natsume

生態学を学んでいる大学院生です。自分の住む場所の動植物や歴史を知るのが好きです。 現段…

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生態学を学んでいる大学院生です。自分の住む場所の動植物や歴史を知るのが好きです。 現段階では大学での研究やサークル活動を通して考えたことなどを書くつもりです。

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ダイサギは渡り鳥 -亜種の記録を集計する-

ダイサギ  チュウサギ  コサギ これらは「シラサギ・白鷺」として知られている白いサギたちです。 これら3種の識別はまあまあ難しいのですが、今回はさらに踏み込んでダイサギの亜種の話をします。 私たちが東日本で観察しているダイサギには、2つの系統が含まれます。 体が大きく、冬羽だと足の黄色くなるオオダイサギ(亜種ダイサギとも言う)と体が小さく、冬羽でも足のほぼ黒いチュウダイサギの2つです。 オオダイサギ+チュウダイサギ  チュウサギ  コサギ …! ダイサギとチュウサギ

    • わけあって早朝調査2019を集計しました

      この調査は2019年の一回のみ、大学サークルの自主企画として実施された。サークルでいつも観察している場所において鳥の個体数を記録するラインセンサスを行い、経年変化を知るための記録がされている。 調査方法 調査日は2019年5月25日(土) 250m×17区間のラインセンサス 近い(25m以内)と遠い(25m以上)に分けて区間内の個体数を記録 4時、4時半、5時、5時半発の4班が同じ場所を通る 参加人数は各班3~6名の計18名 結果出現種数 各班27-30種、計

      • 手すりのハエトリ@仙台

        ハエトリグモは種ごとに模様の差が顕著で、大きな眼のあるかわいいクモです。都市にもいる身近な存在で、様々な環境が入り交じる公園には多くの種が生息します。 ハエトリグモは「クモの巣」を作らず、獲物を探して歩きまわります。観察するには、跳ね回りやすい開けた場所(かつ隠れる所があるとよい・種類による)を好み、手すりや壁は観察しやすい構造物に挙げられます。 見られる種類は地域によってそれなりに異なっており、東北では全国的普通種のアダンソンハエトリやチャスジハエトリをそこまで見かけま

        • 自分の観察スタイルは?

          自然観察って、いろいろ楽しみ方があります。 鉄道好きが乗り鉄、模型鉄、撮り鉄などと呼ばれるように、自分なりのやり方があって当然で縛られるものではないです。 いろんな人と話したり観察したりする中で、何となく今のスタイルを言語化してみたいと思ったので、砕けた文章で綴ります。 鳥の観察を例に 野鳥観察のやり方を(無理やり)区分すると、よく耳にするのは撮影専門と観察専門でしょうか。極端に言えば前者がカメラ持ってて双眼鏡無い、後者が双眼鏡とスコープしか使わないとかです。ここまで極

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        ダイサギは渡り鳥 -亜種の記録を集計する-

          メモ:記録を表からノートに

          以前、記録の集計のためにノートに書いた記録を表に変換するコードをRとPythonで書いていました。 その逆をする機会もあったので、逆も書いてみました。 txt1 = read.delim("~/rec.txt", header = F, sep = "\t")txt2 = paste0(txt1[,1], "、")txt2[length(txt2) + 1] = paste0(as.numeric(nrow(txt1)), "種")filename = paste0("鳥

          メモ:記録を表からノートに

          大学周辺の鳥目録更新メモDec. 2023

          かねてより制作を続けている大学周辺の鳥目録、8版の暫定リストが公開されたのを機に学名を検討することにした。 2023年8月版の時点で既に、いくつかの種の学名はClementsなどを参照していたため7版と異なっており、それ以外の種についてメモする。 変更の概要 近年の学名の変更は、主にゲノムを読んで行われた属の再編成とsplitの2つによって生じている。 例えば水面採餌ガモの大部分を含んでいたAnas属が再編成された。マガモなど川によくいる種を含むAnas属、やや海沿いに

          大学周辺の鳥目録更新メモDec. 2023

          公園のアリ観察2023-08

          私がよく行く公園をまわってアリを探し、どのくらい観察できるか試してみる企画の続きです。 もう記事公開が11月なのに8月の話かい! 申し訳ありません。 この企画、当初の目的として公園内の地点ごとにアリの種類を記録しようと考えており、6, 7月と観察をしてきました。このまま続ければそれは達成されそうです。 一方、いくつかの目的を鑑みると、二つの相反する調査デザインが出てきました。 すなわち、①地点を制限して集中的に反復と種数の増加を目指すか、②地点を増やして環境要素との関わ

