フィンランドは一日5食?
日本は美食の国である。一方で、イギリスに代表されるような”寒くて土地が貧しい国”の食文化は日本人にとっては物足りないと評されることも少なくない。
フィンランドも例外ではなく、今でこそ北欧の豊かな福祉国家として知られているものの、気候は厳しく、貧しい時代の長かった国である。
フィンランドのライフスタイルが取り上げられると、次のような言説が聞かれることがある。
つまり、フィンランドの食事も評判がいいわけではないのだ。ホームステイや移住を考えている人の中には不安に思っている人もいるかもしれない。食の相性は重要だ。
そこで今回は評判の真偽や価値判断はさておき、私が高校留学と3つのホストファミリーでのホームステイで経験したフィンランドでの一日の食事を紹介する。
Aamupala 朝食 7時
主流はPuuro(ぷーろ)と呼ばれる粥だ。オートミールでできたものが一般的だが、米でできたものも食べられる。Puuroにはベリーを散らしたり、ジャムやピーナツバター、バナナをのせて食べたりする。
私はPuuroがあまり得意でないため、留学時代は日本より二周りほど小さい食パンを用意してもらい、チーズやハムをのせて食べていた。去年の滞在ではライ麦パンが好きになり、そればかり食べていた。
シナモンロールを朝食に食べたりもする。これはホストファミリーのお母さんのお気に入りで、気が合うねと意気投合していたが、お父さんに言わせると甘いパンは朝ごはんにならないらしい。
Lounas 昼食 11時
フィンランドの昼食は早い。高校の昼休みは11時からで、食堂で無料の給食を食べていた。メニューは一品料理のLaatikko(らーてぃっこ:キャセロール、オーブン焼き)かスープが多く、キャベツを切ったサラダとパン、飲み物は牛乳とPiimä(ぴーま)という飲むヨーグルトがあった。
働いている人は、レストランに食べに行く。お昼どきのレストランはランチビュッフェの形式が多く、コスパよくモリモリ食べられる。メニューは給食より少しバリエーションが増えて、おいしさもアップしたようなものが多い。
ヘルシンキでは平日のお昼に寿司ビュッフェが賑わっているのをよく見かけた。
もちろん、前日の残り物や簡単なサンドイッチとりんごなどを容器に入れてもっていく人もいる。
Välipala おやつ 14時
Kahvitauko(かはびたうこ)と呼ばれるコーヒーブレイクが労働契約に含まれている業種も多い。
コーヒーとシナモンロールや、ケーキ、チョコレートなどをつまむ。
Päivällinen 晩ごはん 17時
8〜16時で働く人も多く、帰宅後すぐにご飯を用意する。私のホストファミリーはお父さんが定年退職していたので、16時ごろには食べられるように暖かい食事を用意してくれていた。
メニューはミートボールやラーティッコ、スープ、グリル料理などさまざまだ。メイン一品に合わせる主食はジャガイモが一番多いが、米のときもある。トマトとキュウリを切ったサラダとパンをカゴにもってチーズとバターとセットで食卓に並べる。
基本的にはみんなで揃って食べるが、誰かが遅れたり、急いでいる場合でも、温め直して好きなタイミングで食べられる料理が多い。また、私が住んだ3つのホストファミリーでは、自分で好きな分だけよそうセルフサービス形式だった。
Iltapala 夜食 20時
晩ごはんも比較的軽く時間も早いため、夜食を食べる。りんごだけ齧る人もいれば、アイスクリームを食べる人もいる。ライ麦パンにバターを塗ってチーズとキュウリのスライスを乗せたものが私のお気に入りだ。
また、この夜食を張り切って作る時もある。フィンランドのクレープLettu(レットゥ)を焼いたり、ハンバーガーを手作りしたり、ネットでみかけたおしゃれな軽食を試してみたりする。
一日5食のフィンランド
そう、フィンランドでは一般的には一日5食だ。これは忙しい現代においては変わりつつあるし、歳をとると食事を軽くする場合もある。
けれど、ホストファミリーのお母さんに言わせると、「一日中3食だと、子どもはエネルギー切れになっちゃうでしょう?」ということらしい。
生活において食事はとても大切だ。一日の疲れを癒やしてくれることもあれば、相性が良くない場合はとても辛いものになったりもする。ホームシックの原因にもなるぐらい、悩みのタネになったりもする。
同時に思うのは、「食事」はとても簡単に変えられる。食べるタイミングや、量、内容も実はとても自由だ。だからあまり凝り固まらずに、いろいろな食生活を試してみればいいと思う。いつもと違う食生活から、新たな発見があるかもしれない。
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