一流編集者Sさん(25歳)と三流編集者Tさん(38歳)は、何が違うのか。

いつも三流編集者の話ばかりしていますが、もちろん世の中は三流編集者ばかりではありません。今回は一流編集者についてご紹介します。

では一流編集者の条件とは、何でしょうか。「三流編集者の七癖」の逆であればよいのですが、それだけでは「ふつうの編集者」でしかありません。

「ふつうの編集者の七癖」

① 忙しがらない

② メールの返信が早い

③ スケジュールを立てる

④ 共同作業で原稿を作る

⑤ 手の内を先に明かしてくれる

⑥ 最初にお金の話をする 

⑦️ 学歴に頼らない

私の経験値では、三流編集者が全体の3割、「ふつうの編集者」は6割、一流編集者は1割、という印象です。

一流編集者の5つの条件

では、1割の一流編集者にあって、6割の「ふつうの編集者」や3割の三流編集者にないものとは何でしょうか。

① いつも楽しそう

② ポイントが明確

③ 余裕のスケジュール 

④ 企画書がきれい

⑤️ 粘り強い

①〜⑤を、ある一流編集者Sさんと三流編集者Tさんを例に説明しましょう。

① いつも楽しそう

一流編集者のSさんはいつも楽しそうに仕事をしますが、三流編集者のTさんはいつもつまらなさそうに仕事をしています。

仕事がいつも楽しい人なんていません。

仕事は友情や愛情でするものでもありません。いくら辛そうにしたり、怒ったりしても人は助けてはくれません。むしろ近づくことさえ嫌がるでしょう。自分が辛そうにしていたり、愚痴や文句ばかり言っていたら、一緒に仕事をする人にも感染します。そうすると「楽しくない波紋」があっという間に拡散します。

逆に楽しそうに仕事をしていると、人は近寄ってきます。その楽しい恩恵にあやかりたいからです。

グリコのCMに「幸せだから笑うのではなく、笑うから幸せになれる」というコピーがありますが、楽しそうな人に幸せな仕事はきます。そして、どんな辛い仕事でも結果的に幸せな仕事にします。

たとえば三流編集者Tさんは、楽しそうにしているところを見たことがありません。よく言えばポーカーフェイス。何を考えているかまったくわからないのです。

無口で大人しい、というのは決して三流の条件ではありません。一見無口で大人しい印象の人でも楽しい人はいっぱいいます。ふだんは口下手でも「働きマン」スイッチが入ると、ビシッと伝えられる人もいます。おしゃべりで退屈な人もいっぱいいます。

三流編集者Tさんの口癖は「うーん。まあ。そうですね〜。いんじゃない。変な話」。そういえばアニメ『SHIROBAKO』に出てくる三流編集者・茶沢の口癖も「変な話」でした。誰だってこういう三流編集者とは仕事をしたくないのです。

一流編集者Sさんは、いつも笑顔で相手を楽しませようとしています。いつも相手がどう考えているか、質問から入ります。聞き上手(しゃべらせ上手)はモテる人の「あるある」です。

② ポイントが明確

一流編集者のSさんは相手の立場になってメッセージを伝えますが、三流編集者のTさんは自分の頭の中をパッケージ化しないでそのまま伝えます。

一流編集者はメールの返信が早いだけではなく、ポイントが簡潔で明快です。編集者の一番基本の仕事はディレクションです。そしてディレクションではポイントを押さえてわかりやすく説明しないと、あとで齟齬が生まれます。

メールの書き方が上手なSさんは、文字だけで絵が浮かんできます。

また、編集者は雑誌でもWebメディアでも、読者を楽しませ、読者の役に立ち、読者の心を動かすことをめざしてコンテンツを作ることが仕事です。

目の前の人を楽しませられない人が、読者を楽しませられるはずがありません。一流編集者はメールやプレゼンでも、シンプルでわかりやすく、ときには楽しめるように心がけているのです。

