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【エッセイ】鬱を煙に巻くには

鬱だ。
最近の気温と気圧が急変化しているせいもあるかもしれない。
でも自分では原因がわかっていた。
妊娠中から活用していたXのアカウントだ。
このアカウントはあらゆるママさんたちとの交流や情報交換のために開設した。現にいろいろな育児のための情報やライフハックはとても役に立っている。だが、中には家族仲の悪化や、育児の辛さで負の感情を紡いでる人もいる。
そういうのを健康な状態で摂取し続けるのは良くない。そう気づいた時には時すでに遅しで、メンタルが結構下降していた。

私の家庭状況は至って良好だし、息子も元気だ。
なのに何故私が他人の負の感情を見ることでネガティブにならなくてはならないのか?と意味がわからなくなり、その日からそのアカウントから離れている。
その頃には、育児でなにか起これば「なんて書こう?」と既に脳内ではXに書くための文章を構築し始める癖がついていた。
これではいけない。

鬱を脱しようと思った時、私はまず森に行きたいと思った。多くの人がそうかもしれないが、自然を感じる場所に定期的に行くことでかなり心が癒される。DNAに刻み込まれているのかもしれない。

しかし私はいま子連れだし、旦那が休みの日に1人で森に行くにしても、私は今すぐ森に行きたい…とかなりうずうずしていた。

そこで森林音をいろいろと検索してみると、なんとリアルタイムで特定の森の中の音を聴けるアプリがあった。
これがなかなかに良い。
鳥の声が聞けないかな〜と晴れている森を選択して耳をすましたり、寝る時は雨が降っている森を選択して眠りについたりした。

聴覚だけでも自然に帰ると、わりと効果があった。

次に嗅覚で森を感じるためにお香を買ってみた。
お香を買ったことが無かったのだが、とりあえず早く森を感じたかった私はAmazonプライム便で雨の日の森のような香りをうたうお香を買った。

最初は森かなー、これ?と思ったが、お香の良さというのは半分くらい視覚にあるのかもしれない。
私は偶発的な青白い煙が舞い上がっていくのを眺めているだけでも、かなり癒されていた。
その煙が鼻から血管にしみ渡るような、髪にまとわりついて染められるような、もやもやと自分の存在があやふやになっていく気分がいい。

ついでにBGMは雨の日の森。
センチメンタルな音楽を別で流すのもいい。
昼なのに外が暗くて、湿っぽい空気なのもいい。

なぜか、鬱っぽい雰囲気に浸っているのに、私の心はどんどん溶かされて穏やかになる。
これが私だったのかと、目を閉じる。

明日もこうしよう。
いつの間にか気圧など気にせず、明日は雨にならないかなと思ったりしている私がそこにいる。


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