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始まりはからっぽ

広くなった部屋を見渡す。
そうだ、越してきた日もこんな部屋だった。
カーテンのない窓から風が吹き込んで、フローリングの上に転がったまま雲が渡っていくのを眺めていた。
始まりと終わりは似て非なる。
電気を消して壁をひと撫で、ドアを開けて呟く。
「行ってきます」

もう帰らない部屋へ感謝を込めて。

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