ポイントを押さえることは、ディレクションの基本です。伝えたいことをポイントを押さえずにだらだらと伝えるのは三流編集者のすることです。

三流編集者Tさんと仕事をしたライターの多くが口を揃えて「あの人は何が言いたいのかよくわからないので、一緒に仕事をしたくない」と言います。

③ 余裕のスケジュール

一流編集者のSさんは綿密なスケジュールを立てますが、三流編集者のTさんはスケジュールを立てません。

スケジュールに余裕をもって進行すれば、自分が楽になるだけでなく、一緒に仕事をするパートナーも楽になります。スケジュールに余裕ができると、コンテンツの品質を上げる時間もできます。スケジュールに余裕があると、パートナーは心に余裕が生まれ、モチベーションも上がります。これは心理学的には「返報性の原理」と言いますが、「これで遅れたら申し訳なさすぎる」という気にもなります。一流編集者は、小さな貸しで大きな見返りを得られることを知っているのです。

スケジュールは、時間があるから楽にコンテンツを作れる、というものではありません。どんなに時間に余裕があっても、スケジュールがいい加減なプロジェクトは必ず問題を起こします。逆にどんなにきついスケジュールでも、事前に細かく決まっていれば、予定が立てられるので大きなトラブルにはなりません。

一流編集者のSさんは、エンドクライアントの都合でスケジュールが立てられなくても、逐一進捗状況を知らせてくれます。「今日、催促の連絡をして3日以内に決定してもらう予定です。動きがなかったらまたご連絡します」といった感じで。常にガラス張りなのが一流編集者です。

三流編集者のTさんは、平気で締め切り日に依頼をして「なるはやで」と言います。そして、エンドクライアントへの納品も「すみません、バタバタしてたので遅れました」と言い訳にならない言い訳を平気でします。常にブラックボックスなのが三流編集者です。

④ 企画書がきれい

一流編集者のSさんの企画書はきれいだが、三流編集者Tさんの企画書は汚い。

なぜでしょうか。「きれい」とは必ずしもデザイン的に美しいという意味ではありません。「きれい」とは、メールと同じで、読者に届けるコンテンツが、シンプルでわかりやすく、役に立って、楽しませなければならないという意識があるからです。汚い企画書は、相手がどう受け取るかを考えていないから、汚くなるのです。

三流編集者のSさんが作る企画書は、フォントがバラバラでゴシックと明朝が混在していたり、写真の上に読みづらい袋文字を無理矢理載せたりします。目立たせたいとか、インパクトをもたせたいとか、カッコよく、という発想はまったくありません。

一流編集者のSさんが作る企画書はシンプルでわかりやすいのが特長です。色は最大3色、フォントは1種類です。ビジュアルと文字の組み合わせも、なぜそのように組み合わせているのか、意図が明確です。つまり雑誌のようにどこを最初に見てもらいたいのか、どこが重要なのかポイントを押さえています。

⑤ 粘り強い

一流編集者のSさんは途中で妥協しませんが、三流編集者のTさんは「まあ、こんなものか」で終わります。

一流編集者は、自身が納得するコンテンツになるまで、時間の許す限り、自身をギリギリまで追い込んで粘ります。なぜなら粘ることで最後に笑えることを知っているからです。

三流編集者は、妥協したり、やっつけで片づけたりするので、最後に「やったね!」と笑顔になることはありません。三流編集者が笑うときは、愛想笑いと苦笑いだけです。

三流編集者は、ライターとのやりとりでも、「これ以上やっても不機嫌になるだけだから」とか、「これじゃ採算合わないな」とか、自分に言い訳をつくって途中で諦めます。

しかし、一流編集者は周囲が「もういいんじゃない?」と言っても、『24』のジャック・バウワーの如く、最後まで諦めないのです。

一流になるか、三流になるかに、経験は関係ありません。また三流編集者が今後一流編集者に化けることもありません。

あなたは新卒2年目の一流編集者Sさん(25歳)と、ベテランの三流編集者Tさん(38歳)、どちらと仕事をしたいですか?


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