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『るろうに剣心』斎藤一×相楽左之助はかなりヤバいカップリング

「創作物のキャラクター(または三次元のタレントなど)がホモセックスをしているところを妄想しないと生きていけない人間」というのが一定数存在しており、それがいわゆるところの「腐女子」であるが、私はこの部類にカテゴライズされる人間である。しかもそろそろアラフォーに差し掛かる年齢であり既婚であるにもかかわらず、何かしらのジャンルのホモセックスを妄想していないと本当に生きていけない。どのくらい生きていけないかというと、何のジャンルにも「沼」っていない時期は人生がつまらなすぎてメンタルクリニックを梯子するレベルだ。

そんな私の「初推しカプ」は『るろうに剣心』の、斎藤一×相楽左之助であった。×とか「受け・攻め」とかの用語を説明しているとキリがないのでピクっていただきたい(pixiv百科事典を精読)が、とにかくこのカップリングに夢中になった私は中学生にして生まれて初めて「夏コミ」とかにも行ったし薄いのにバカみてえな値段のついているホモセックス本の収集に精を出していたのである。ところでその時代からBBAとして考えたくもないような年月が過ぎ、改めてこの『るろうに剣心』を読み返した際、ついでに何故「斎藤×左之助」があんなにも幼い私をブチかましたのか、己を見つめ直すことにしたのだ。

まず一つ目に、ほぼ公式ノーマルカプであるところの「左之助×恵」に違和感があるという点が挙げられる。

高荷恵というキャラはその名の通りかなりの重荷に恵まれて(?)いるキャラであり、阿片の製造の片棒を担がされて多くの人間を死に追いやってしまったというヘビーな過去を持つ女性である。剣心たちに救われて悪の道から抜け出すことができ、真っ当な医者として働いている大人の女だ。

対して相楽左之助であるが、過去のトラウマとしては「子供の頃に尊敬していたパイセンが理不尽に死んだ」という、ジャンプ王道漫画というよりはクローズっぽい感じの来歴を持つ人物である。その後それを主な理由としてグレた彼は、喧嘩商売を生業とし齢19にしてアル中気味である上、剣心に倒され更生した後も特にちゃんと仕事とかしておらず、魚の骨をトレードマークの如くしがんではヒロインの経営する客のいない道場でタダ飯を食い散らかした挙句、ヒロインに「お前の飯はうまくねえ」などと抜かすクソフリーターである。個人的に、最近の和月先生(作者)の作画に以前のような色気や魅力を感じない為「北海道編」を読んでいないのだが、原作より5年後の話であるにもかかわらず相変わらず仕事とかしていないようである、19歳の5年後は単純計算で24だ、これでアル中フリーターはいかに舞台が明治時代だったとしても、地雷物件だと判断して差し支えないだろう。

これを、それこそ5年後、おそらくアラサーに差し掛かった「医者」の女性が面倒見るのはかなりキツイと思われる。普通にヒモだ。私自身、歳を重ねこんな発想に至ってしまうのは相当ぴえん案件だが、恵さんは仕事に専念するか、普通に医者仲間とかと一緒になり、安定した生活を送ってもらいたいと思うのは私の身勝手な意見だろうか。

して、斎藤と左之助である。

まずこのカップリングを構築するにあたり当派閥がなんとなく意図的に目を逸らしているのは「斎藤が既婚者であり子供もいる」という点だ。このホモを成立させてしまうとなんとあの全国のオタク女子を熱狂させた斎藤一が「東出」、左之助に関しては唐田えりかという結論を迎えてしまう。また、フィクションに史実を持ち出すのは野暮だが、実際の斎藤一は飲み会をしていたら襲撃され彼を庇った仲間が死ぬ、また、『るろうに剣心』にて名前が出ている妻の「時尾」以前にも「篠田やそ」なる女性と婚姻していたという事実があり、しかも作中では路上喫煙上等のヤニカスおじさんであるためあまり褒められたイメージはない。

