見出し画像

丸紅ギャラリー(東京都千代田区・竹橋駅 美しきシモネッタ展)

日本の総合商社の代表格といえば丸紅は確実にその一つに数えられる。竹橋にある丸紅の本社には丸紅が所蔵している美術品を公開している丸紅ギャラリーがある。2021年開館したばかりでまだ新しく、正面すぐのエスカレーターを上がった3階ギャラリーの同フロア内にはカフェーもあり、一般客も訪れやすいスタイリッシュな施設である。

ギャラリーに入る前には丸紅の歴史について紹介しているエントランスフロアがある。丸紅の創業者である伊藤忠兵衛は近江、現在の滋賀県で小売・地主の家に生まれ、兄の伊藤長兵衛と共に持下り商という移動式の行商を行なって身を立てた。その名前から察するように同じ商社である伊藤忠商事はここからきている。丸紅も伊藤忠商事も元を辿ればこの伊藤忠兵衛によって作られたもので、何度かの合併や分割を繰り返して現在の2社になっているのだという。丸紅として設立された際には当時の社長である市川忍によって「正・新・和」が社是として掲げられ、「正しくあれ、新しくあれ、親和」をモットーに現在に至るまで引き継がれている。

正しく新しく新和 できてるかな?と問いかける

今回は企画展として丸紅の収蔵品の一つであるボッティチェッリの『美しきシモネッタ』を特集した展示を開催。数ある丸紅のコレクションのうち、今回の企画展で展示しているのはこの『美しきシモネッタ』のみ。たった一枚だけの美術展である。なんという挑戦的な試みだろうか。これまでの企画展では丸紅ゆかりの染織物や染織図案、収集した絵画などの所蔵品をそれぞれの会期で一堂に会した一般的な展示形式であったのに対して今回はたった一枚のみ。その一枚を深掘りして行くというアプローチである。

一枚だけの展示という自信

興味深いのは当時のミューズとしてあらゆる絵の題材として登場しているシモネッタ、丸紅が収蔵している今回の展示品「美しきシモネッタ」が波瀾万丈の歴史を持っていたということ。忘れられた画家だった作者のボッティチェッリが注目されるきっかけになった作品でもある。イタリア、フランス、イギリスと渡り歩き、ナチスドイツによって買収、そこからイギリスへと戻されたのちに日本へやってきたこの作品は一時は贋作扱いすら受けたのだという。

トイレはウォシュレット式。個室が6基もあるというかなりユーザーライクな場所である。これからも多くの作品を展示することが期待される美術館の一つ。近くにある国立近代美術館ともアクセスが良く需要が見込まれる。

建物はガラス張り 掃除が大変そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?