川野夏実 オランダのグラフィックノベル翻訳者

オランダのグラフィックノベルを翻訳しています。『ゴッホ最後の3年』『小さなベティと飛べ…

川野夏実 オランダのグラフィックノベル翻訳者

オランダのグラフィックノベルを翻訳しています。『ゴッホ最後の3年』『小さなベティと飛べない白鳥』(ともに花伝社)の訳者。 『ハチクマの帰還』翻訳出版クラファンプロジェクト挑戦中。 http://thousandsofbooks.jp/project/honeybuzzard/

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オランダのグラフィックノベル

はじめまして。 オランダのグラフィックノベルを翻訳している川野夏実です。 願望も込めてグラフィックノベル翻訳者と名乗ってはいますが、訳書は今のところ2冊、そして自分の好みの作品に知識が偏っています。 この機会にオランダ語圏のグラフィックノベルの世界を幅広く勉強してみることにしました。そのアウトプット先としてNOTEでみなさんと情報をシェアし、グラフィックノベルのファンになってくれる方を増やしていけたらいいなと思っています。 どうぞよろしくお願いします。

    • ユディット・ファニステンダール『ペネロペ』

      今回は、フランドルを代表するグラフィックノベル作家にユディット・ファニステンダールの作品を紹介します。 彼女はたくさんの素晴らしい作品を発表していますが、その中でも、「この作品を出すまでは諦めらめるわけにはいかない」と思っているのが『ペネロペ』です。 ペネロペはかれこれ10年間、ベルギーと戦争地域を行き来しながら外科医として活動してきました。 物語冒頭、ペネロペがシリアの戦禍で女の子を救おうと奮闘している最中、彼女の13歳の娘はひとり、部屋で初潮を迎えます。不在の母親の

      • バーバラ・ストック『哲学者と犬と結婚と』

        『ゴッホ最後の3年(花伝社・2018年)』の作者バーバラ・ストックの最新作『哲学者と犬と結婚と』も、「これが日本に紹介できるまで諦めるわけにはいかない!」と思っている作品の一つです。 紀元前4世紀のギリシャに生きた、最初の女性哲学者ヒッパルキアの物語で、すでにヨーロッパ・アジア7ヶ国語へ翻訳されています。 紀元前4世紀、アレクサンダー大王の時代。当時、女性は男性の従属物であり、動物は人間よりも価値の低い存在、また奴隷という身分が当たり前に存在していました。 ギリシャ北部

        • フランドルのグラフィックノベル紹介『ガラパゴス』

          今回は、オランダNRC紙で発表された「2023年グラフィックノベル・ベスト10」という記事からのご紹介です。 このランキングではオランダに限らず、フランスやアメリカのグラフィックノベルも対象になっていますが、オランダ語圏の作品で最もランキング上位に置かれたのが、今回ご紹介するフランドルの作品『ガラパゴス』(第3位)です。 1929 年、ドイツ人医師フリードリヒ・リッターとそのパートナーは、理想の生活を求めて、ガラパゴス諸島の一部である無人島フロレアナ島に移住します。彼らが

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          国際的に活躍する5人のオランダ人グラフィックノベル作家

          フランスやベルギーに比べ、オランダのグラフィックノベル市場はいまだ限られています。補助金なしで、漫画家として生活できている作家はごくわずかです。 それでも、グラフィックノベルの世界で国際的な注目を集めている作家たちがいます。今回はその中から5人の作家の名前をご紹介します。 ミラン・フルシング(Milan Hulsing) エメー・デ・ヨング(Aimée de Jongh) バーバラ・ストック (Barbara Stok) マルグレート・デ・ヘーレ(Margreet

          国際的に活躍する5人のオランダ人グラフィックノベル作家