【映画感想130】ゴールデンカムイ/久保茂昭(2024)
野田サトルの漫画「ゴールデンカムイ」の実写化。
邦画で「実写化」と聞くと思い出してしまうのは悲しい事例の方が多く、制作発表が出たときには正直「また似ている旬のアイドルや俳優で固められたり恋愛要素が盛られた別の映画になるんだ……」と思っていました。
が、実際に見て見たら俳優陣の演技や作り込みなどこだわりがとんでもなく、「実写映画」という言葉に対するネガティブイメージを覆すような一作でした。
特に印象にのこったのが俳優陣の役作りで、「ああ、このキャラならこういう仕草しそうだよね」と細かい仕草が追加されています。
生身の人間が演技をする醍醐味を感じました。
あとこれみんな言ってるけど白石は本当に白石でした。
アシリパ叔父だけ棒読みっぽいのはアイヌ語ではなく和人の言葉で喋ってるからかと思っていましたが、調べたら俳優ではなく劇中のアイヌ語・文化監修も担当した方でした。だから過去シーンにセリフを流すカットが多かったのかな。
冒頭から戦場のシーンの迫力もすごい。見逃してしまったけど軍服とかの慣習は誰だったんだろう。あとで知りましたがアイヌの民族衣装も専門家が年月をかけて仕立てたものだったそうです。
これだけこだわりがあるからにはエンドロールに出てくる監修者名やスタッフ名がとんでもなく多いのですが、例えば「小道具制作」だけではなく「鉄器制作」など割と細かく表記してあったのが
原作に対してではなく映画に携わった人々へのリスペクトを感じて好感を持ちました。
原作3巻くらいまでの映画化になるのでやっぱり途中で終わってしまう感じになるので、原作知らない人に1本の映画としてはどう見えるかはわからないのですが、
原作ファンならここまで全力を尽くしてくれたらほぼ満点じゃないでしょうか。
個人的に静かな映画が好きなのでBGMの壮大さが気になったのですが全然いいです。最後に感動的なBGMをぶつ切りにして杉本を殴るアシリパさんもよかったし、一番心配していた恋愛要素をもられることもなく、むしろ共闘シーンのカットで息の合うバディ感をもってくれたのも良かった。
今後続編があればものすごく見たいですが、懸念としてはかなり時間をかけて撮っている印象があるのでハリポタみたいにキャストの年齢が作中より進む現象が起きそうな点と、原作ではこの後のエピソードでどんどん野田節ギャグがさらに濃くなって行くので映画かにあたりどう落とし込んでいくかではないかと思います。
次の囚人から変態のオンパレードなのでシートンのとかどうするんだろう。
煌めくんだろうか。笑
見て良かったです!
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