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美術愛住館(東京都新宿区・四谷三丁目駅)

四谷三丁目駅から新宿方面へ向かい、途中で細道を右折、下り坂の途中にあるのが美術愛住館。政治家であり作家でもあった堺屋太一が生前に集めていたコレクションを中心に展開しつつ、東京藝術大学の名を冠している通り、未来の芸術家たちの表現する場、先人の作品を学ぶ場として設けられている美術館である。

今回の企画展においても堺屋コレクション展として、本来は東京藝術大学の学生に限定して開館していたものを一般の見学者にまで押し広げている。展示室は1階と2階にある。東京藝術大学の美術学部長であった大沼映夫の作品を皮切りに、同校の出身で且つ堺屋太一の妻であった池口史子やキュビズムを日本的に昇華した島田章三など、東京藝術大学に関わりがある作家を中心に近現代における日本の洋画家の作品を紹介している。

1階の展示室 大型の作品が多い

1階では上記の作家の他にはマグリットを思わせる不穏な小杉小二郎、点描があざやかな山田嘉彦、さまざまな形を組み合わせて構成された中に抽象と具象の間をさぐる酒井信義の作品が紹介されている。各作家の作品数は決して多いわけではないが、多くの作家の作品を紹介することでバラエティに富んだ展示内容になっているともいえる。

小杉小二郎 不思議な雰囲気が好き

 2階では階段を上がったところに独特な色彩の人物画を描く佐藤泰生、キャンバスに布やテープが用いられて塗り重ねた作品が印象的な宮崎進、穏やかな日常をテーマにし心象を映し出す作風の大津英敏、作品内に玩具を登場させつつ勢いのある鮮やかな色彩を扱う奥谷博、池口史子らの師でもあり風景を情感も豊かに描いた山口薫、シャガールを彷彿とさせる織田廣喜が紹介されている。この中で東京藝術大学とは直接の関わりはないのは宮崎進と織田廣喜だろうか。

2階の展示室 椅子の向こうは1階への吹き抜け

2階は1階からの吹き抜けが存在するロフトのような造りになっており、吹き抜けを見下ろすような形に配置されている椅子もまた印象深い。2階の奥の部屋では映像が紹介されており、池口史子が師匠の山口薫の印象をはじめとした画家のエピソードを語る内容となっている。トイレは多目的トイレでウォシュレット式。

映像室 今回はほぼ貸切状態


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