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好きだった

好きだった俳優がいた。好きだったアイドルがいた。好きだったYouTuberがいた。

今はもう好きとはいえない、好きには戻れない。

寝る間も惜しんで画像検索し、1ページだけ載っている彼らをみる為だけに1000円の雑誌を買った。バイト代を全て生写真につぎ込んだりもした。ファン同士の交流を持ったり、自分が書いたファンアートを褒められたりもした。

でも、それらの繋がりを全て捨てた。アカウントを抹消し、そんな私は存在していなかったかのように今は暮らす。

繋がりを絶ったことへの後悔はない。彼らを「応援しない」と決めて、彼らに見切りをつけたのだ。

それでもどうして、遭遇する度に心がギュッと締め付けられるのだろう。時々思い出してはSNSを覗いてしまうのだろう。いつもどこか後ろめたさが付きまとう。

本当はもう一度好きになりたいと思っているのかもしれない。

けれど、変わってゆく彼らについていけなかったからファンを辞めたのだ。例えもう一度好きになろうとしたって、彼らの今を無視して、好きだった過去の姿にしがみついてしまうことが目に見えている。

もっと時間が経てば、彼らを忘れられるだろうか。この未練は断ち切れるのだろうか。


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