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哀愁しんでれら

「子供の将来は、その母の努力によって定まる」

◎ ある意味ディズニーに喧嘩を売るアンチプリンセス映画

ディズニーのプリンセス映画、特に初期の作品では、幸せをただ待っている受動的な女性が、運命の王子様と出会い、互いのことをそこまで知らないまま、あっという間にハッピーエンドという展開が多い。
そして、それに憧れる女子は時代を経ても多いだろう。
しかし、この映画を観て「ちょ、待てよ」とあなたの心の中のキムタクが言ってるぞ。ディズニープリンセス婚して本当に大丈夫ですかと、ガラスの靴を履かせるそいつは、本当に運命の人ですかと、我々の曇った眼球をゴシゴシ拭いて注意喚起してくるような一本だった。
白雪姫も、いつだって毒リンゴを持った魔女になり得るんだよって話。
それと同時に、子を育てる”親”という大きなテーマもあった。
「子供の将来は、その母の努力によって定まる」
というナポレオンの残した言葉が作中に出てきて凄く印象に残ってるし、土屋太鳳演じる小春と田中圭演じる大悟どちらも母親という存在にコンプレックスを持っており、だからこそ小春は誰よりも母親になることに、大悟は家族や愛のあり方に固執する。
そんな小春は、母になることと母であることは違うと痛いとこ突かれたり、COCO演じる娘のヒカリとの関係だったりで、彼女なりの理想の母親像にどんどん押しつぶされていく様が、痛々しくもリアルに感じた。

◎土屋太鳳が三度もオファーを断ったエグ脚本を見事に彩った役者陣

今までに見たことのない新たな土屋太鳳を見れること間違いない。
彼女のピュアさ、真っ直ぐで真面目な印象が、今作の小春というキャラクターと、危うさという部分でリンクしているように見えた。
彼女自身、3回オファーを断って、4回目で小春が泣いてる気がしたということで、出演を決めたほど。かなりの覚悟を持って今作に挑んだことが伺える。
また、田中圭に関しても、彼の持つカジュアルで親しみやすい感じ、それでいて本性はクズでしたみたいなキャラクターを演じさせたら流石。
そして特に素晴らしかったのが、大悟の娘ヒカリを演じたCOCO。世界的キッズインスタグラマーで、今までの演技経験は0。そんな彼女の存在感たるや他に類を見ない。演技の上手い子役のそれとは全然違くて、そこにいるだけで目が行っちゃう。もうまるで”和風エスター”
主要3キャストのハマりっぷりはもう完璧でした。

そのポスターの異質さに、気持ち悪さと同時に何かそそられるものを感じ、気づいたら劇場に身体が吸い込まれていた。
パラサイトやジョーカーのようなブラックコメディ強めの映画が好きな人にはおすすめだが、確実に賛否両論の作品であることに間違いないし、ラストは放心状態になるので、心して鑑賞するように!

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