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遺書No.589 マッチの火で見るよに。

※この記事は2004年7月6日から2009年7月5までの5年間毎日記録していた「遺書」の1ページを抜粋して転載したものです。

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2006.2.13
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愛を伝えるには、必ずしも言葉で紡ぐ必要はないのかも知れない。

ただ、そこに想うのは、相手を見ること。
心の声にまで耳を傾けること。

『黙って相手の話に耳を傾ける。』


どうやらこれは、愛の第一義務かも知れない。

そういえば、かつて次のような愛の詩を目にしたことがある。

三つのマッチを一つ一つ擦る夜の中
はじめは君の顔を一度きり見るため
つぎのは君の目を見るため
最後のは君の唇を見るため
残りの暗闇は今の全てを思い出すため
君を抱きしめながら

by プレヴェール[ジャック・プレヴェール]
(フランスの詩人・脚本家、1900~1977)


フランスの民衆詩人、映画作家、童話作家であった彼は、生涯にわたり分かり易い言葉で詩を書いた。

電気が満ちる現代に生き、尚且つ想像力が拙い人にも流石に理解できるだろう。

交わした言葉に齟齬があったり、言葉に誤りはないのに先入観による歪んだ解釈があったり、相互理解を阻害する要素は沢山ある。

実はここ数年、インターネットで誰かと繋がったり、交流する機会がとても増えたけれど、実はそれと比例するように、表面的な言葉だけで物事を解った気になって人を見下したり、マウントを取ったり、傷付いたり傷付けたりする機会も増えているような気がしている。

思い過ごしなら良いけれど、たぶん電子の箱を介したコミュニケーションの中で、それはきっと気のせいではないとも思っている。

相手を承認すること、受け入れずとも受け止めること、顔を合わせて話でも難しい部分は、今後のネット社会では更に難しくなるだろうし、総じて相手の言葉の本意や真意に気を配ること、ニュアンスの伝わりにくさを慮ること、それらの配慮は一層大事になってくると考えている。

それこそ、マッチの火を灯して見るように、注意深く相手を見つめ、刹那の見逃しや聞き逃しも許さぬように相手の心に向き合う事が大切になるだろう。

そしてこのまま何年かが経った頃、その答えは出ているだろう。


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2022.2.4
毎日遺書を書き始めた当時589日目の投稿内容。
なんか、思いの他、今の時代を予見できてたよな事を書いてね?結構それなりにちゃんと社会が見えてたのかなって気がするよ。
16年が経ち、確かに答えは見えたしね。


過去のボクは昭和の固定観念や慣習に縛られ、自分や家族を苦しめていた事に気付きました。今は、同じ想いや苦しみを感じる人が少しでも減るように、拙い言葉ではありますが微力ながら、経験を通じた想いを社会に伝えていけたらと思っていますので、応援して頂けましたら嬉しいです。