          公園のアリ観察2023-08

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          カモ2023-10-22

          カモ2023-10-22

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          カモ2023-10-15

          カモ2023-10-15

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          公園のアリ観察2023-07

          よくいく公園のアリを探し、どのくらい観察できるか記録してみる企画の2回目。 結論から言いますと、今回は労力を増やしてデータ数(地点ごとの種数の合計)が増えたものの、前回より全体の種数は少なく、前回からの追加は2種でした。 前回と地点数は同じですが、4地点は新規の地点です。 様子を少しだけ紹介 2023年7月中旬の3日間 アミメアリはよく引っ越しの行列が観察されます。運んでいる黄色い俵型のものが老齢の幼虫、他はさなぎです。 トビイロケアリがさなぎを運んでいたのですが、

          公園のアリ観察2023-07

          公園のアリ観察2023-06

          私がよく行く公園をまわってアリを探し、どのくらい観察できるか試してみよう!という企画です。 地点ごとにアリを記録しておく 公園内での観察種数が増えたら嬉しい というのを大まかな目的として、初回なので方法を考えながら歩いてみました。 2023年6月某日 7-11時 一ヶ所目(NN) 公園に到着してすぐ、少し木と落ち葉のある場所を見ました。 足元で何か跳ねたと思ったらヤマアカガエルのちびっこです。 まず目に付くのは、地面や幹を走り回っているクロヤマアリとハヤシケアリ

          公園のアリ観察2023-06

          ヒタキ 最新の系統樹を読む

          キビタキ、オオルリ、ジョウビタキなど、ヒタキの仲間は色の鮮やかな種が多く、探鳥会で見られたらとても人気の鳥たちです。今回は2023年に出版された、ヒタキ科の92%の種の系統樹を明らかにする論文を基にしてヒタキ科の系統を眺めます。ヒタキと、それに最も近縁なツグミの仲間の分類の変遷についても簡単にまとめます。 系統樹の出典 Min Zhao, J. Gordon Burleigh, Urban Olsson, Per Alström, Rebecca T. Kimball A

          ヒタキ 最新の系統樹を読む

          未来の杜せんだい2023植物まとめ

          2023年4月26(水)~6月18日(日)に、仙台市青葉山公園をメイン会場として全国都市緑化フェアが開催されました。 この記事は、フェアの期間内にメイン会場(青葉山公園追廻地区と西公園下町段丘地区)にて観察された植物をメモ程度に書き出します。 今回、200種12万株の植物が使用されたそうです。HPには植物リストが公開されており、その中には130種467品種が含まれました。ただ、このリストに無い植物も多数見受けられ、その植物種はたしかに200種を越えていました。 ※1:13

          未来の杜せんだい2023植物まとめ

          シラミバエ -虫屋より鳥屋の知る虫-

          シラミバエは鳥や獣に付くハエです。先日、とある鳥の轢死体よりシラミバエを得ました。これを機に改めてどんな種類がいるのか調べてみました。 シラミバエ上科のハエたち シラミバエ上科 Hippoboscoidea は、普段の生活で目にするイエバエやクロバエに近い仲間です。以下4つの科を含みます。 ツェツェバエ科 Glossinidae(日本にいない) シラミバエ科  Hippoboscidae クモバエ科   Nycteribiidae コウモリバエ科 Streblidae

          シラミバエ -虫屋より鳥屋の知る虫-

          また会いたい公園のアリ

          私のよく行く公園には40種以上のアリが生息します。関東の公園でアリのプロが40種以上を見つけられると言うので、北に行くと種数がやや減ることを考えれば、それなりに高いアリ多様性のある公園と言えます。 私は基本的に「見つけ採り」と言われる方法でアリを探します。すなわち巣を掘り起こすのではなく、働き蟻を見つけて同定してゆくのが主で、発見効率というか学術的にはあまり推奨されないようです。そのためか、一度きりしか見つけられていないアリがいくつか存在します。まあつまり、ちゃんと探してい

          また会いたい公園のアリ

          観察記録を公開してみた

          私は最も良く行く場所の鳥の観察情報を、ほぼリアルタイムで公開しています。普通に考えたら、問題を引き起こしそうなこの行為を、どう考えて行っているのか、どう欠点に対処しようとしているのか、私の考えを書きます。 情報公開の問題 まず、鳥の情報を出すことの、主な問題は2つです。 情報を元に人が来ることで 1.鳥への妨害が生じる 2.土地の利用者に迷惑になる 1は、例えば繁殖の妨害があります。マナーの良い人が一人で見ている時に問題無かったものが、5人ではたとえ全員のマナーが良くて

          観察記録を公開してみた