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コミュニティ大会同士の提携がよりよい運営や盛り上がりの鍵?

esportsを盛り上げ裾野を広げていく要となるのがコミュニティ大会だと言われるが、有志のプレイヤーがコミュニティを立ち上げ、大会を開催するのは一筋縄ではいかない。

これからやってみたい人にとっては言うまでもなく、すでにコミュニティ大会を主催している人にとっても課題は多いだろう。企画、費用、人手、告知、連絡、出演者アサイン、会場確保、設営、運営、生放送配信、動画制作などなど、クリアしないといけない項目は多岐にわたる。

そこで今回はこうした課題に対する解決策として、コミュニティ大会同士の提携について検討していく。

これにはノウハウの共有はもちろん、告知の協力や臨時の手伝いなどさまざまなメリットが考えられるが、一方で情報をどう管理するかといった課題やディスコミュニケーションが発生しやすいというデメリットもある。なので、具体的にどう提携すればいいのかも議論する。

僕自身も以前大会を運営していたが、自分が工夫・苦労したことなどを誰にも伝えることなくいまに至ってしまっている。新しいコミュニティ大会が立ち上がるたびに車輪を再発明していては、いつまで経っても自動車は完成しない。

この記事がきっかけの1つとなり、コミュニティ大会同士が今後より積極的に提携してそのメリットを享受していってもらえるようになれば幸いである。

【目次】
コミュニティ大会における課題
提携することでノウハウを共有できる
提携することで告知も助け合える
具体的な提携方法
ゲーム会社やJeSUに求めれられる役割

※今回の記事ではコミュニティというよりコミュニティ大会を主語とする。esports関連のコミュニティはほとんどが大会を中心に形成されているからだ。

コミュニティ大会における課題

まず、コミュニティ大会によくある課題をまとめておこう。ここでは特にタイトルを限定しないが、各タイトル特有の注意事項も存在する。

・どんな企画が誰に刺さるのか?
・大会ルールの作り方は?
・どうやって告知して参加者や視聴者を集めればいいのか?
・適任のキャスターが分からない。
・参加者との連絡方法はどうすればいいのか?
・大会運営で役に立つツールは?
・オンライン大会の運営で注意することは?
・オフライン大会の会場はどこがいいのか?
・機材はどれがよくて、どう組み合わせればいいのか?
・設営はどれくらいの時間がかかるのか?
・○○というトラブルが起きたときの対処法は?

特に大会運営では想定外のトラブルが起こるので、シチュエーションごとに対処法が分かっているとたいへん心強い。そのほか、費用や人手が足りなくて困っている場合や、配信ツールなどの使い方が分からない場合もあるだろう。

また、すでにある程度のノウハウが蓄積されている場合でも、別のコミュニティ大会ではよりよい仕組みを導入しているかもしれない。それはいったいどうすれば取り入れることができるのか?

こうした課題を解決できる方法が、コミュニティ大会同士の提携である。

提携することでノウハウを共有できる

コミュニティ大会同士で提携するということは、大会の企画や運営、告知などにおいて協力関係を結ぶということだ。要するに、お互いが持つノウハウやリソースを共有することで、立ち上がったばかりの大会は短期間でスムーズな運営を行なえるようになり、既存の大会はよりクオリティの高い運営を実現できるようになる。

大半のコミュニティ大会は営利目的ではなく、どの主催者もシーンを盛り上げてプレイヤーを増やし、より長くタイトルを遊んでもらいたいと考えているからこそ大会を開催するので、ノウハウやリソースを共有すること自体に障壁はないと思われる。

大規模なコミュニティが小規模あるいはできたばかりのコミュニティと提携しノウハウと提供することは、見方によれば搾取されているように映る。しかし、これから一緒にシーンを盛り上げたいと考える人たちを、よりにもよってすでに地位を確立している大規模コミュニティが無下にするだろうか?(もちろん提携しない判断が間違いなわけではない)

※ゲーム会社やesports事業者など営利目的の企業や団体が主催する大会なら話は別だ。そこには利益相反という巨大な壁が存在するので、企業同士が大会運営ノウハウを共有することはまずありえないだろう(誰がみすみす飯のタネを差し出すのか? もちろんその可能性を否定するわけではないし、僕は現状ではまったく問題ないと思うが)。

コミュニティ大会同士が提携すれば、先に挙げたような課題をすぐに解決できるはず。自分たちのコミュニティにノウハウがなければ、提携しているコミュニティに尋ねればいいだけだ。

そして例えば、「こんなトラブルがあって、こう対処した。こうやって準備しておけば大丈夫」と進んで情報共有すれば、ほかの大会では同じトラブルは起きないし、起きても大きな問題にはならない。

オフライン大会も、共催によってより多くの参加者が見込め、大きな会場を借りやすくもなる。そしてコストを抑えつつ参加費や寄付を募れば、もっと継続的に大会を開催していける。

ノウハウが共有されることで大会と大会の違いが分かりにくくなる不安があるかもしれないが、大会の独自性は企画やターゲット、主催者の理念、それこそ大会名などで充分に発揮できるだろう。

提携することで告知も助け合える

それと、コミュニティ大会では参加者や視聴者を募る告知・宣伝に大きな課題を抱えていることが多い。これも、コミュニティ大会がお互いに告知し合うことでリーチを広げられる。

