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『走れ田口』・あとがき

 ドラッグにはじまり、自殺。最後にちょっとした出来ごとが原因での呼び出しと、友情の尊さ--。この並びで書き上げた、青春3部作です。

 高校時代の私体験に基づく話です。「濃い」ととるか「」ととるかは人次第。僕自身は、思春期にも将来の分岐点となるイベントがあると伝えるのが本願です。

 悪事を誇る、または悪友との思い出を誇示するのは、意図と外れています。本当の出来ごとはもっと情けなかったり、時に、描いた内容以上に酷であったりします。事実を土台に脚色することで、面白みをも持たせる試みです。

 中学時代の話をするのも選択肢の一つと思えもしました。ですが、本当に怒られそうなので、あえてそこはスキップ。「勝手に書いてんじゃねえ」とドヤされそうで(笑)

 話がやや逸れてしまいましたね。

 思春期の痛み--。言語化するのに時間がかかった気がします。

 失われた友人の命、生き残った「僕たち」の仲違いなど、高校を卒業してから青春時代のアザが色濃く、同時に、より鮮明になりました。

 今となってようやく、です。紫色のアザが、少しだけ濃いめの青色に近づけてたように思えるのは。

いつかは「アザ」ではなく、笑い話になればいいのですが、しばらく先になりそうです。もしくは、一生アザのままかもしれません。

 とはいえ、です。

 過去の「痛み」に引っ張られるていては、前に進めないと自分のなかで納得のゆく答えがでました。

 そこで、このようなカタチで話を展開した次第です。次のチャプターに進む--。そのためには、時にアザと向き合うことも大切なのでは、と自己完結し、思い出と思いを活字に乗せました。

 最後に。

 思春期のアザ--。人によってカタチは異なるものの、心のどこかに眠っていると思えます。向き合うのが酷なことも時には、おそらく。このシリーズを通じて、皆様の胸の中にある、青春のアザの痛みが、少しでも軽くなりますように。

                            (了)

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