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林業をする上での体のつくり方

 ありがたいことにまたマシュマロで質問をいただきました!

 私が最近、林業に就業した時期のことをnoteで書いたからでしょうか、林業に関する質問をいただきました。

 まず質問に直接お答えすると、私は林業に関わる前に、筋トレなどの特別に体を鍛えることはしていません。ただ、ヤモリーズに入る前は高森草庵で農作業などはしていたので、ホワイトカラーの人よりは身体を動かしていたと思います。


 次に、この質問者さんがこのマシュマロを送ってくださった意図を推察するに、「旦那は肉体派ではないが、もし林業をするとなると事前に身体を鍛えた方が良いだろうか」ということが聞きたかったのかと思います。
 以下、その推察に沿って私の見解を述べます。

 
 まず、林業に興味がある、の度合いによって答えが変わります。
 例えば、森林組合や林業事業体に入り、週に5日や6日働くという、生業として林業に関わることを考えているのか、普段は別の仕事をしながら、週一山に入って自分の自由で山仕事をしようとするのか、で変わります。

 後者の場合なら特別体を鍛える必要はないでしょう。山仕事はたいへんですが、週に一度くらいであればそこまで身体への負荷も大きくないでしょうし、自分の裁量で山仕事ができるなら、しんどくなったらその日は切り上げれば良いのです。

 前者の場合だと、身体を鍛える必要はあると思います。
 生業として山に関わるなら、当然ノルマや仕事の成果は求められますので作業強度は高いですし、週5や週6入るなら、体力も必要になります。今まで身体を動かしていない状態でいきなりその状況になると、なかなか厳しいと思います。

 
 さて、次に生業として山仕事に関わるために身体を鍛えるとするなら、どういう方法が良いかということですが、これは少しお答えするのが難しいです。正直に言うと「何が一番適切なのか分かりません」と言うしかないです。
 ただ、それだけだとさすがに不親切ですので、そういう答えになる理由と、それでもおすすめできるかもしれない鍛え方を御紹介します。

 まず、なぜ「何が一番適切なのか分かりません」と答えるかというと、山仕事のために身体を鍛えるのに一番いい方法は「山仕事をすること」だと、私は考えているからです。
 「山仕事(林業)」と言ってもその作業は多岐にわたり、チェーンソーで木を伐ることはもちろんのこと、何十kgもある架線(太いワイヤーみたいなもの)を担いで山の中を1km以上歩くこともあるし、苗木を何十本も担いで足場の悪い山を移動しながら苗木を植えることもあります。山仕事は力仕事ですが、単純な腕力だけでどうにかなる仕事ではありません。脚力も必要ですが、ロープを引っ張る時の背筋も必要ですし、足場の悪い山中で姿勢を崩さないバランス感覚も必要です。
 それら多岐にわたる身体能力をそれぞれ個別に鍛えるのは効率が悪いと私は考えています。なので、山仕事で必要な身体は山仕事をすることで作るのが一番良いと思います。

 ただ、それでは結局山仕事をする前に身体がつくれないことになるので、上記の前提はあったうえで、それでも敢えて私が提案できる身体の鍛え方をお伝えします。

 私が一番良いと思う方法は「山を歩くこと」です。それも、登山道などの整備されたところではなく、獣道のような人が整備していないところを、時には手を使って四つん這いになりながら歩く(登る)のが良いと思います。

 というのは、山仕事は多岐にわたりますが、どの仕事も「山の中で歩く」ということは必ず必要になるからです。

 山での移動は、平地のアスファルト道路などを歩くのとはまるで違います。
 まず平らな地面がほぼないので、斜面を歩くことになります。そのとき、重心は倒れないように山側に少し預けることになるでしょう。
 また、足を置く場所は枝葉が落ちていたり、岩があったりしてちゃんと地面を踏みしめられない箇所もあります。その中で最も適切な足場を選んで足を置き、その場所でバランスを取りながら体を動かす必要もあります。
 重い荷物を持ちながら、常にバランスを取りつつ移動するというのは、やってみると分かりますがとても疲れます。どこかの筋肉だけが痛くなる、というのではなく、全身に疲労が溜まります。多分、バランスを取る時は全身を使わないといけないからでしょう。
 
 林業で木を倒すためにロープを引っ張ったり、あるいは重い丸太を動かしたりと言った、強い力を出す場面もあり、そうしたときは特定の部位の筋肉が疲れることもありますが、そういう場面より不安定な足場の山中を動き回ることの方が多いので、山の中を移動することに適した身体になっている方がより早く山仕事に慣れると思います。

 山仕事で一番必要になる動きであること、そして不安定な足場であること自体が全身を鍛えることにつながるという2点の理由から、山仕事のために身体を鍛えるのに一番いい方法は野山を歩くことだと思います。

 ただ、これは近くに山がない人にはできない方法です。
 山を歩く以外の身体を鍛える方法であれば、ランニングが良いと思います。
 山仕事で瞬発的な力も必要になる場面は多いですが、私が一番大事だと思うのは体力です。
 山仕事は一日最低8時間動き続けますし(休憩時間はあるが)、それを毎日繰り返します。一日だけ動けても、次の日動けないと仕事になりません。なので、仕事として続けていくなら基本的な体力が必要です。

 私が体力を鍛えるのに思いつくのはランニングぐらいですが、他にもある程度の強度の運動を連続して続けることができるなら、それでもいいと思います。要は、長い時間、連続して動き続ける体力が身につく方法であればいいと思います。

 もう一つ大事だと思うバランス感覚の鍛え方ですが、これはさまざまな方法があるし、私もベストなものは分かりません。
 バランス感覚は老化の影響を一番受けるとのことで、私も家でバランス感覚を養うトレーニングをしていますが、いろいろ試している段階です。
 現時点で一番手軽で効果があると思っているのが「イス軸法」と呼ばれるものなので、興味があったらやってみてはいかがでしょうか。
 山仕事をしない方でも、健康づくりに良い方法だと思います。

 
 いかがだったでしょうか。
 マシュマロ主さんのお聞きになりたいことに沿った回答になっていれば幸いです。


 本日は以上です。最後まで読んでくださりありがとうございました!
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