スタッフは難しいかもしれないが、TwitterやYouTubeなどのフォロワーや過去大会の参加者リストなどを共有すれば、告知できる対象が大幅に増えるはずだ(告知が届いた人がプレイしたことのないタイトルだったとしても興味を持ってもらえるかもしれないし、当該タイトルをプレイしている友達に知らせてくれるかもしれない)。

大会を盛り上げるには1回参加・視聴してくれた人にリピーターになってもらうのも大事だが、それよりもとにかくリーチを拡大することが重要なので、その点だけでも提携には意義があるだろう。

同じタイトルを利用したコミュニティ大会同士だと参加者や視聴者を取り合う懸念があるように思われるが、開催日時をずらせば済む。ある大会に参加するプレイヤーは別の大会にも参加する可能性が高いからだ。たった1つの大会だけに参加し続け、たった1つの大会番組だけを視聴し続ける人はいない(マウスやキーボードにしても同じブランドだけを一生使い続ける人は極めて少数だ)。

これは異なるタイトルに関しても言える。あるesportsタイトルをプレイしている人は、別のesportsタイトルもプレイしている可能性が非常に高い。

1か月のような短い期間であればたった1つのタイトルしかプレイしないこともあるかもしれないが、2か月、半年、1年となるとたいていは複数タイトルをプレイしているだろう(かといって10タイトルもプレイしているとは考えにくい。多くの人が半年~1年ほどの期間で2~4タイトルくらいをプレイしているはず)。

つまり、異なるタイトルのコミュニティ大会も提携するメリットが大きい。ゲーム会社が自社タイトルと他社タイトルを越境して告知するのは困難を極めるが、プレイヤーやコミュニティは観光客気分で簡単に越境できる。これこそ公式側が持ちえない強みだ。

具体的な提携方法

メリットは大きいとはいえ、提携を実現し運用していくのは意外と難しいだろう。

端的には主催者(代表者)やスタッフがDiscordやLINEグループなどで繋がっておけばいい。ほとんどはこれで用が足りる。ときどき集まってノウハウ共有の勉強会をやってもいいと思う。いわばコミュニティのコミュニティだ。

できればノウハウを整理し、まとめておく場を用意したい。任意の相手とだけ共有できるGoogle サイトなど非常に便利なサービスはあるが、運営や更新の方法について充分話し合って決めておく必要がある。

また、通常のコミュニティにおいても音頭を取る中心人物(たち)が必要なように、コミュニティのコミュニティでもそういう人物が必要になる。諸々を管理する人を一定期間ごとに定めておくことは欠かせないように思われる。ディスコミュニケーションが発生しないような仕組みや配慮も不可欠だ。

大会の告知については、SNSで行なうならアカウントの所有者にお願いすればいいだけだが、過去大会の参加者のメールアドレスやTwitterアカウントといった個人データによって参加者リストを作成し利用するなら、個人情報保護法に留意する必要がある。

同法では「個人データの共同利用」が認められているので、条件を満たせば参加者の個人データをコミュニティ間で共同利用できる。

その条件とは以下である。当該の個人データを得る(参加登録の)際に参加者に通知し、いつでも簡単に知ることのできる状態にしておかないといけない(こちらを参考に。法第23条(第5項))。

・共同利用をする旨
・共同して利用される個人データの項目
・共同して利用する者の範囲
・利用する者の利用目的
・当該個人データの管理について責任を有する者氏名又は名称

なので、いま持っている個人データを、これから提携するコミュニティと共同利用することはできない(この場合は第三者提供となり、別の手続きが必要)。共同利用するなら、過去の参加者に改めて通知する必要がある。

煩わしいからTwitterだけでいいと判断するのもありだが、メールでの告知は届けたい人に明確に届けられるので、タイムラインに流れてしまうツイートとはまた違う利点がある。このあたりは要検討だろう。

ゲーム会社やJeSUに求めれられる役割

当たり前のことだが、コミュニティ大会はまさしく当該タイトルのシーンを盛り上げる一助となる重要な存在なのだから、課題解決のサポートはゲーム会社が率先して行なうべきことだ。賞品提供のシステムが用意されていることはあっても、運営ノウハウを提供したり公式サイトやゲーム内で告知したり、コミュニティ形成を支援したりしてくれるゲーム会社は多くない。だからこそ、『Hearthstone』の炉端の集いや『スト5』のDOJOは際立っている。

そして同様のサポートは日本のesportsを発展させるという大きな目的を持つJeSUにも求められていることだ。esportsを支えているのがコミュニティなのだと分かっているなら、主催者やプレイヤーの熱意ややりがいだけに頼りきっている場合ではない。大事だと言いながら何も手を差し伸べないのはお粗末である。

こうした上層のシステムにすぐに頼れないなら、下層で提携したほうが早い。その意味もあり、今回はコミュニティ大会の提携について検討してきた。いま実際に活動している人たちのほうが知見が深いので、ぜひ議論を深め、実践に活かしてもらえればと思う。

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本を買います。『マルドゥック・アノニマス』のために生きてます。

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謎部えむ

ようこそ、eスポーツスリンガーです。主に日本のeスポーツ業界のあれこれを考察・分析しています。 「happy esports」の詳細と連絡先は↓のプロフィールをどうぞ。「焚き火を囲って」はジャンル不定のコラムで、「創作の隘路」はジャンル不定の創作集です。

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