見出し画像

「淋しい人たちへ」または松本人志へのファンレター

Ⅰ、
ダウンタウンの松本人志が、2023年12月下旬に、週刊文春誌上にて、性的行為を強要されたと、女性から告発された。その後、多数の女性が同誌に松本人志を告発する記事が続報された。

この事件の見え方や適切だと考える落としどころは、人によってかなり違っているのだろうな、と感じている。

ある人は「女性は弱者で、過剰に守られるのが適切な均衡点だ」と思っている。
ある人は「芸能人は、不祥事の疑いがあれば、即謝罪、活動自粛が当然」と考える。
またある人は「これくらいのことはよくあることで、そんなに悪いことをしているようには思えないけど」といぶかしんでいるかもしれない。

私はこんなことを考えた。
「たとえば、男女入れ替えて考えてみてはどうだろうか?ある大御所女性タレントは宴会では相手かまわずキスしまくり、とトーク番組で多くの人が言っているようだけど、あれは良いのだろうか?」
「ちょっと調子に乗る大学生などは、自宅飲み会やパーティーでつい性的に逸脱行為をしてしまった、などということが気軽に語られている」
男女の別を入れ替えた事例、有名無名の立場を入れ替えた事例において、当事者はそんなに責められているわけではない。
ということは、少なくとも松本氏が一方的に悪いことが自明、とまでは言えなさそうだ。

あるいは、そもそも不祥事とはなんなのだろう?とも疑問を感じる。雑誌やワイドショーで頻繁に取り上げられるふうになったら不祥事なのか?
逆に、示談が成立して、あまり大きな話題になる前に収まったけど、これはひどいエピソードだな、と私が思った有名人が幾人もいる。しかもむしろ好印象な人ということで売り出されているのは、私としてはかなり戸惑いを感じる。

私としては、いまの世論でまず違和感を覚えるのは、
硬い『法律』というルールでいけば『疑わしきは罰せず』『内心の自由』『法の下の平等』に反するのではないか?という点についてである。
さらに、テレビとスポンサーについては、『商慣習』『信義誠実』に背くのではないか?とも思っている。

いちおう、「まだ真相がはっきりしないうちに、事実上の追放という処分を下すのはおかしい」という慎重な意見はあるが、どちらかというと少数派である。
これを強く主張する人が少ないのは、あらぬ非難を自分自身が被る可能性があるから、多くの識者がこの発言を控えているのではないだろうか。

『内心の自由』についても、ある人が『私は性的にオープンです。乱交もOK』という性癖を持っていたとして、そのこと自体は、この『内心の自由』の原則から、非難されるべきではないはずだ。それなのに、性的なことについて奔放な価値観を持っている、というだけで、ひどく非難されてしまう。しかも、いかがわしい宴会・合コンに参加したという報道があっただけで異常な性癖だと断定されてしまってはいないか?

『法の下の平等』の観点からも、今の状況はかなり奇異だ。社会的に力があるものが、弱い者いじめしているのはけしからん、というのであれば、能年玲奈氏の芸名の事例や、若林志穂氏のN氏告発の事例、あるいは、もっと身近にある、体罰やパワハラがうやむやになるのはどういうことだろう?男女の営みみたいに密室というわけではないから、なかなか証言者がいないという状況でもないのに、放置されているのは、どうしてだろう?

テレビもスポンサーも、まだ疑い段階で契約や出演を打ち切ることをして良いと思っているのだろうか?契約更改、という区切り節目があるとはいえ、基本的に契約を継続するのが誠実な契約、あるべき信義というものではないだろうか?

このように、今の世論はかなり偏りがあるように思う。

雑誌に告発した人がどのような人かは、私は知らない。
つまり、
A『怖くてその時に言い出せなかった人』かもしれないし、
B『本当は性的なことに奔放で軽いタイプ。でも、今になって訴え出たららお金や注目を浴びるという点で利益があるから雑誌を通じて公表した人』なのかもしれない。私には分からないし、私自身としては、そのこと自体にあまり関心はない。

それよりも、裁判所の判断によっては、Bのタイプが過剰に保護されることとなった場合、私たちは安心して、相手を信用して交際を持つことが難しくなるのではないか?と心配になってしまう。

若い時分に付き合った異性から、好奇心からちょっと変なことをしたのを、後から『本当は嫌だった』と言われはしないか?
新しい事業を立ち上げる時に一緒に働いてくれた仲間から、少し無理して働いてもらったことについて、後から『追い込まれて働かされた』と言い募られるかもしれない?
子供を叱ったら、親に厳しめに助言したら、後から『虐待された』と指弾されないだろうか?

松本人志は、芸能界をもう辞めてもいい、というよりも、辞めるタイミングを見計らっている、という発言をしている。芸能界に未練はないのだろう。
また、年齢が上がってからは、お笑い界全体に奉仕する気持ちが強いなと私は感じていた。
その松本氏が裁判に真摯に向き合いたいと言っているので、適切な落とし所に収まっていくことを、私は切に願う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?