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旧平櫛田中邸アトリエ(東京都台東区・日暮里駅)

彫刻家の平櫛田中。たなかではなくでんちゅうである。正式には元の姓が田中なので、たなかでも間違ってはいないものの、でんちゅうである。国立劇場のロビーに飾られている『鏡獅子』をはじめとした数々の作品で知られる国内でも有数の彫刻家が、生前に使っていた旧アトリエが谷根千エリアに残されている。 

小平市にある平櫛田中美術館へ訪れた際にその技巧に親しんだのもあって色々と調べていたところでこの旧アトリエの存在を知り、いつか訪れたいと機会を模索していたところ、月に1〜2回だけ開館しているというそのタイミングに合致したので満を持して訪問することに。谷中霊園に隣接する上野桜木あたり、建物自体はだいぶ老朽化している外観も風情がある。谷根千エリアにはこうした古い建物が多く残っており、文化財として保存しようという活動がある。こちらの旧アトリエもアート活動を啓蒙する場として展覧会やワークショップなどを開催している。

平櫛田中や周辺のパネル展示

小平に移るまではこの地で生活をしていた平櫛田中。生前に使われていたアトリエもそのままに残されている。本邸から廊下を経て繋がっているアトリエは、本邸の向きに対して不自然な角度で建てられている。これは当時、アトリエというのは窓が北向きであるというのが絶対条件とされていたことによるもので、無理やり北向きの窓にするために限られた土地に無駄な空白地帯が生まれてしまったりもしている。

北向きのアトリエ

平櫛田中は小平に移転するまでの50年以上の長きに渡り、このアトリエで作品を生み出している。隣室は材料を搬入・搬出するための部屋で、老朽化によって改修されている他の部屋に比べてここだけが唯一、当初の状態で残されているという。アトリエなどは防火対策がほどこされてシャッターが取り付けられたりもしている。

当時のまま残されている

階段を上がった2階もワークショップなどで使われている和室。平櫛田中は亡くなった時に男性の長寿日本一だった人物で、今でも近辺では生前の平櫛田中を見たことがある人もいるという。何はともあれ彼の愛したアトリエが残されているのもまた貴重であり、平櫛田中の目線に立って想像してみるのも面白い。トイレは和式。

アトリエには大量の資料を収納する本棚もある


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