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朝倉彫塑館(東京都台東区・日暮里駅)

ここ2年間で数回に渡り訪問している朝倉彫塑館。稀代の彫刻家である朝倉文夫のアトリエを兼ねた邸宅ということで、作品だけではなくその建物の内装も見学できるという独特なミュージアムである。隣接する土地が新たに高いビルが建つという話もあり、屋上から見る景観もこれから変わってしまうのかもしれない。訪問時には晴天だったため久々に屋上庭園も見学。この景観が変わってしまうのはなんとも味気ない気持ちである。

企画展として朝倉文夫と同時代を生きた北村西望の作品を展示している。お互いに日本の彫刻界を担う人物として鎬を削った朝倉文夫と北村西望。北村西望の代表作である長崎原爆に向けた平和祈念像の試作や雛形模型も展示されている。朝倉文夫と同じく猫が好きだったようで、アトリエには朝倉文夫の作品と合わせて猫の作品が紹介されている。

こちらは蘭の間の文夫作品

アトリエに隣接して温室があるのを今回はじめて発見。屋敷内に蘭の間を作っていたのは周知の事実なのだけれど、アトリエに隣接した温室では蘭の間とはまた別の蘭を育てていたのだという。屋上庭園でもやはり蘭をはじめとして多くの植物を育てており、娘であり舞台美術家として知られた朝倉摂も子供の頃から土いじりをしていたという。今回アトリエでは朝倉摂のデザイン画も合わせて紹介している。朝倉文夫の二人の娘ともにアーティストとして大成しているところを見るとこの邸宅の環境は良かったと言えるかもしれない。

今回の展示会で特に注目だったのは、普段は閉鎖している北テラスが特別に開放されていたということ。何度か訪問している中でもずっと閉鎖されていた部屋が今回たまたま開放されており感動を禁じ得ない。アトリエへと差し込む採光もこの北テラスから採られた光というのを初めて体験。特にHP等でも紹介されていなかっただけに、この予想外の邂逅に、これだけでも訪問した甲斐があったというものである。

トイレはウォシュレット式、および和館の方では洋式。小用トイレが可愛いのも変わらず。訪れるたびに各部屋にあるスイッチを探しているのだけれど、今回は新たに見つけられず。なかなか難易度の高いミッションである。個人的に。

この館のどこかにスイッチが点在しているはず


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