今年1番の衝撃「超入門 資本論」

石川啄木は約100年前に

はたらけど
はたらけど猶わが生活楽にならざり
ぢっと手を見る

と詠いましたが、私を含めた現代のサラリーマンはまさにこの歌の気持ちで毎日を過ごしているのではないでしょうか。

「どうして毎日頑張って働いているのに給料が上がらないのか」

「どうして朝早くから夜遅くまで働いているのに生活が楽にならないのか」

そんな、サラリーマンなら誰しもが一度は思う疑問に明快な答えを教えてくれるのが本書「超入門 資本論」です。

著者の木暮太一氏が大学時代にマルクスの「資本論」を読む事で資本主義のルールを知りそこで得た気づきと、社会人経験から得た知見を合わせて凝縮した1冊となっています。

本書では物の「値段はどの様に決まるのか」の説明を通して、「労働力(労働者が持っている商品)に対する対価=給料」がどの様に決まるかについて単純明快に非常にわかりやすく解説を行い、そこから主題である「なぜ働いても働いても生活が楽にならないのか」に対する答えを導き出します。

商品の値段の決まり方を理解した上で、私たちの給与の決まり方を知る方がより深く理解できますが、今回はそこをすっ飛ばして核心を書いてしまいます。(商品の値段の決まり方については、ぜひ本書を読んでください!)

「なぜ働いても働いても生活が楽にならないのか」、それは給料とは「労働者を働かせ続けるために『必要なコスト』で決まる」からです。

私たちは働くと当然疲れます。そして疲れが残ったままだと次の日仕事ができないので、労働力を回復させる為に食費や質の高い睡眠をとる為の住居費など、コストがかかります。これは「生産コスト」とみなされ積み上がった物が労働力の価値となり、これを基にして給料が決められます。

つまり私たちの給料には「労働力を再生する為の費用」は考慮されていても「余剰」については考慮されていません。だから毎月生活費はカツカツで、いつまでたっても生活が楽にならないのです。(余剰は資本家に持ってかれています。)

本書冒頭には、世間的には目標とされている「年収1000万」以上の人たちでさえ苦しい思いをしていると書いてあります。たとえ「年収1000万」であっても給料には「生産コスト」しか考慮されない為、高給に見合った激務で高ストレスにさらされながら仕事をする必要があり、体や心のメンテナンス、ストレス解消にお金が消えていく為生活がカツカツであることに変わりはありません。

今まで学校や会社で上記に書いた様な内容を教えてもらったことは一度もなかった為、内容にかなり衝撃を受けました。それはそうですよね、だって学校の先生も公務員とはいえ結局は労働者であり、また会社の諸先輩方も言わずもがなです。

終身雇用制度は崩壊し、東芝やシャープなど過去には安泰と思われいた大企業の相次ぐ凋落。さらには年金制度の問題点が浮き彫りになり「果たしてどれくらいの年金がもらえるのか」などなど、過去には「正解」とされていた生き方では通用しなくなっている昨今ですが、ただ漫然と会社勤めを続けることに対して疑問を持ち、会社からの給与だけを収入源とする生き方を見直す必要性を実感しました。

本書は私の様なサラリーマンはもちろんのこと、ぜひ高校生や大学生の方にも読んで欲しいと思います。むしろこれから社会に出る学生の方こそ読むべきと言っても過言ではないかもしれません。

本書を知るきっかけになったサウザーさんのブログやVoicyのラジオも合わせて聞くことをお勧めしておきます。

サウザーさんのブログ 【これから「カネと女」の話をしよう。】

サウザーさんのVoicy

読むと間違いなく衝撃を受ける一冊です!年末年始のお供に超絶お勧めします!





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