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三鷹市美術ギャラリー〜山本有三記念館(東京都三鷹市・三鷹駅)

・三鷹市美術ギャラリー
三鷹駅前のコラル三鷹5階にある三鷹市ギャラリーでは三鷹美術ギャラリー収蔵展が開催されている。収蔵品展の開催は今回で3回目となり、収蔵品展2より前期・後期と分かれて作品が入れ替わっているので、実質的には今回が4度目の展示内容となっている。収蔵品展3後期にはまた作品が入れ替わる。

収蔵品展1:靉嘔
収蔵品展2前期:赤瀬川原平〜宇留河泰呂
収蔵品展2後期:瑛九
収蔵品展3前期:大浦信行〜高松明日香

こちらの展示会は作品を時代やテーマなどで体系的にまとめるのではなく作家名を五十音順に並べて展示しているのが特徴で、今回の作品リストには小野忠重や草間彌生、駒井哲郎などが名を連ねている。変わったところでは前衛音楽で知られるジョン・ケージもいる。現役の作家から既に亡くなっている作家までバラエティに富んでおり、その作品数は168を数える。しかもこの収蔵展は入場料が無料という、なんとも贅沢な展覧会。自然と見学者も多い。

とにかくたくさんのアーティストの作品がある

またギャラリー内にある太宰治展示室では他館とのコラボレーション企画を実施。太宰の桜桃忌と敬愛する芥川龍之介の河童忌が重なる時期であることから、芥川作品を展示する田端文士村記念館と新宿歴史博物館と3館企画でスタンプラリーを開催。全て揃えれば記念品がもらえるという企画である。太宰治展示室ではそれに合わせて芥川龍之介からの影響を受けた太宰という観点からの作品を展示している。実際に会うことはなかった(可能性の高い)二人だが、先輩である芥川を意識していた太宰の意気込みが手に取るように伝わってくる。芥川が好きすぎてノートに名前を書き連ねるという面白エピソードや、芥川にちなんだペンネームを考えていた学生時代のノートなども紹介しており、どちらのファンにも楽しめる内容になっている。
それぞれの館オリジナルの栞ももらえるので(太宰治展示室は配布終了)、これを機にスタンプラリーしてみるのも良いかもしれない。トイレはウォシュレット式。

太宰の仕事部屋は家族の寝室より広い 鬼畜の所業である

・山本有三記念館
三鷹に訪れたら三鷹ギャラリーなどとセットで訪れておきたいのが山本有三記念館。玉川上水を吉祥寺方面へしばらく歩けば見えてくる屋敷のような建物である。山本有三記念館では企画展として「山本有三邸と接収」を開催。記念館はもともと山本有三の自邸として使用されていたもので、敗戦後にGHQによる接収によって住まいを追われたという歴史を持っている。

山本有三の代表作といえば『路傍の石』『米百俵』がまず出てくる。個人的には『路傍の石』をサラッとした読んだことくらいしかないので、有三のキャリアの中では多数ある作品のうちの一つなのだけれど、この二つの作品はまさに三鷹の邸宅で執筆されたものになっている。執筆のみならず、未来を担う子どもたちへ向けた活動を行なっており、満足に本を手にできない子どもたちのために自邸の一部を開放して叢書を閲覧できる「ミタカ少国民文庫」を開設したり少年雑誌の編集部を置いたりしている。

こちらは1階の応接間 広いぜ

そんな思い入れのある自邸にもかかわらず敗戦後に自邸は接収され、U.S.House No.843としてアメリカ高官の住居となってしまった。そういったこともあり有三は日本の早い復興への想いを強くし、政治家として活動する中でも文化に対する仕事を全うする。
結果的に邸宅は返還されたものの、すっかり内装が変わってしまったことで再びここで暮らすことはなかったという。ただしその後も青少年の育成のために土地と建物を東京都へ寄贈したことで現在の記念館となるきっかけとなったのである。

愛着のあった仕事部屋

2階の企画展示室では米軍による接収のあらましとその後の自邸に関する資料が展示されているほか、有三の小説家としての功績、政治家としての功績を紹介している。トイレは洋式。小児用トイレがある。

有三先生 すぐそばには「路傍の石」もある


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