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Day Two | “笑う”という影響力って、周りをちゃんと巻き込んでくれる

夏休み2日目。

台風が来ることを知って、飛行機の便を1日早めた。
点検や色々な影響により飛行機は
2時間遅れて出発する。
待ち時間の間、ひたすらに文章を書き留めていた。


向かう場所は九州。

泊まる場所は、上京してから出会った
4つ歳の離れた先輩の一軒家。


数日前、旅の期間の天気予報を、電話ごしに2人でチェックをした。見事なまでに並んだ傘マークと上がり続ける降水確率。


彼は私よりも台風や雨で気候が悪いことを
残念がって「晴れないからなあ」なんて何度も呟いていて、
その度に私は「私は晴れ女だから晴れるんじゃないですか」なんて冗談を返した。


港で大きな花火大会がある。
その日を狙ったように来る台風も
梅雨が明けていない曇天も
まとわりつくような重い空気も
髪の毛を裏返す風も
少しだけ、旅としては上手く行かない全部が
私にとっては少し運命みたいだった。

それでも、
「晴れ女だから晴れますよ」
根拠の無い返しを何度も繰り返した。
なんとなく、上手くいくような気がした。

自分が笑っていたらなんでも楽しめそうな予感。


案内をしてくれる彼はどの時間は仕事か、空いているか、案内ができるのか、
律儀に変則的な予定を私に共有してくれたが
「臨機応変に行こう」なんて言うので
結局、私は彼の予定をあまり把握してない。


1年前に東京で出会った彼と、そこから今日まで出会った彼の周りの人達はみんな人柄が良くて
温かかった。

付き合っているわけでもなく
1週間も、性別も年齢も違う人と過ごすことに不思議と不安は1ミリもなかったが
何も役割が無いことの方が不安になり、
私は朝ごはん担当を自ら名乗り出て
自分が食べたかったお手製のジャムを
カバンに詰めた。

ハウスルールの
ひとつめは、気を使わないこと
そして、自分の寝た布団は布団クリーナーをかけてしまうこと
この、ふたつだった。


「もし、うちに居るのが疲れたら
宿を取ったらいいし、そう思ったら
その時に考えよう」
そんなことを最後に話した。

彼の家には今まで宿泊した人達のメッセージが

襖に描かれているらしい。




乗り込んだ国内線は

機体は不安になるくらい、大きく揺れた。

私の乗った便には子どもがたくさん乗っていて、揺れるたびに
アトラクションに乗っているような楽しげな叫び声が響く。だんだん大きくなるその声に

思わず笑う。


飛行機は降下してまた少し上がったりしたが、楽しそうな笑い声が聞こえたので
最後はもう終わりかあ、なんてきっとみんなが思っていた。

飛行機は大幅に遅れて、空港に着陸した。もうあたりが少しだけ、暗い。


空港に迎えに来てくれた彼は、ごめん少し仕事をするねという言葉と、やっぱり雨模様を残念そうに何度も「雨かあ」なんて言っていた。

2人で路地裏のカフェのカウンターに並んだ。


店に入るなり親しげに話す会話も、おススメの地元の飲み物を出してくれるこのお店も、居心地が良くてまるで私がずっと前から

この場所にいるような感じがした。

その日は結局、私は夜3時の寝るまでに

職人の人、同世代の人、4人の人に会った。

今からって言われてさ、とタイミングが良かったのだという話しをみんなしてくれた。

その話をしてから「運がいいね」と私に言ってくれるので、嬉しくて笑った。

笑うとみんなが影響されて空間が温かかった。

どんな表情も良くも悪くも伝染していって、いつしか大きなの影響力がある。

嬉しい時は笑っていようと、

そんな当たり前のことを心の中で思った。

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