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映画の日

あれは10代の終わり頃だったと思う。
なので90年代だったはずだ。
12月1日の映画の日に、映画館を3館はしごした事があった。

当時はまだシネコンなどというものは無く、映画館では一つの映画か同時上映の2作品かを上映していた。

私の住んでいた地域には映画館が複数、アーケード商店街の付近にかたまっていたので徒歩でのはしごが可能だったのだ。

当時はネットなどというものも無かったので、上映時刻や作品は新聞を見るか、直接映画館の上映時刻表を見るかしか無かった。

今では各映画館が、ファーストデーとして毎月1日に低価格で映画を観られる日を設定しているが、当時は1年一度12月1日だけが1000円で観られるという日だったのだ。

当時パチンコをしながら生活をしていた私は(この事については、またそのうち語ろうと思う)学校や仕事があるわけではないので、12月1日には1日がかりで映画を観てやろうと計画を立てていた。

新聞の上映時刻表を、列車の時刻表を見るように見て、どの順番で見れば効率よく多くの映画が観れるかを考えた。

洋画、邦画共に好きでジャンルも何でも良かった。

今こうしてこれを書くにあたって、あの時見た映画は何だったろうかと思い出そうとしたのだが、確実には思い出せない。

当時の公開時期と私の鑑賞した事もある映画をネットで調べてみたが時期がピッタリ合うものがなく、その日のものは特定できない。

田舎だったので公開時期が全国とズレていた可能性もあるかもしれない。
多分、1991年か1992年だ。

あの当時は映画の日以外にもよく映画を観に行っていた。
いつも一人で行き、一番前の真ん中の席に座る。

私は背がとても低いので前に人がいて見えづらくなるのが嫌で誰にも邪魔されない一番前で観るようになった。

ただ一番前は少し浅く座って、もたれるようにしてスクリーンを見ないと首が痛くなる。
それであっても前に人が座るよりはマシだった。

当時の映画館は今よりも放映中は真っ暗で、だからこそ一番前の席はスクリーン独り占めに感じられるのも良かった。

今は1日3本も映画を観るなんて体力的に無理だろうが、昔の私は安くでたくさん観られる事が嬉しくて仕方がなかった。

今でも毎月のファーストデーには映画を観に行きたいと思いつつも、最近はWOWOWやU-NEXTで観れるようになるのも早いので、そうやって自宅で観る事がほとんどとなった。

けれどあの3館をはしごしたワクワクと興奮は今でも忘れない。

観た映画が何だったかは忘れたというのに(笑)

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