオ風景などが飾られていた。
・オーティス・レディング “(Sittin’ On) The Dock Of The Bay”1968
この頃、友人兄弟が経営する靴を脱いで入る秘密クラブ的絨毯サロン”ヴァレンタイン”って店があり、ひたすら入り浸っていた。そのジュークボックスで一番たくさん流れていたのが、この曲だった。
・パティ・スミス “Redondo Beach”1975
当時はその存在が遠くて怖くて聞けなかった。皆、結構攻撃的だったが、メッセージ性が面倒な感じの方面ってのがあったように思う。その代表格だったんだろうね。また、自分がピンク・フロイドへのめり込んだ時期でもあったからかもしれない。
・ルー・リード “Perfect Day”1972
ルー・リードがヴェルベットアンダーグラウンドだったと知らなかった時代が何年かあった。ロック全盛だったこの時代、次から次へと手当たり次第片っ端からどれだけのバンドを聴いていただろうか、
・ローリングストーンズ “(Walkin’ Thru The) Sleepy City”1968
初めてストーンズを認識したのは高校3年、関西大学の学祭に遊びに行った時のとある教室で、コピーバンドが長髪を振り乱して床に突っ伏しながら”サティスファクション”を叫んでいたのを観て、なんじゃこれ、と衝撃を受けた。クリフ・リチャード、ビートルズ、デイブ・クラーク5、ハーマンズハーミッツなどなどの流れからアニマルズやストーンズに移っていく頃だったか。
・金延幸子“青い魚”1972
すでにフォークソングやロックに女性ミュージシャンもいたのだが、この人のことは全く知らなかった。まさしくこの映画で初見。細野晴臣がプロデュースとからしいので、ある範囲では著名だったんだろうね。
・キンクス “Sunny Afternoon”1966
音楽的にどうなのかはわからなかったけど、60sバンド一斉蜂起の中で確かに異彩を放っていた。今改めて聴いて、確かに音質が他のバンドとは違ってる感じだ。またレコード掘り返して聴き比べてみよう。

・ヴァン・モリソン “Brown Eyed Girl”1976
この曲に聞き覚えはあるし、さまざまなシーンで名前だけは出てくるのだけれど、ちゃんと聴いたことがほとんどない。友人にコアなファンがいて聞かされたものの、なにこれ、ロックか、ポップか、フォークか、ジャズか、などと取り合わなかった感じやったかな。失敬しました。
・ニーナ・シモン “Feeling Good” 1965
It’s a new dawn
It’s a new day
It’s a new life for me
And I’m feelin’ good
この映画を象徴する歌、まさにエンディングにふさわしすぎる選曲。この人もパティ・スミスと同じく、当時はよう聴かなかった部類のアーティスト。大人になってから節々で登場してくるので、改めてすごい人だったってのを思い知ることだった。
映画 ”Mr.Nobody” で使われていたニーナ・シモンの"Don't Let Me Be Misunderstood=邦題・悲しき願い" をふと思い浮かべてしまった。これをアニマルズの曲だとずっと思っていたのだが、元はこの人による1964年のだったんだね。脱線ついでに、同じくこのMr.Nobodyで使われていたGerry & The Pacemakersの”You'll Never Walk Alone”がサッカー・イングランドのリバプールFCのアンセムになっていたのも知らなかった。同名で映画にもなっているのだそうだ。どこかで見られたらいいな。実はピンク・フロイドのおせっかいというアルバムの中のフィアレスという曲のバックにリバプールのサポーターが叫ぶYou'll Never Walk Aloneが入っている。当時はもちろんそんなことも知らず、なんでこんなのが使われているのか不思議だったが、50年たってやっとわかった。R.ウオータースのアイデアらしい。
・番外 石川さゆり"朝日のあたる家(朝日樓)”1971
浅川マキが日本語訳で歌ってたのは聞き覚えあり。藤圭子、ちあきなおみのもそれはそれは暗くも強烈な印象が残っている。それらに比べると石川さゆりのそれは優しくて優しくて。優しすぎてとても美しい朝日楼に聞こえる。彼女の大阪森之宮でのコンサートでも歌われたらしい。どこかで聞けたらいいな。


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