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目黒区美術館(東京都目黒区・目黒駅/広がるコラージュ展)

目黒区美術館では「広がるコラージュ」展として、デザインに特化した作品を紹介することでその手法と表現を掘り下げる試みをしている。ピカソやジョルジュ・ブラックによって油彩画に布や紙片が貼り付けられた表現が発端とされ、シュールレアリズムの一環として芸術史の中でも異彩を放っている。

2階にある展示室1ではまず「色、かたち、デザイン」といった観点から、素材が持つ質感や模様などを活かしてデザインの手法としてコラージュを用いた作品を紹介する。土屋幸夫、岡田謙三など記号のような作品が展示される中で注目なのは草間彌生だろうか。おなじみ南瓜の作品もここで展示されている。さらに「異質なイメージの組み合わせ」として福沢一郎や高野三三男など、シュールレアリズムの意を汲んだ前衛的な絵画の他にもコラージュといえば写真などを貼り付けた作品がイメージされるのだけれど、中林忠良や秀島由己男の作品がこれに当たるだろうか。柄澤齊の文学者の肖像をコラージュした作品も印象的。最後は「異質なテクスチュアの組み合わせ」ということで、三上誠、工藤哲巳、不動茂弥といった様々な画材を用いた作品が締めくくる。

飯田善國展も同時に開催

企画展として同時に目黒区で活動していた飯田善國の企画展も開催している。目黒川をさまざまな視点から切り取った目黒川夜景シリーズや戦争を鋭く指摘した『鎮魂歌』『文明の没落』といった作品が心を奪う。さらに詩人の西脇順三郎とのコラボレーションで生まれた詩画集『Chromatopoiema』のデザインのスタイリッシュさも注目したいところ。シュルレアリズムから工業的なデザインまで幅広く手掛けているのが作者のキャパシティの広さを感じさせる。

目黒川夜景シリーズ
鎮魂歌 どこかで見たことあるような肖像が

絵画だけでなくステンレスや木材を使った作品まで手掛けているのにも注目。なんでもできるという多才さである。映像もさることながら、挙句には音楽や舞台表現とのコラボレーションを手がけており、詩人としての表現活動も行なっている。正直なところ飯田善國の存在を恥ずかしながら知らなかったので、ここまで多くの表現をしているというのに驚かされた。トイレが和式と洋式なのは変わらず。公立のミュージアムは現在でも多い傾向にある。

ここだけ見ると工作室みたいでワクワクする
ついでに目黒雅叙園のトイレも久々に行ってきた


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