斎藤×左之助において作中一番エモい公式同人誌は、志々雄真実戦での勝利のあと、火事になった現場で二人の間に炎が燃え上がり通路が崩落(ここに蒼紫というセンター分けの面の良いロリコンも存在しているが大概の斎左派は無視)、火の中に斎藤だけが取り残され、初対面で斎藤にフルボッコにされた後各所でイジられては彼をライバル視して可愛くむくれていた左之助が

「勝ち逃げかよ!斎藤!斎藤ー!」

斎藤、これに対し「潜ってきた修羅場の数が違うんだよ」

死ぬほどイキった台詞を吐き(本当に死にそうなのに)、燃え盛る炎の中でわざわざマッチを擦ってタバコに火をつけるという、事ここに至ってもヤニカスぶりを発揮し離れ離れになるというシーンであり、このくだりに無駄に尺を使っているというのが当派閥の推しどころのひとつであるが、後に斎藤は生きていることが判明、ずっとライバル視していた剣心がやっとヒロインと幸せになり安寧を得たところにわざわざ登場して「お前には覇気がなくなったのでもう勝負とかしたくない。興味がねえ」と嫌味をかまして去るという、言語化するとマジか…というほど性格の悪い人間であるということが分析できてしまった。いい歳をしたおじさんなのだから己の気持ちの落としどころなどわざわざ相手に話しに行かず己でつけて欲しいところだが、なにせヤニカスだし脳味噌が蕎麦で出来ている人なので仕方がない。

もちろん、左之助もかの有名な「フタエノキワミ、アーッ」を習得するために炭治郎が岩を斬るやつくらい修行したり、斎藤にしても警官という立場ながら影で暗躍し剣心たちを助けるなど、かなりの頑張り屋さんではあるのだが、冷静に考えると二人とも比較的「ヤベェ奴」という結論が出てしまうことがわかった。

このように人物像を解析してみると「ヤニカスバツイチ不倫おじさんが低学歴フリーターヤンキーを騙して都合よくセックス」というのが斎藤一×相楽左之助の真たるところなのであり、これが判明したところで性春を台無しにしてしまった…ということはなく、むしろ「エモい」となり、改めて初めての推しカプがこいつらでよかった、有難うございますと思っている。このカップリングの二次創作には「なんかノリでサシ飲みしてたら何故かセックスすることになってしまい、ずるずるとセフレ関係を続けている」という設定が多いが、フリーターヤンキーがちょいと様子のよろしい既婚者と何となく関係を結んだ上メス化してしまうなど最の高でしかないではないか。そもそもパイセンが死んだくらいのことをいつまでも引きずって喧嘩しか取り柄のないアル中フリーターになる奴など不倫相手くらいで充分である。この報われない不幸な感じこそが醍醐味であると考える。

『るろうに剣心』という作品は「作者がロリコンポルノ所持で逮捕」をはじめ、実はかなりやばい作品なのだが、OVAには『星霜編』という問題作もあり、これは主人公である剣心が人助けをしていたら梅毒に罹り、子供がいるにも関わらずヒロインが感染上等で抱いてくれと宣い最後は剣心死す、というかなりアグレッシブな内容となっているが、私はシリーズ中この作品が一番好きなので、単にリョナラーの素質があるというだけな気もする。

また、別のジャンルになるが、一生俺の嫁である『機動戦士Zガンダム』の「ヤザン・ゲーブル」に関しても「架空の年表」を作成しなかばそれを信じ込むなど、漫画『腐女子のつづ井さん』的な愛し方をしているが、この男も人をたくさん殺したのでホームレスと化した原作の登場ラストの後はあんまり幸せになってほしくないと思っている。現在連載中のガンダム漫画ではエースパイロットに返り咲いたようだが、そんな都合の良い展開スゲーヤダなと思いその作品のアンチと化した。どう考えても一番性格が悪いのは自分だということがまたわかってしまった。

思い出はいつも綺麗だけど、それだけじゃお腹が空くので書いた。


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