見出し画像

介護日記2#54母の食事

母が意識不明で緊急入院・緊急手術となって、更にコロナ罹患も乗り越え無事に退院し、家で食事をするようになってから丸2年が過ぎた。
母は自分ではほとんど動けない介護5のレビー小体型認知症。
食事の時、口元にスプーンを運ぶとあ~んと開けてごくりと飲み込むという食べる動作が出来る様になってから退院してきた。
最初の頃はむせも少なく、量も食べ過ぎじゃないかと思う程、食べてくれていた。

ペースト食(ミキサーにかけて、とろみをつけた物)、そしてごくごく一般的な市販のプリンやヨーグルトや水羊羹は今も継続して食べる事が出来ている。

しかしまあ驚く程よく食べる、食べる!
家でも、お世話になっている看護小規模多機能の施設でも。
ほぼ完食。元気になるはずだ。

残念ながらそれからの2年の間に少しずつ少しずつ母は食べ残す様になってきている。
それぞれ茶碗八分だった量が今半量。
食べ残す原因は主に、食べながら傾眠してしまう事。

時には自分から、もういらない…と発語したり、無言で口を開けない…とか、ぷいっとそっぽを向いて食べない素振りを見せる事もあるのだが。
それはごく稀だ。

食べながらうとうととし始め、何度かは
起きて!と声をかけたり、肩をゆすったりすると、うっすらと目が開いてなんとか食べ始めるのだが、1口2口食べたところでまた傾眠してしまう。
その繰り返しも2回位までだろうか。
後は全く反応が無くなり口も開けなくなってしまうので、15分程度様子を見て起きないようであれば片付ける事にしている。数分後フッと目が覚め、しっかり覚醒してそれからもりもり食べてくれる事もあるのだが。

朝と夕は服薬があるので傾眠しがちな時には食事の途中でも早目に飲んで貰うように口に運ぶ。

完全に寝落ちする前に。

寝てしまうと30分以上目が覚めない事が増えてきた。
きちんと食べ終えるまで目が開いている時は、ほっとする。

昨日今日は順調に食べることが出来た。
最近は施設でも覚醒の時間が多くみられ、食事中も傾眠すること無く食べている事が多いらしい。
平穏な食事の時間が続きますように。

食事量、傾眠の状態は日々、分刻みで変動する。それが母の認知症『レビー小体型認知症』の症状なのだろう。本人はちっとも眠く無いと思っているのに傾眠している。眠い?と聞いても首を横に振ることが多いのだ。
そして筋肉の緊張も続き、手足や身体がカチンコチンに固まってしまう。

私にとって覚醒の合間のわずかな会話が楽しみで、めったに言わなくなった「ただいま」「いただきます」「ごちそうさま」「ありがとう」などふと当たり前のように発語があると、とても嬉しくなる。


ある日の我が家の夕食
◎お粥をミキサーにかけたもの
◎刺身用の鯛のブロックと野菜の煮込み…鯛、大根、人参、玉ねぎ、白菜、蓮根、ほうれん草、さつまいも、生姜を小さく切ってコトコト煮込んで甘辛く味付けしたものをミキサーにかけたもの
◎みかんとヨーグルトをミキサーにかけて裏ごししたもの
*おかずは、魚の時は鯛や鰤や鯵や鮃やカンパチなどその日の魚売場の美味しそうな刺身用のブロック、肉であれば鶏や豚や牛に出来るだけ旬の野菜を加えて作っている。

ペースト食というよりも、食材たっぷりのスープを作っている感じ。
苦味が出ない食材を使用するように気を付けている。

それらにとろみ剤(とろとろのシチューやマヨネーズ位になるように)を入れて飲み込みやすくする。

私は毎回試食している。
とろみ剤を入れていると1口分を口の中でまとめやすくなりごくりとしっかり飲み込むことが出来る。

片栗などとろみをつけるのとは意味合いが違うようだ。とろみ剤を使用すると、確かに…冷めても暖かくてもとろみの形状は変わらず口の中でひと塊にまとめやすい。

舌にまとわりつく感じが無いし、口の中に食べ物が残りにくい。


母は昔からペーストやとろみ剤の拒否は全く無いかもしれない。

中には受け付けられなくなってしまい、食欲が落ちてしまう方もいるらしい。

母は手術や入院の為かなり長い間絶食となりやっと点滴が外れた後は鼻腔栄養だった。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のチームによるリハビリでようやく食べることが出来るようになった。

鼻腔栄養をしている時に、最初は動かなかった手や指が次第に動くようになり、違和感があったのだろう自分で管を抜き始めた。それでよく病院から電話がかかってきていた。

きっとそれは元気になってきている証だと思い、主治医とも相談し訓練で少しずつ進んでいた飲み込み訓練を、更に強化して無事にぺースト食を少しずつ食べ始める事が可能になった。
食べられなくなってから約半年経過していた。
きっとその時に母は食べられる事の幸せを感じたのだと思う。まだ認知症もまだらだったし、元々食べる事が好きな母だったから。



先日は天気が良くてほんの30分でもと外へ散歩に出た。母は車椅子で移動中、眠りこける事もなくキョロキョロしていた。

沈丁花(ジンチョウゲ)の甘い香りをかおったりや見事な梅の大木を眺める事ができた。
母が認識出来たかどうかは定かではないがなんとなく眺めていたように感じた。

白い沈丁花(ジンチョウゲ)
昔自宅にピンクの沈丁花があった
今はもう無い。
甘い香りがしていた
家の近くにある白梅
今日見るとハラハラと散り始めていた

読んで下さってありがとうございます
今日も明日も良いことがありますように(沈丁花)