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借金トレーダーKEN2話【出会い】



「寝ているだけでお金が増えてるんですよー(*´∀`*)」

テレビからはOLがビットコインで儲けた話をしている。

ビットコインで人生変わりました

俺もそのうちの1人。俺はリップルだけどね。

時は2017年12月。
仮想通貨のビッグバブルが訪れていた。

健太は髭ジイの約束をしっかりと守り、リップルをガチホしていた。
というより、健太にはまだトレードの知識はなく、チャートの見方など何もわからなかったのである。

ただ髭ジイに言われた通りリップルを買ってコインチェックで放置していただけなのである。

健太のキャバクラでのボーイの収入は手取りで30万円ほどあった。

26歳の健太としては同年代と比較しても多く
余裕のある生活を送っていた。

尚且つリップルは300円を超えていて健太の資産は3000万を超えていた。

この頃から健太は少しずつ羽振りが良くなり仕事のモチベーションが下がっていった。
それでも働いていたのは髭ジイがまたいい話をくれるのではないかという期待感と新しく職を探す面倒くささが重なり仕事は一応続けていた。

「ユウジー今日は飲み行くぞー!」

ユウジは同じ職場で働く後輩で21歳の大学生。
週に数回、生活費を賄うためにアルバイトで錦糸町のキャバクラでボーイとして働いてる。

キャバクラが閉まった後はお気に入りの錦糸町の居酒屋で飲み、そのままガールズバーに駆け込み朝までユウジと飲む。これが健太の日課となっていた。

「ぜひ!行かせてください!」

ユウジは小柄な草食系寄りの男で、特にイケメンというわけではないが可愛らしい顔をしていて、店では弟キャラとして可愛がられている。

「まぁ俺が奢るから気にすんなよ。」

健太はユウジを連れてガールズバーでテキーラを一気したあと、上機嫌で話しはじめた。

「お前さ、リップルって知ってる?」

健太は語り始めた。

髭ジイから聞いた言葉を自分の言葉のように知識を饒舌に話す。

「そうなんですね、健太さんはすごいなぁ。最近CMとかでやってる仮想通貨?とか言うやつですよね?」

本当はお酒が強くないユウジは眠たい目をこすりながら答えた。

「あぁ、これからリップルはもっと上がるよ。ビットコインが100万円なのにリップルが300円なのは安すぎると思わないか?俺の予想だと春までに1000円は超えるよ、そしたら俺は億り人だ。」

この時の健太の心はとても上機嫌だった。
1億行ったら仕事を辞めて自分の店を出そうとか、いい車を買おうとか、いい時計を買おうとかタワーマンションに住もうとか。ウキウキな気持ちになっていた。


「そろそろ閉店のお時間です。」


千鳥足の健太は会計を終え、始発に乗り、家に帰る。

始発の電車はくたびれたサラリーマンが眠そうな顔をしている中、自分だけが酒を飲み上機嫌で家に帰るこの瞬間は不思議な優越感と罪悪感が入り混じっている。















クリスマスになりお店はイベントで賑わう中、お店に髭ジイが現れた。


「健太くん久しぶり。リップルとても上がっているけど。まだ持っているかい?」

髭ジイはトレードマークのヒゲを触りながらシャンパンのベルエポックのグラスを持ち、健太に語りかける。

「髭ジイさん!もちろんまだ持ってますよ!」


健太は上機嫌で答えた。


「そうかね。でもそろそろ利確をした方がいいと思うよ。長年相場を見ているが、過熱感も強いし、税金の問題もある。一度利確して自分の頭で勉強することも大事だ。ワシも引っ越してしまうしねぇ。」


髭ジイが言っている事は理解できた。
しかし健太には利確するという発想など1ミリも無かった。
どこの掲示板を見てもTwitterをみてもディスコードを見てもまだまだ上がるという話ばかりでなぜ髭ジイがそんな事を言うのかもわからなかった。
そしてそもそも髭ジイが引っ越すと聞いて余計にこの職場で働く事が嫌になった。


「ありがとうございます、自分なりに少し考えてみます。」


健太は髭ジイの忠告は聞かず年を跨いで持ち越すことを決めた。
そして2017年12月30日に髭ジイはシンガポールに旅立っていった。





健太はやる気のない虚無感に追われた年明けを迎えていた。
水商売な年末を超えるとしばらく暇だったのでやることも無く家でゴロゴロと草コインを調べていた。

髭ジイのいない今、自分で新たな情報を仕入れる必要があるからだ。

仮想通貨は伸び悩みTwitterを見ていると面白い画像を見つけた。
 

「日次100万…?」


この画像を見つけた時健太は胸の奥で鼓動が早くなるのを感じた。
これにだけは手をつけてはいけない。直感がそう告げている。

しかし…

健太は好奇心に負けその画像を調べると

あるサイトにたどり着いた。




「ビットフライヤー…FX…?」


健太の人生が変わる瞬間である。




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